「いつも徹底しています」 孫正義と超人気ヴィジュアル系バンドの意外な共通点とは?

■選んだ一冊は「半ケツ」!?

栄枯盛衰のスピードが速い「ヴィジュアル系」という音楽ジャンルにおいて、圧倒的な支持を受け続けているKAMIJO。

1995年にLAREINEでキャリアをスタート。現在はソロを中心に活動中。今年8月7日には2012年末をもって活動を休止していたVersaillesの完全復活ライブが予定されている。

そんな彼は、実は読書が好きで、多忙な中で時間を見つけて本を読んでいるという。

お勧めの一冊をあげてもらうと、『半ケツとゴミ拾い』(地湧社刊)という本を取り出した。そして、「僕の口から『半ケツ』という言葉が出てくるのは意外だと思いますが」と前置きした上で、「皆さんにぜひ知ってもらいたいと思って持ってきました」と語り出した。

KAMIJO:著者の荒川祐二君は友人で、僕と考え方がすごく近いものがあります。それは、「はじめの一歩」が何より大切だと考えていることです。この本のストーリーは、そのメッセージ、その一言を伝えるためにあるもので、若者向けに分かりやすく書かれています。

『半ケツとゴミ拾い』は取り柄のない大学生だった著者が、自主制作映画に喚起され、新宿駅前で一人ゴミ拾いをはじめ、妨害に合いながらも次第に仲間を増やし、自分を変えていくという実話が書かれた一冊だ。

KAMIJO:僕自身、歌い始めてから20年になりますが、あの最初の一歩があったからこそ、今があります。

自分にとっての最初の一歩…それは、とにかく自分を音楽に追い込むことでした。もう引き下がれないという状況を自分で作ったんです。作曲に必要な機材を買い揃え、「これをちゃんと使わないと、本当に後悔する」…そんな状況まで自分を追い込み、音楽活動をスタートしました。

でも、一歩踏み出せば、その後は動く歩道のようになって、いろいろな人が助けてくれるようになります。そのことをぜひ知ってほしいですね。

■「ビジネス書が大好きなんです」

「はじめの一歩の大切さを知ってほしい」という想いから、『半ケツとゴミ拾い』を挙げたKAMIJO。では、普段どんな本を読んでいるのか?

KAMIJO:小説では、ダン・ブラウンの作品が好きですね。『ダ・ヴィンチ・コード』や『ロスト・シンボル』など、名作が揃っています。

でも僕は、どちらかというと普段はビジネス書やビジネス誌を読むことが多いんです。『PRESIDENT』や『日経ビジネスアソシエ』、ビジネス書を空港で買い、ワールドツアーをまわる途中の飛行機の中で読んだりしています。大好きなんです、仕事術が書かれた本が。

最近読んだのは、部下育成がテーマのビジネス書です。部下に仕事を任せきれなくて、自分で仕事をやってしまうことってありますよね。まさしく、僕がそうなんですよ(苦笑)。

「ビジネス書が好き」――意外な答えだった。LAREINEも、Versaillesも、近世ヨーロッパの貴族を彷彿とさせるビジュアルが特徴的で、共通のテーマは「永遠」。ステージ上からは見えない、素のKAMIJOが垣間見えた瞬間だ。

KAMIJO:自分の好きなものに共感してもらって、一緒に好きになってもらうことは得意なんですが、教えるということが苦手なんです。

ビジネス書といえば、若い頃には「孫子の兵法」を読み込んだことがあります。あの本もビジネスに通じるところが数多くありますよね。

■孫正義が実践する時間短縮術を駆使する

KAMIJOはビジネスマンとしても超一流の腕前を持っているのだろう。2008年、「ヴェルサイユ戦略」という言葉がにわかに話題になった。自作のプロモーションビデオを宝探しのような遊び心を込めて動画サイトに投稿。それが元となってネット上で「バズ」り、さらに海外からも注目を集めるという、当時としては先進的な試みを成功させた。

斬新なアイデアを生み出す仕事のスタイルは、とにかく「徹底的」である。

KAMIJO:僕は「ハック」が大好きなんです。いかに仕事を効率よく終わらせるか、無駄な時間を作らないか。それを突きつめています。

効果的だと思った時間短縮術は、「メールをすぐに返す」というものですね。これは、ソフトバンク会長の孫正義さんもやっているそうで、1行でも2行でもいいからすぐに返事をするんです。部下は何か困ったことがあってもすぐに解決できますし、僕自身の意思決定のスピードも速くなるからすごく生産性があるな、と。メールは24時間対応しています(笑)。

