「ノーテレビ・ノーゲームデー」は必要? 埼玉・小学校長「まずは試してから判断を」
埼玉県さいたま市で毎月23日に実施されている「ノーテレビ・ノーゲームデー」。これは、テレビを見る時間やテレビゲームをする時間を減らすことにより、子どもたちの生活習慣を改善し、基礎学力や自主的な思考力を向上させることなどを目的として、実施されている。
・[ニコニコニュース]「家族とふれあい深めてもらうため」 自治体が取り組む「ノーテレビ・ノーゲームデー」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw200694
「ノーテレビ・ノーゲームデーは時代遅れ」「普通の家族ならテレビ見ていてもその内容をネタに会話が出てくるんじゃないか」「家族で楽しんでゲームとかある」――。2012年2月21日にニコニコニュースで取り上げた「ノーテレビ・ノーゲームデー」の記事に対しても、「ノーテレビ・ノーゲームデー」の存在意義が問うような声も上がっている。
そんな中、さいたま市の清水勇人市長は、「健全な子どもたちの育成のためには、家族とのふれあいは必要不可欠である」とした上で、「私自身が教育現場を訪れて、『ノーテレビ・ノーゲームデー』の実施を直接呼び掛けたい」と意気込む。
では、実際に、どのような取り組みが行われているのだろうか。ニコニコニュースでは、「ノーテレビ・ノーゲームデー」にユニークな試みを行なっているという、さいたま市立柏崎小学校を取材した。
■ノーテレビ・ノーゲームデーのシンボル『スマイルちゃん』
柏崎小学校では養護教諭と数名の児童が校舎の昇降口に立って、「ノーテレビ・ノーゲームデー」の前日の朝、「明日はノーテレビ・ノーゲームデーです。忘れずにやりましょう」と登校中の児童に声をかける運動が恒例となっている。
その際、呼びかけを受け持つ児童のそばに立って活躍するのが、ユニークなキャラクターの「スマイルちゃん」だ。「スマイルちゃん」は、ダンボールや模造紙などで手作りされたロボットで、その胴体には「ノーテレビ・ノーゲームデー」を訴えるプレートが貼られている。
同校の養護教諭は、『スマイルちゃん』が制作された経緯について、
「ノーテレビ・ノーゲームデーの呼びかけを行う児童の声が、朝のあいさつ運動の声に負けてしまうことがあり、ビジュアルでも分かるようにした方が良いと思って作った。児童が登校時にちょっと見て『そうだ。明日はノーテレビ・ノーゲームデーだった』と気付いてくれるように、スマイルちゃんの胴体や両手の旗に、メッセージを大きく表示させる工夫もしている」
と話した。
また同養護教諭によると、取り組みが始まった当初は、一回り大きなロボットキャラクター『スマイルくん』が役を担っていたが、経年による劣化が目立ってきたことや、児童が持ち運ぶには本体が大き過ぎるなどの理由で、現在の2代目『スマイルちゃん』の作成に至ったという。
■「ノーテレビ・ノーゲームデーは必要だ」
では、子どもたちや保護者たちは「ノーテレビ・ノーゲームデー」をどのように捉えているのだろうか。同校の児童に話を聞くと、当日はテレビやゲームから離れ、その時間を読書や宿題、家の手伝いなどの活動時間に振り替えているという。一方で、保護者の反応として、「めんどくさい」「反対している」などの率直な感想も話した。
これに関して、同校の駒宮寿夫校長に話を聞くと、保護者は大旨の理解を示しているものの、一部の保護者からは「もうやらなくてもいいんじゃないか」「学校が音頭を取る必要がどこにあるのか」「(施策の)趣旨は分かるけれども、100%賛成ではない」という意見も寄せられていると述べた。
他方で、駒宮校長は、子どもの生活習慣の改善を行うことによって、基礎学力の向上はもとより、児童それぞれの自主的な思考や判断、行動などに好ましい影響が出ている実例を挙げ、
「こういった時代の様々な意見がある中で、ノーテレビ・ノーゲームデーの取り組みは必要だと考えている。誰かが音頭を取って、体験させること、やってみることが大事だ。やる前から効果の有無を考えるのではなく、まずは試してみてから必要性を判断することが望ましい」
と述べ、各家庭に実施を呼びかけるだけではなく、子どもたちやその保護者に対して、施策へのフォローを継続的に行っていくことが重要であるとの考えを示した。
(内田智隆)
【関連記事】
「家族とふれあい深めてもらうため」 自治体が取り組む「ノーテレビ・ノーゲームデー」
子どもの「テレビ離れ」は本当? 「ほとんど見ない」倍増のデータが公表
フジテレビプロデューサー・福原伸治「ニコ動が面白くなればテレビ制作者も焦る」
橋下市長、「朝まで生テレビ!」で激論 ネットでは建設的な議論求める声も
ポケモンの石原社長、『ポケモン+ノブナガの野望』に「このコラボを異例とは思わない」
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。