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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.12 TAIGEN KAWABE(BO NINGEN)× オカモトコウキ

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OKAMOTO’Sのメンバーが友人はもちろん、憧れのアーティストなどをゲストに迎える対談企画第12弾は、メンバーの学校の先輩でもあるミュージシャンTAIGEN KAWABE(BO NINGEN)が登場。イギリスを拠点として活動するTAIGENの元で、オカモトコウキが1ヶ月同居生活をした際のエピソードやミュージシャン同士の悩み相談など、積もる話は尽きない回と相成りました。

——今回は和光繋がりのお二人ですね。 コウキ「はい、学校の先輩です。いくつ上でしたっけ?」
TAIGEN「5歳だね。ロンドンに行って2、3年目の時に日本帰ってきて、和光のブラスバンド部の合宿にコーチに行った時にハマとレイジと会ったんです」
コウキ「ヤバい先輩にCANやNEU!を教えてもらったということをレイジたちに聞いていたものの、僕がきちんとお会いしたのは2010年のOKAMOTO’Sのライヴの時。その時も挨拶くらいで、後にBO NINGENのCDを聴いて、TAIGENくんの活動を追っていった感じです」
——そこから仲良くなったのはどういう経緯で?
コウキ「TAIGENくんが帰国している時に急に会いに行ったんです。そこで色々と音楽の話をして、イギリスに行きたいと相談したら、うちに泊まりなよと言ってくれたので一ヶ月居候させてもらいました」
——TAIGENさんに会いに行こうと思ったのは、ロンドンに行きたいということに加えて、何かきっかけがあったんですか? コウキ「BO NINGENが好きだったので本場でライヴを観たいという気持ちと、ヨーロッパ圏にあまり行ったことがなかったのでそっちの音楽状況を体感したかったんです」
TAIGEN「僕も日本で音楽をやる可能性や意味、活動自体に関してじっくりと腰を据えて情報交換をする機会があまりなかったから、メジャーでやっているOKAMOTO’Sに聞きたいところもあった」


——ちょうどBO NINGENも日本でメジャーデビューしたところでしたもんね。 TAIGEN「そう、一番身近にいる最前線でやってるバンドだから質問をぶつけるには最適の相手だったんです。やってる音楽とやりたい音楽とのギャップを感じてる人もメジャーにはいるけれど、傍から見てOKAMOTO’Sはそのバランス感覚がすごく良いように感じていて。メンバー各々はディープに掘ってるし、高校時代から変わらず音楽に対する探究心がすごい。ライヴでも自分たちのやってる音楽だけじゃなくて、こういうインフルエンスがあるんだって堂々と公言してお客さんを導いてるのはすごいと思っていたから、音楽的なところを深く聞ける機会があってよかった」
コウキ「バランスがいいと言われてうれしかったけど、実際はすごく悩んでいて。僕たちからしたら、TAIGENくんたちは本場で本当に自分たちのやりたい音楽をやっているように見えていましたが、話してみたら実は全く同じ悩みがあった。しかも聴いている音楽が想像していたより俄然広くて、日本のアイドルからヒップホップ、何から何までをものすごく研究しているんだと知って刺激になりました」
TAIGEN「バンドをやっていると特に、これを聴いているのは格好悪いとか壁を作ってしまいがちだけど、渡英してからそれはよくないと思い始めて。いろんな音楽を聴くこと自体がジャンルの橋渡しにもなるし、自分たちの枠も外れてたくさんの人に聴いてもらえると音楽差別をしないように心がけています。単純に自分が一つの音楽を突き詰めていくタイプではなかったというのもあって、バックグラウンドがわからなくてもとりあえず興味があれば聴いてみて、気持ちいいかどうかという快楽主義的な部分で判断してる」
コウキ「日本はそのシーンの中でどう上がっていくかばかりを考えていて、そういう聴き方をしている人は少ない気がします。例えばレイジがヒップホップを好きで、その要素を取り入れるということも最初からやっていたことなんですけど、なかなかお客さんに広がらなかったのが、今ようやく実ってきたり」
TAIGEN「それは、聞いてはいたけど、自分たちの音源で伝えきれなかったってこと?」
コウキ「両方あります。ヒップホップのカバーをアルバムの中に入れても、邦ロックというカテゴライズから逃れられなかった。メンバーはみんなそれぞれ色々聴いているし、実は様々なことができたんだけど、デビュー時にはオーセンティックなロックが格好いいと思ってやっていて。その最初の印象が強くて、いざ変えようとすると難しかった」