Versaillesの楽曲は、一曲一曲が際立った個性を持っている。しかし、歌詞を読んでみると、すべてがつながった一つの世界観を形成している。「作品は、まず一つの物語をつくることから始めます」と語るように、バンドの核となるコンセプトの部分を担うKAMIJOには膨大な時間が必要だ。

だからこそ、「ハック」は、1つの壮大なストーリーを生み出す時間を作るために、必要不可欠な要素なのかもしれない。

KAMIJO:1つの作品を生み出すために、半年間研究をすることもあります。だからこそ、とにかく無駄をなくしたいんです。

ノートも活用していますが、書き溜めたものの中で取捨選択をし、要らないものは捨てて、必要なものはスキャンしてパソコンに取り込みます。最近は「ScanSnap」など高性能なスキャン機具が出てきていて、すぐにクラウドに保存できるようになっています。それをアプリと合わせて活用することで大幅に時間を短縮できるようになりました。

基本的にパソコンもスマートフォンもアップルです。新しいものが出たら購入して、それを使い倒します(笑)。データはすべて同期していて、「Evernote」に記録したことをパソコンで使ったり、「Dropbox」は会社で契約をしていて、無制限で使えるようにしています。だから、ツアー先が海外であっても、日本と同じように仕事ができるんです。

■世界を驚かす「戦略」は新たなフィールドへ

最大限活用するというエピソードから、世界から支持を集めるヴィジュアル系バンドとクラウドの相性の良さがうかがえる。さらに、話は止まらない。

KAMIJO:時短術では、パソコンやスマホの単語登録も徹底しています。例えば、「あ」と入れたら、Versaillesのメジャーデビュー曲である「ASCENDEAD MASTER」が出てくるようになっています。曲名はすべて登録していますし、フリック入力もiPhoneを手にした瞬間に練習して使いこなせるようになりました。

スケジュールアプリはいろいろなものを一度は使ってみるのですが、なかなかしっくり来るものが少ないんですよね。今は「Refills」というアプリを使っています。

Versaillesは、2016年8月7日、舞浜アンフィシアターでのライブで完全復活を遂げる。

そのとき、KAMIJOは最先端を常にチェックしている頭脳から、新たな「ヴェルサイユ戦略」を生み出すはずだ。だからこそ、今、考えているバンドの戦略について質問を投げてみた。

KAMIJO:予告をすると、ぜひ「コンビニエンスストア」に注目していてください、ということですね。

今回の完全復活は、単なる活動再開ではありません。これまでのVersaillesを超えたものをお見せします。そして多くの人にこのバンドを知ってほしい。コンビニはたくさんの人が使う「オアシス」ですよね。ぜひ、その「オアシス」でお会いしましょう。

コンビニで何が起こるのか。期待しながら、その時を待っていよう。

(取材・文/金井元貴)

■KAMIJOさんプロフィール

1995 年よりLAREINE(当時の表記はLALIENE)のヴォーカルとしてライヴ活動をスタート。2007年春、Versaillesを結成。大規模なワールド・ツアーを行い世界中を圧巻させてきたが、2012 年12 月活動を休止。2013 年8月、シングル「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」でソロデビューし、2015年は自身のキャリア20年を記念したワールド・ツアーを決行。グランドフィナーレとなった12月28日Zepp DiverCity Tokyo 公演は即日ソールドアウト。

 2016 年より新章「Aestheticism」をコンセプトに掲げた全国ツアーが決定。ツアーファイナルは5 月30日に赤坂BLITZで開催され、Versaillesの活動再開も発表。完全復活ライヴが8月7日に舞浜アンフィシアターで行われる。

KAMIJO Official Web Site – CHATEAU AGENCY Co.Ltd.

 

■各プレイガイドにて一般チケット発売中!!

 

Versailles 完全復活ライヴ「Chateau de Versailles」

8月7日(日) 舞浜アンフィシアター

OPEN 16:15 / START 17:00

[料金]

指定席 7,800 円(税込)

※3歳以上チケット必要

一般発売日 : 7月2日(土)10 : 00~

イープラス http://eplus.jp (PC・携帯共通)

ローソンチケットhttp://l-tike.com (Lコード : 76983)

チケットぴあ http://t.pia.jp (Pコード : 301-531)

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