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動画:『ブレードランナー 2049』の効果音はこうして作られた! フォーリー・アーティスト小山吾郎さんに聞く

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現在大ヒット上映中の映画『ブレードランナー 2049』。伝説的SF映画『ブレードランナー』から35年。よりクールに新しく描かれた本作はSFファンのみならず多くの映画好きに支持されています。

本作で注目なのが“音”の使い方。足音、雪を踏みしめる音、レプリカントが誕生する音……。『メッセージ』等で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による凄まじい映像美にリアリティを与える音の数々。これらは何と、タオルや水、片栗粉など私たちの身の回りにある物で作られているのです。

これは、映像に合わせて色々な物を使って音を出す「フォーリー」という手法なのですが、『ブレードランナー 2049』でフォーリーを担当しているのが日本人アーティストの小山吾郎さん。今回は小山さんに実際に映画で使われている小道具で音を出してもらいながら、いろいろお話を聞いてきました。

【関連記事】野菜や果物で映画の効果音を作り出す! 「フォーリー・アーティスト」ってどんな仕事?
http://getnews.jp/archives/529252 [リンク]

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――映画すごく楽しく観させていただきました。近未来のかなり作りこまれたヴィジュアルの中で、音がフォーリーというのがちょっと意外でした。

小山:ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はフォーリーが大好きで、なるべくたくさんの音をフォーリーでカバーしたいと依頼を受けました。その時はかなりテンションがあがって、周りには内緒にしておかないといけなかったので、「ああ、早く言いたい!」と思っていました(笑)。監督は静かな音が好きなんですよね。静かな音というか、静けさが引き立つ効果音の使い方にすごくこだわる。

――では、フォーリーにも結構多くのオーダーがあったのでしょうか?

小山:監督からは細かな注文は無くて、一つだけ「キレイでクリーンな音じゃなく、ざらついた生々しい音にして欲しい」とお願いをされました。なので、普段は音がしない様に専用の服を着てやるのですが、今回はわざとガサガサ音が入るようにジーパンのまま、更にコートを着込んだり、体にシーツを巻き付けて録音してました。スタジオの外での録音も多くて、チャレンジが楽しかったです。

――特にどんな音を作ったのが印象的でしたか?

小山:冒頭のサッパーが歩くシーンですね。音楽がまったく無くて、サッパーが部屋の中に入ってくる。彼の体重で床はきしんだ音がするが、それ以外は鍋がコトコトいっているだけ。ここは、全部フォーリーで音を作ったので、完成したものを見た時は非常に嬉しかったです。しかも冒頭なので「おお!そのまま使われている!」って。

映画の中で、サッパーの家の周りって木が生えていなかったじゃないですか。なのでサッパーの家も木で作られていないだろうと思い、しならせた石膏の壁材の上を歩く音にしました。そうすることで、木とは違うギッギッという音がします。監督からは「サッパーはすごく大きな男なので、もっと重厚感のある音にして欲しい」というオーダーがあり、さらに音を足しました。でも、「もっと大きく」と。でもそれ以上に大きい音にすると怪獣みたいになっちゃうし、サッパーは慎重に歩く男なので、ベース音を足す代わりに、彼が歩くとその振動で部屋の棚の中にある皿の音を立てるようにしました。そしたらすごく気に入ってくれましたね。

――なるほど、足音自体では無くて、歩くことによって周りにどんな影響があるかというところからアプローチしたわけですね。

小山:足音には監督も私自身もかなりこだわりがあって、登場人物それぞれの足音にキャラクターの背景をたくしています。Kはブレードランナーという、刑を執行する立場で、任務遂行の為に淡々と歩き続ける足音、先ほどのサッパーは秘密を隠しているキャラクターですから慎重に歩いている、ラヴは非常に冷静で強いキャラクターなので無駄が無くカツカツと響くハイヒールの音……という感じで。ラヴを演じたシルヴィア・フィークスは動きが見事でした。動きの綺麗な俳優さんを真似るのは嬉しいんです。

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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