TAIGEN「カテゴライズするほうが簡単だからね。ライヴを観たり、聴いてわかっちゃうようなインフルエンスしか言わないバンドが多いんだけど、それだったら大本のミュージシャンを見た方がいいし、そのままでしか出せないくらい自分のフィルターがないということだから萎えちゃうんだよね。そういうバンドとOKAMOTO’Sは圧倒的に違ってた」
コウキ「ずっと悩んでますけどね(笑)」
TAIGEN「ステップアップしていくほど自分のOKラインもどんどん上がって、アーティストとしてすごく辛くなってくるんだよね。でもそれは必要なことだし、進化し続けていかなきゃいけない。マンネリを求める人もいるかもしれないけど、自分たちが満足できるもの作らないと」
コウキ「マンネリ化すると聴く人も減っていくし、自分たちもテンションが下がっていきますよね。一つのことを突き詰めているプロフェッショナルで格好いい人もいますが、こんなに毎回作風が違う日本のアーティストはあまりいないかもしれない」
TAIGEN「確かに。セールスが厳しい今は特に挑戦が難しくなってきている。でも最新作の『OPERA』は挑戦的で素晴らしい。OKAMOTO’Sがロンドン来た時に、レイジに何曲か聴かせてもらったんだけど、それまでとイメージが違ってたから『冒険したね!』って話をしてて。で、完成したアルバムを聴いたら全曲違う個性なのに、バランスがとれてる。みんなのやりたいことが出てて、テーマもオペラでグシャグシャやってるわけじゃん。1曲の中でもグシャってなってるんだけど、最後にサビのところでOKAMOTO’Sとわかるようになってるのがすごく良くて」

——『Let It V』でもそれぞれの個性が出始めてはいたんだけれど、『OPERA』は次元が違うというか。 コウキ「バランスは常に考えていました。正直、『OPERA』はやりすぎだなと思ったけど、自分たちがノリノリで『なにこれ!? 格好いい!』って取り組めないと意味がない。すごく計画を練って考えるやり方もありますが、僕たちは感覚的で計算できないタイプです(笑)」
TAIGEN「あのアルバムはすごく元気が出たんだよね。懐とかそういう問題だけじゃなくて、バンドとしてすごいチャレンジだから。ブレてたら絶対できないし、本当に強いと思った。でも『どうしちゃったんだ?』とか言われなかったでしょう?」
コウキ「確かに言われなかったですね。もっと言われると思っていましたが、『OKAMOTO’Sがそれをやるのはすごくいいね』という反応が多かった」
TAIGEN「うん、僕も全く同意見。コウキは今、アルバムの何割くらい作曲してる?」
コウキ「『OPERA』ではショウが一番多くて、僕はその次くらいです」
TAIGEN「それがわかりにくい。OKAMOTO’Sみんなで作ったアルバムになっててすごい」
コウキ「みんなで作るというのは重要ですね」
TAIGEN「コウキのソロ曲もすごくいいアクセントだったね」
コウキ「ちょうどTAIGENくんの家に泊まっている時に、ギターを借りてずっと部屋で作っていました」


