【Interview】食料廃棄問題の救世主になるか、国内初のフードシェアリングサービス「TABETE」(タベテ)、クローズドβテスト開始!

廃棄される食料のうち、まだ人間がおいしく安全に食べられるものを「フードロス」と言う。日本のフードロスは約621万トンとされ、そのうち339万トンが飲食店や小売業などを含む事業者から発生している。

日本の食料自給率は約38%を前後する中、これだけの食べ物を捨てているのだ。日々の生活の上では実感しづらい問題だが、将来の日本の食が破たんしないためにも、今から持続可能な仕組みを模索する必要があった。

「TABETE」(タベテ)は、現在、クローズドβテスト中の、飲食店や惣菜店等で発生してしまう余剰の食事を売りきる・食べきることを応援する「フードロス削減」のためのWebサービス。店舗による情報の掲載、ユーザーによる食事のWeb 決済購入などが簡単に行うことが可能で、購入後には、ユーザーは指定された時間内に店舗まで食事を受け取りに行く。

今回は、コークッキングの代表取締役CEOである川越一磨(かわごえ かずま)氏に、同サービスの機能と狙いについて、話を聞かせてもらった。

・国内初のフードシェアリングサービス

Q1:まずは、「TABETE」の開発に至った経緯をお聞かせください。

私自身、飲食店やスローフード活動の経験から、フードロスに対する問題意識は常に持っていました。DISCO SOUPという活動を一年間毎月青山ファーマーズマーケットで実施したり、定期的にSNSで情報発信したり、草の根的に様々なフードロスに対する啓蒙活動を行ってきました。しかし、これだけでは抜本的なソーシャルチェンジは難しい、全国的なムーブメントを引き起こすには不十分だと考えるようになりました。そこで、世界の事例を調べていくうちにデンマークの「Too Good To Go」というサービスのWeb記事を発見し「これを日本でもやろう!」と決意しました。決意してからすぐ、実際にデンマークまで飛んで現地調査も実施し、日本へのローカライズも含めて具体的にプロジェクトを動かし始めました。

Q2:「TABETE」での受け取りは、閉店間際に行うものですか。それとも、閉店時間を超えて、営業時間を引き延ばして行うものなのでしょうか。

商品の引き取り可能時間はお店側が任意に設定できますが、基本的に、閉店時間を超えて(営業時間を延長して)の引き取りは推奨していません。
私自身経験からも言えることですが、飲食をやっていると、閉店の数時間前には「今日はこのくらい余っちゃいそうだな」というのが感覚的にわかってきます。こうした段階で「TABETE」に掲載し、閉店時間前に引き取りに来てもらうケースを想定しています。
また、閉店間際に引き取り時間を設定している場合が多いですが、それに限ったことではありません。一例をあげると、惣菜店さんなどで商品陳列の期限が決まっている場合、商品の入れ替え時などにロスが生じやすくなっています。
このように、お店さんが困りがちな時に、お店さんの負担をなるべく増やさずに、ユーザーが食事をレスキューしに行けるしくみを目指しています。

・「フードロス」を削減したい

Q3:スーパーの惣菜売り場などで、廃棄時間に近づくと値引きシールを張っている光景を目にしますが、こうしたものと比較して、「TABETE」はどのような点でメリットがあるのでしょうか。

「TABETE」の目的は、食品ロス削減はもちろんですが、それに対する個々人の意識を高めることにもあります。値引きシールもロスを削減する一つの有効な手段ですが、この場合、商品の購入理由はほぼ確実に「安いから」になってしまい、意識の改善には中々つながりません。
「TABETE」では、プラットフォーム自体の趣旨を「食品ロス削減」に設定しています。 「TABETE」を通じて食事を購入すること自体がロス削減につながっていることを認識して使用することになるので、ユーザーさんにとってのその行動により意味をもたせ、意識の変化やムーブメントの醸成につなげることができると思っています。
また、もっとわかりやすいメリットとして、確実性も挙げられます。現地に行くまでどんな食品が売っているのか、また確実に買うことができるのかがわからない「値引きシール」と比較すると、「TABETE」ではサイト上で商品の閲覧・購入を事前に済まし「取り置き」をしておくことができるので、焦ることと無く確実に購入することができます。

Q4:これから「TABETE」は、どのように展開していくのでしょうか。未来の展望をお聞かせください。

日本は「フードロス後進国」と呼ばれるほど、食料廃棄やフードロスが深刻な問題になっているにも関わらず、それに対する取り組みが今ひとつ盛り上がっていない国です。
「TABETE」はたまたま飲食店に注目しましたが、ロスの原因は生産・流通・小売・消費と、食のすべての段階に潜んでいます。この巨大で複雑な問題の改善は、決して私たちだけでできることではありません。
今後は、「TABETE」として掲載店舗数や対象エリアの拡大をすることはもちろんですが、それ以上に、同じ志を共有できる食料廃棄削減に向けた様々な活動をしている個人・団体と手を取り合いながら、世界に誇れるようなムーブメントを日本で醸成する一端を担っていけたらと思っています。

なお、現在、クローズドβテスト中の同サービスは、ユーザー事前登録および、ベータテスト参加、店舗掲載をフェイスブックより行っている。「TABETE」は、フードロスにどのような影響をもたらしていくのか。今後の動向に目が離せない。

(取材・文 釣見 駿)

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