税務署員が教える、会社員でもできる節税テク
今年も確定申告の時期が近づき“税金”や“節税”に注目が集まる時期になってきました。
“節税”というと、一般的なものでは自営業者が経費をなるべく多く計上して事業の利益を減らす、ということが挙げられ、税金が給与から天引きされるサラリーマンにはあまり縁がないものと考えられがちですが、決してそんなことはありません。『税務署員だけのヒミツの節税術 – あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』(大村大次郎/著、中央公論新社/刊)は、「サラリーマンのほとんどは税金を払いすぎている」として、会社員でもできる節税術を紹介しています。
■節税のポイントは「いかに所得控除を増やすか」
サラリーマンの節税は、考え方としては自営業者と同じで、いかに所得税を減らすか、言い換えれば「いかに課税所得を減らすか」ということに尽きます。
多くの方がご存じのとおり、所得税は
【課税所得(給与収入から所得控除を差し引いた額)】×【税率】
で算出されるので、所得控除の額を増やすことができれば課税所得が減り、所得税を減らすことができるのです。
では「所得控除」にはどのようなものがあるのでしょうか?
■もっと活用できる「扶養控除」
「所得控除」のうち最も有名なのは、この「扶養控除」でしょう。
これは扶養している親族(16歳以上)がいる人が受けられる控除ですが、「一緒に暮らして生活の面倒を見ている親族」だけが対象になると思われがち。
しかし、必ずしもそんなことはなく、田舎にいる両親(65歳以上の場合、年金収入が一人約120万円以下)を仕送りなどで経済的に援助している場合などは扶養控除が受けられます。仕送りの額にはこれといった基準がないため、ごくわずかな額でも仕送りをしていれば、両親を扶養に入れて扶養控除の額を増やすということもできるわけです。
もちろん両親だけでなく、ニートの娘・息子などについても同様です。
また、夫婦共働きのケースで、夫がリストラされた場合は、夫を対象に妻が扶養控除を受けることもできます。「世帯主が夫になっているから、夫は扶養控除に入れることができない」と考えられがちですが、世帯主うんぬんと税金の申告は全く関係ありません。
万が一夫が無収入になってしまった時は扶養控除を活用すると、結構な額の節税になるはずです。
■見落としがちな「雑損控除」
所得控除の中には、災害・盗難・横領で生活上の資産に5万円以上の損失を被った場合に受けられる「雑損控除」というものがあります。たとえばスリに10万円入った財布を盗まれたり、空き巣に遭って50万円盗まれたり、台風で壊れた家の修理に100万円かかったり、といった時は、損失額マイナス5万円が所得控除の対象となるのです。
おもしろいのは、害虫被害や雪害も「自然災害」に含まれる点。つまり、シロアリ駆除や豪雪地などでの雪下ろしなどの費用も「雑損控除」の対象となります。
あまり知られていない「雑損控除」ですが、こうしてみると当てはまる人は多いのではないでしょうか。
また、これは余談ですが詐欺被害に関しては対象外のようです。自分にも責任があるから、という理由なのかもしれませんね。
税金関係は会社が全部やってくれていると思ったら大間違い。会社がやってくれる所得控除というのはあくまで最低限のことに過ぎません。
申告すれば受けられる控除は、調べてみると結構見つかるものです。本書にはさまざまな「所得控除」がまだまだ取り上げられていますので、確定申告の前に勉強してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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