激突! 東宝『シン・ゴジラ』 VS 松竹『秘密 THE TOP SECRET』 邦画の行方を占う大一番

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ゴジラ快進撃!ワンピース、ディズニーを撃破

『シン・ゴジラ』の初週、週末興行Vは快挙だった。前週、本年邦画トップの週末成績を叩き出した『ONE PIECE FILM GOLD』(82万人・11億5500万円)、そして、その前の週に洋画の週末興行トップを記録した『ファインディング・ドリー』(57万1000人・7億4556万円)を抑えての、堂々の第1位。「封切り週なんだから当然じゃない?」と首をかしげる人もいるかもしれないが、前作の『ONE PIECE FILM Z』は公開後4週間、昨年のディズニー×ピクサー作品『ベイマックス』に至っては6週間首位を独走し続けた鉄板コンテンツなのだ。

【2016年7月30~31日週末ランキング】※( )内は前週の順位
  1 (初)『シン・ゴジラ』1週目
  2 (2)『ファインディング・ドリー』3週目
  3 (1)『ONE PIECE FILM GOLD』2週目
  4 (初)『ターザン:REBORN』1週目
  5 (3)『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z』3週目
  ※興行通信社調べ

実写ファンとしては悲しいことに、今の日本映画界の屋台骨はアニメだ。しかし、『シン・ゴジラ』はそんな昨今の風潮を見事に撃破してくれた。

番宣なし、内容不明、『シン・ゴジラ』捨て身の宣伝戦略

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『シン・ゴジラ』の快挙はそれだけではない。従来、映画は封切りに向けて予告編やテレビの番宣などで繰り返し情報を出し、とにかく世の中の関心を集めるのが定石だ。昨今は、映画の一部をネット公開してしまう作品すらある。しかし、『シン・ゴジラ』はそんな宣伝戦略の定石に完全に逆行した。

今だから言える衝撃の事実がある。『シン・ゴジラ』も他作品と同様に、ひと月ほど前にマスコミ向け試写会が行われた。本来、試写会の目的はただ1つ、レビュー記事や番組で前評判を高めてもらうこと。にも関わらず、『シン・ゴジラ』は試写会に来たマスコミ関係者に、内容について言及することを一切禁じた。そんなことをしたら客足が遠のく。内容が不明なものに、わざわざお金と時間をかけてお客さんは見には来ない……はずだった。しかし、週末興行の蓋を開けてみれば『シン・ゴジラ』の圧勝。それどころか、初日以降、口コミが口コミを呼び、公開4日目にして観客動員71万人・興行収入10億円を突破してしまった。この無謀とも言える宣伝戦略を考えたのは、庵野総監督本人だったと言う。

東宝 VS 松竹、映画会社の威信をかけた一大決戦が火蓋を切る!

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さて、本題はここからだ。この週末(8月6日~7日)邦画大手2社の総力作品が激突する。東宝の『シン・ゴジラ』に挑むのは、松竹がこの夏一番の目玉作品として製作した『秘密 THE TOP SECRET』だ。この作品の宣伝手法は、まさに王道。人気俳優の生田斗真と岡田将生を全面に押し出し、とにかくテレビで見ない日はないほどに番宣稼働。宣伝ポスターも、出演者情報すらない『シン・ゴジラ』に対して、邦画の典型とも言える、主な出演者は全員顔出し、内容を想起させるキャッチコピー、ビジュアルも惜しむことなく公開している。(※TOP画像参照)

更に言えば、『秘密 THE TOP SECRET』はテレビアニメ化もされた人気漫画原作、製作委員会方式という今の日本映画界が「当たる」と信じてやまない方程式に則って作られている。(『シン・ゴジラ』は、昨今異例とも言える東宝単独製作)。『シン・ゴジラ』の口コミ力は、邦画の常識を打ち破れるのか? はたまた、やはりタレント押しの漫画原作には勝てないのか? これは、今後の邦画製作の行方を占う、大一番の対戦カードになるだろう。

画像提供:東宝、「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会

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(執筆者: 荏谷美幸) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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