【Interview】パナソニックの特許を活用!人間の感情を判断する高精度「感情認識SDK/API」とは?
今回ご紹介するスワローインキュベート社の技術は、当初から社会での実用化を視野に入れて開発されたもの。パナソニックの特許を活用した「音声による感情認識技術」によって、人間の感情をリアルタイムで可視化するという。研究を重ね、このたび満を持して、販売および無料トライアル版の提供を開始したところだ。
ビジネスにおけるさまざまな場面での採用が期待される本技術。代表取締役の大野 寿和(おおの としかず)氏に、早速詳しい話を聞いた。
・教師データ不要で“怒り”“喜び”“平静”を判定
Q1:まずは、今回開発された感情認識技術がどういうものか、ご説明ください。
感情認識技術には、表情やテキストによって感情を認識するなど、さまざまな情報から判定する技術がありますが、当社の技術は、音声・会話を元に感情を判定する、「音声による感情認識技術」です。当社の技術には、パナソニック社の特許技術を活用しています。そのため、発話された音声単体から感情を判断し、教師データを使わずに、「怒り」「喜び」「平静」を判定することができます。汎用性の高いSDKでのご提供も可能で、リアルタイム判定やバッチ処理にも、柔軟に対応できるエンジンとなっています。
Q2:この技術は、主にどのような場面で活用できるのでしょうか。
例えば、コールセンターへの導入が考えられます。オペレーターとお客さまとの感情を、リアルタイムに認識して解約率低下につなげる他、通話終了後に自社CRMへお客さまの感情状態を追加登録して、今後のマーケティング活動に活用することができます。また、本来感情を持たないロボットやAIに、感情を搭載することで、通話相手を配慮した受け答えができるようになるなど、業務のAI化・効率化および、サービス向上をサポートするツールとしての活用が期待できます。
・ビジネスに付加価値を与える技術でありたい
Q3:開発に当たって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
音声認識や、感情認識といった認識技術に関するテクノロジーの分野では、現在の技術レベルでは、精度100%に到達することは、おそらく不可能だと思います。また感情認識において、何をもって正しい判定をしているか、といった定義付けが難しいという点も、特徴として挙げられます。そもそも人間の感情把握能力自体も、相手の気持ちを正確に把握できるものではないため、利用者に対して、どのような感情認識エンジンが価値を提供できるのか、という点を詰めるのに苦労しました。
Q4:導入・提携先は、すでに決まっているのでしょうか。今後の計画・展開について、教えてください。
9月に販売開始のプレスリリースを配信して以来、想像を上回るペースでお問い合わせをいただいております。当社には、「テクノロジーを使って人間の可能性を拡げる」というミッションがあります。まずは、試験利用をしていただき、その上でどういった使い方をして、どのような価値を創造できるのかを、一緒に議論していただける企業さまと、お話を進めています。単なる感情を認識する技術ではなく、ビジネスに付加価値を与えるための感情認識技術でありたいと、そう思っています。
企業内で利用する場合、クラウド上のAPIか、サーバーまたはIoT端末のいずれかを選択。試験導入からスタートできるのも、うれしいところだ。導入事例は、ホームページにもいくつか記載されているので、ぜひ参考にしてほしい。(取材・文 乾 雅美)
ウェブサイト: https://techable.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。