——コウキくんの曲は洋楽のダンスミュージックを意識して作っているのが新鮮でした。 TAIGEN「それ、思いました。コウキのヴォーカルは、切なさもあり、包み込む感じがあって、ふわっと浮遊してるみたい。心地よくてあの曲に合ってる」
コウキ「あの曲にはね。それもバランスですよね。TAIGENくんは流通が世界相手だけど、プロモーションに関してはどこまで考えるんですか?」
TAIGEN「今まであまり考えてなかったんだけど、世界規模での年間プランをバンドで考えることはしなきゃいけない時期に来てて。アメリカはプロモーションとして年に1、2回は作品を持ってライヴに行かなきゃいけない。そのために作品を作るとかね」
コウキ「アメリカだけではなくロンドンも日本もあるし、スケールが大きくて大変そう」
TAIGEN「日本はすごく戦略を練るからビックリするんだよね。イギリスのレーベルはそこまでやらないよ」
——イギリスは日本にくらべるともう少しカジュアルで、ライヴを観に来てくれたメディアがそのまま載せて、有名になっていったり。そういうことが積み重なっていく感じですよね。 TAIGEN「そう、オーガニックな感じ。狙いすぎるとどうしても嘘くさくなるから」
コウキ「そのオーガニックな感じは、ラフトレードでBO NINGENのライヴを観た時にも伝わりました。レコ屋でいいライヴをやって、ライヴ目当てじゃない人もなんとなく観ていて、『うわ、最高!』という反応で。その後の対応もしっかりしているから、観客がCDを買って帰るという流れがすごく自然なことだと思えました。みんな反応がダイレクトなのですごく鍛えられますよね」
TAIGEN「サバイバル感が違うんだよね。生命力みたいなのが」
コウキ「必死にやらないと生き残っていけないし、今ここでまさに闘っている最中なんだということを生で観られてすごく刺激受けました。ロンドンで観たCrossfaithもすごかった」
TAIGEN「Crossfaith、観てみたいんだよね」
コウキ「ゴリゴリのハードなフェスの中で全く負けてなくて、本当に強かった」
TAIGEN「アメリカも回っててすごいよね。アメリカは多分イギリス以上に口コミでも広がるし、レビューサイトもすごく力を持っているから爆発もさせやすい。結局いいライヴをして、いい反響起こしてということが一番大切なんだけど、何回か爆発的に濃い発信をしないと規模が大きい分広がりにくいんだよね」
コウキ「やっぱりライヴですよね。イギリスで一番影響を受けたのもそこです。格好いいロックを作っても、日本にいる時点で本物にはなれないのかと思っていたけど、TAIGENくんたちの活動を間近で見て、ライヴでお客さんを掴んでるのがわかったし、どこでやるにしても、結局色々な音楽を聴いて、たくさんライヴをして鍛えるしかないと思えたのはよかった。自分たちもすごくいい状態なんだとわかったし、視野が広がって自由になった。なにより、こういうことが可能なんだと勇気をもらいました。凝り固まった考えがなくなったのが一番『OPERA』に直結しているかもしれない」

ーー今はもう次作のことを考えていますか?

コウキ「そうですね。ただ、『OPERA』が自分たちにとって大きな作品だったので、あれを咀嚼するにはまだもう少し時間がかかるし、もう一回鍛えなおしていいライヴがやりたい。ライヴと言えばOKAMOTO’Sだと思われるくらい頑張りたいです」
——TAIGENさんたちも制作に入ってますよね? TAIGEN「曲作りはしてます。コウキはもう一度ライヴを見つめ直したいということだったけど、うちらは音源について考えている。音源もいいけどライヴはもっとすごいと言われることにちょっとコンプレックスがあるので、そのバランスを考えて作ったのがサード・アルバム。それで今度はどうするかを考えているところ」
コウキ「もっとスタジオワークを凝って、ライヴでは再現できないものをやるのは?」
TAIGEN「そうするとやっぱりライヴとの差が開きすぎるから迷っている。日本でソロでも色々関わった音楽があって、メンバー個々もあるだろうし、それを持って帰って話したい」
コウキ「TAIGENくんのソロライヴ、すごく良かった。ダイナミックで、最初から最後まで決められていたんじゃないかというような物語性もあって」
TAIGEN「即興でやる時は、着地と、いかに“瞬間”を作れるか。いびつな時があっても、これは2回は繰り返せないだろうというアメージングな瞬間が一度でも出たら成功だと思う。そして終わりよければじゃないけど、ちゃんと着地させる。そこにはすごく神経を注いでいる」
コウキ「『これだ!』って時がたまにあるんです。その瞬間がライヴにあるかないかで印象が随分違うし、ライヴでは常にそれを探し求めている」
TAIGEN「ソロは1人だし、事前に何も決めてないからこそ、その瞬間を求めてて」
コウキ「確かに。結局、決めていると来ない気がします」


