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最低賃金とイジメ

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

最低賃金とイジメ

多くの動物は閉鎖空間で一定以上の個体数を飼育すると共食いを始めるという。肉食動物でなくても互いに攻撃し合うらしい。

これは生存のために必要な本能。9匹分の命しか維持できない環境で10匹の動物が平等に餌を分け合ったら、10匹全部が死んでしまう。一匹死ねば残りの9匹は生きられる。そしてもし死ぬべき個体を選ぶとしたら、一番弱い個体だろう。つまり弱者を攻撃して排除することが、より多くの個体が生き残るためのセオリー。

人間も動物だから、一定以上に密度が高い状態には生理的にストレスを感じ、弱い個体を排除しようとするのだろう。これは本能だから、どうしようもない。まあ理性でブレーキをかけることはできるだろうけど、衝動自体は抑えようがない。男が女性の裸を見て興奮するのと同じ。

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話は変わるけれど、最低賃金など廃止して自由競争に任せるべきだという主張がある。その方が限られた仕事を分け合えて雇用も増える、と。

でも、これも平等に分け合ったら全員が死んでしまう状況もありえるよね。1日生命を維持するのに必要な食料が得られなければ、人間は死んでしまう。10人が平等に0.9日分だけ生きるということはできない。

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文明が発達すると、人と人とのコミュニケーションが増えていく。物理的に近くに住むようになるし(都市への人口集中)、コミュニケーション手段も発達してくる(ネットワーク)。仕事も必然的に多くの人間と接するものが多くなる。農業や漁業など大自然と少数の人間を相手にしていればいいという仕事は少なくなる。

学校では少人数クラスへの動きが持ち上がったり立ち消えになったりを繰り返している。

思うにこの先、人口密度やコミュニケーションの量を制限することが必要になる時代が来るのではなかろうか。すでに一定以上の人口密度を持つ土地には転入を制限するとか、趣味・仕事を問わず、一日あたり接する人間の数の上限を労働基準の一つとして制限するとか。

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文明の発達は放っておくと人口密度が高まる方向に進む。その一方で動物としての本能は過度の人口密度を拒絶する。その衝突が人間の精神の安定を脅かすように徐々になってきているのではあるまいか。

人間同士のコミュニケーションは、コンピュータがやってくれる。人間同士が商品を注文したり、注文を受けなくても、コンピュータとネットがきちんと仲介してくれる。事務処理でも人間が力を合わせてやっていたことを、コンピュータが代行してくれる部分が増えている。

人間同士が無理に協力し合わないとできなことは減ってきている。逆に実はもう必要ないのに、人間同士のやり取りに無理に価値を見出そうとするから、必要以上に人間らしさとかマナーとかエチケットを求めようとするのではなかろうか。

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金を払って商品を受け取るだけの行為に、やたら持って回った儀式(接客態度がどうたらこうたら)を求めるのは、もはやそれに意味がないことが分かっているのに、意味を見出そうとする自己矛盾の結果ではなかろうか。

やたら重要視されるコミュニケーション能力というのも、前時代的な劣悪な労働環境で馬車馬のように働いている状況なら、そんなもの必要とされないだろう。

むしろ余裕ができてしまったがために、作法が必要になってきたのではなかろうか。いや必要と言うよりも、そこに価値を見出そうとしている(願望)のではなかろうか。お茶を飲むだけの行為にさまざまな作法が必要な茶道のように。

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作法やマナーやしきたりは個性の否定であり、それは人間性の否定でもある。人間にとって相手の個性がないことが心地良いのだ。人間が一定以上の人口密度で生きることになった文明の始まりの時期に、最初に生物的な(高人口密度に対する)拒絶反応を回避するために編み出した方法なのだろう。

互いに個性を殺し合う事で、「そんなに人口密度は高くないんだよ」と本能を騙すことを覚えた。この回避方法が発見されなかったら一定以上人口密度は高くならず、人類の文明はもっと早期に頭打ちになっていたかもしれない。いいかえればマナーが必要な環境というのは、すでに生物的には不適切な人口密度なのだ。

人間同士のコミュニケーションの価値は減少している。しかしその事実を認めたくないので、やたらその重要性を騒ぎ立てる。それはある意味、実態の伴わない一種のバブル。バブルだから際限なく大きくなる。やがて破裂するだろう。誤魔化しきれなくなる。

参考サイト:
「小田嶋 隆のア・ピース・オブ・警句 「裾出し腰パン」を「皿仕上げ」でおいしくいただきましょう」2012年2月15日 『日経ビジネスオンライン』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100212/212742/?P=4

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

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