「10分1000円カット」を愛する野田総理の地元千葉県で1000円カット潰しの規制開始
野田総理が「10分1000円カット」のファンだということをご存知でしょうか。
スポーツ報知によれば、野田総理は組閣の行われた日の翌日も「1000円カット店」を訪れ、散髪をしてもらったそうです。
もともとは秘書さんの紹介で1000円カット店の存在を知り、それ以降よく通っているそう。庶民派な総理に親しみを感じてしまうエピソードですが、野田総理の地元である千葉県で「1000円カット規制条例」が施行されたということはあまり知られていません。
実はこの「1000円カット規制条例」は全国的に拡がってきています。既存の「1000円カット店」と競合する業界他社が行政に働きかけているそうです。
どういう規制か
「1000円カット店」というのは、カットだけを専門におこない、洗髪などを省略することによってスピードアップ、そして低価格を実現しています。よくある散髪屋さんとは違って洗髪台がない、というのが特徴で、切った髪の毛は小型の掃除機のようなもので吸い取ってしまいます。そしてお役所が新しく作った規制では、洗髪台がないというのが特徴の1000円カット店に対して、洗髪台の設置義務付けをおこなっています。
これによって、新しい1000円カット店の進出を少しでも阻もうというのが目的です。
■1000円カット規制の内容
・流水式の洗髪設備必須
・既存店舗は増改築のタイミングまではそのままでよい<千葉県理容師法施行条例・美容師法施行条例改正について>
http://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/koushuueisei/shisetsu/documents/senpatsushisetu.html [リンク]
要するに、新規出店しようとしている「1000円カット店」を狙い撃ちにしているわけです。
実にくだらない規制です。
使わない洗髪台をお店の裏に
こういう規制に対応するため、1000円カット店ではどうしているかというと、使わない洗髪台をお店の裏側につくるそうです。まったくムダなスペースだけど、それを作らないと出店できない。「洗髪台がいらない」という特徴を活かした出店ができるのがウリなのに、そういう利点がまったく活かされなくなってしまう。これって、誰のための規制か、もっときちんと考えなおす必要があるんじゃないでしょうか。
原さんにきいてみた
規制問題について詳しい『「規制」を変えれば電気も足りる』の著者、原英史さんに、この1000円カット店問題についてきいてみました。
――「1000円カット店」規制条例ができるまでの流れについて教えてください
原:2010年3月8日の千葉日報をみると、もともとは、県理容生活衛生同業組合が「吸引器による処理では刈り毛が完全に除去できず、そのあとで飲食店に行ったりすると毛が飛び散って不衛生で感染の原因になる」といった理由で「洗髪設備の設置義務付け」を求めて請願を実施したのがはじまりです。そしてこれを受けて、昨年12月に県議会で条例が可決されて「洗髪設備のない理容所は禁止」となりました。
しかし、「毛が飛び散って感染の原因」なんて本当に考えているとはちょっと信じられません。QBハウスを出てそのまま党の会議に向かった野田総理も、そんな「危険な行為」をした認識はないでしょう(笑)。
http://www.chibanippo.co.jp/news/chiba/politics_economy_kiji.php?i=nesp1268010846 [リンク]
――こういう昔ながらの規制のつくられ方を断ち切ることはできるんでしょうか
原:確かに1000円カット店が進出してくると既存の理容店の経営は脅かされるのでしょう。ですが、だからといって新たな工夫をこらして成長してきた新業態を理不尽な理由で「不衛生」といい、政治家や役所を動かして規制をつくりあげてしまうというやり方はよいとは思えません。ベンチャー精神を既得権益が公然と押しつぶすようでは経済成長は望めません。
――まさに「既得権益を守るためにつくられた規制」の象徴のような「1000円カット店規制」ですが、1000円カット愛用者の野田総理はこれに立ち向かっていけるのでしょうか
原:野田総理は、野党時代には規制改革には強い関心があったんですよ。確かに1000円カット規制は一つの象徴ですが、もっと大きな目で、「既得権益を守る規制」のしがらみに総理自身がどう立ち向かっていくのか、注目していきたいですね。
参考)
『「規制」を変えれば電気も足りる』(原英史著)
(第3章で「1000円カット規制」が制定されてきた経過が書かれています)
http://www.amazon.co.jp/dp/4098251124
野田首相「QBハウス」で散髪 10分1000円:社会:スポーツ報知
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20110903-OHT1T00294.htm [リンク]
トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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