——次作の話にも通じますが、BO NINGENは今後アメリカにも広げていく中で戦略として自分たちの音楽を変化させていくのか気になります。 TAIGEN「それは海外のパブリッシャーの人にもよく言われます。アンダーグラウンドで続けていきたいのか、それともメジャーなフィールドで勝負したいのかと。やったことがないという意味では、多分メジャーの方がチャレンジなんじゃないかという話はメンバーとしていて。僕は、そこは英語を違う楽器として使おうと思っているんですね。英語で歌う時と日本語で歌う時で、チューニングも性質も違うギターがあるような感じでヴォーカルが異なる。それを使うのもチャレンジだし、一度メロディーがポップな曲もやってみたんだけど、ただ単純にポップにするだけだったらBO NINGENより上手いバンドがいっぱいいるし、ちょっと違うねと組み直したり。でも今年はチャレンジしていかなきゃいけないと思っています。変化を恐れずに、いかに自分のアイデンティティを崩さないかというのはすごく難しいです。そこを悩んでる時に『OPERA』を聴いたから、そういう意味でも元気が出た」
コウキ「確かに、あれは1個の突き抜け方かもしれない。成功か失敗かはわからないですが」
TAIGEN「いや、あれは成功でしょ。うちらも頑張ります(笑)」
——昨年末から音楽シーンも変革期に入っていて、両者がどう考えているのかはみんな気になっていると思います。 コウキ「どっちにいくんだろうと迷ってる人が多いし、面白いことになりそうですよね。『OPERA』も数年経って、この時代でこういうことをやっていたのかと評価されたらいいなと思います。すぐに忘れられてしまうような作品ではなく、賞味期限が長くなればと。でも音楽で飯を食っていく人間として、大衆に向き合うものもやらないといけない。星野源さんが自分の好きな音楽をやってあれだけ売れているのはなんでなんだろう、メロが童謡っぽいので受け入れられやすいのかなと思ったり。ヒットチャートに入る人が聴いている音楽はどういうものなんだろうなど、たくさん考えていて、自分たち流の向き合い方を見つけたい」
TAIGEN「そうだよね。フィルターが進化して濾過されていくと、残るのは自分のオリジナル。そうするためには分析というか、考えて音楽をやることは大事だと思う。同時に直感的にいくことも大事だし、バランスだよね。本当に同じ悩みを抱えてるよなあ(笑)。『OPERA』には勇気づけられたし、本当に好きだったけど、でもあれを超えてさらに悩むところがあるんだよね」
コウキ「ずっと悩み続けるんでしょうね(笑)」

撮影 依田純子/photo Junko Yoda
企画・取材 桑原亮子/direction & interview Ryoko Kuwahara

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BO NINGEN
『Kizetsu no Uta / Live in Paris』
完全生産限定盤 紙ジャケ仕様 全6曲収録
01. Kizetsu no Uta
02. Slider
03. Henkan
04. Koroshitai Kimochi
05. Natsu no Nioi
06. Daikaisei Part II, III

TAIGEN(BO NINGEN)

ロンドンを拠点に活動する日本人男性4人組サイケデリックロックバンド。全曲日本語で構成された歌詞と、70 年代サイケデリックを体現したような風貌、ヘビーサイケ、スペースロック、ノーウェイブ、クラウトロック、ベースミュージックの要素が混然一体となって押し寄せるグルーヴで人気を確立。これまでに3枚のフル・アルバムをリリースし、グラストンベリー、レディング、コーチェラ、フジロック、サマーソニックなど、世界各地の大型ロックフェスティバルにも出演を果たす。2016年3、4月にはプライマル・スクリームのUKツアーのサポートアクトを務め、その評価と人気は今も拡大。フジロック・フェスティバル2016にも出演決定。
http://boningen.info

OKAMOTO’S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム 『10’S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月に は両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。2015年9月30日、6th『OPERA』をリリース。2016年6月1日にNetflixドラマ「火花」の主題歌となる「BROTHER」を表題曲にしたシングルをリリース予定。また、同年6月3日から全国47都道府県を巡る「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」を実施。
http://www.okamotos.net

 

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