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節電のために臨時休館する図書館たちへの素朴な疑問

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街で節電のためにエスカレーターが停まってても、電車内の電灯が消えてても、お店の看板が真っ暗でも、心のなかで「しょうがないよね」と思ってました。でも、公共の図書館が「節電のために臨時休館」しているのを見て、モヤモヤとしたものを感じた、というお話です。

図書館って、そういう理由で閉めてもいいものなんでしょうか。

きっかけは、東京のとある公共図書館へ行ったとき。この図書館、本来休館日は週1日でした。しかし7月に入り「節電のため臨時休館をおこないます」というアナウンスがおこなわれたのです。つまり週に1日休みだったのが週2日休館となったわけです。それが9月まで続くそうです。節電のために図書館を週イチ休館してしまうというのは、大胆なやり方だなぁとそのアナウンスを見た時に感じました。

図書館は書籍をはじめとする情報や場所を共有することで市民の知的活動を支援する場所です。そこに多くの人が集まり、空間をも共有することで結局節電につながるという発想は難しいのでしょうか。

知と情報のインフラ

そもそも図書館には「自由な思考と判断に基づき社会へ参加するための環境を提供する」等といった高い理念があるときいたことがあるのですが、電力需給が逼迫しているならいざしらず、そうではないのにそんなに簡単に休んでしまっていいのかというのが素朴な疑問です。例えばGoogleやYahoo!等のウェブサービスやソーシャルネットワークサービス、一般向けのクラウドサービス等を週に1日お休みしますということになれば――まぁそんなことはありえないのですが――困る人が多く出てきますし間違いなく大騒ぎになります。ウェブから提供されるサービスや情報は今、それほど日常的に必要とされているものです。いわばこれは知と情報のインフラであって、図書館も同様の役割があるんだと思っていました。しかしながら図書館側は図書館の休館日を増やしてもさほど困る人は居ないと踏んでるような気がします。

情報の入手と判断

図書館自身が現在の電力の需要と供給についての情報を得られていない可能性はあるのでしょうか。もちろんみなさんご存知の通り、ウェブ経由であれば電力会社のホームページやポータルサイトの特設ページを利用して、東電管内であれば日々10%~40%の電力が余っているということがすぐにわかります。図書館はその事実を知らないのでしょうか。もしくは知っていてもその情報を解釈して公共図書館が休館しなければいけないほど逼迫はしていないという判断ができないのでしょうか。

輪番休館

調べてみると自治体によっては、政府の提示する15%削減という目標をクリアするために各種施設を順番に休館する「輪番休館」というのをやっているところがあるようです。あらかじめざっくりとした数値目標が決められた上での休館ですので、現実の供給力がどうかとかどのくらい電気が余ってるのかという、現実世界で起きている事は配慮されていません。これから8月後半に向かっては電力需要は供給の60%前後で推移するという予測もあります。40%余るわけです。それでも休館を続けるって、やっぱりヘンです。

にぎわう図書館

この図書館、開館日は大変活気にみちており、人気の施設です。図書館機能だけではなく、生涯学習センターや市民活動、青年活動までを連続的にサポートする施設としてつくられているため図書資料目的以外の利用者も多く、さらにはお洒落なカフェなども施設内に入っており、好きな雑誌や本を読みながらお茶したりおやつを食べたりもできます。地下にはスタジオもあり若者がバンドの練習に熱中しています。また勉強やPC作業に集中できるブースもあり、夏休みはここで静かに勉強しようという学生であふれています。さらに、PCモバイラーにとって嬉しいことに、この図書館には「無線」が飛んでおり、Wifiが自由に使えます。まさにイマドキな図書館なのです。
平日でもざっくり300~400名程度は館内に利用者がいるんですが、休館することでほんとに節電になるのかなぁ、と考えてしまいます。
図書館に質問してみたところ、以下のような答えが返ってきました。

市関連施設の臨時休館等につきましてはご不便をおかけして誠に申し訳ございません。これは、発電量に限界があるため国全体で取り組んでいる節電対策の一環として、市の施設全体で電力使用量を抑えるという目標のために市が方針を定めたものであります。

現状で多少余裕があるからといって皆が節電対策を行わないような事態になれば電力が不足する可能性も否定できず、そのような不安定な状況で市関連施設が率先して平日の節電対策を中止することは、すでに節電に取り組まれている市民の皆様にご理解頂けるものではないと考えております。

政府に目標を提示され、自治体がそういう方針を決めてしまった以上、一施設としてはどうしようもないということなんでしょうか。ただ、それでもどのくらい電気が余ったら公共施設の輪番休館はやめる、というゴールの設定は必要です。どんな状況でも際限なく節電を続けるというのはおかしな話だと思います。みなさんはどう思いますか? 是非Facebookコメントをお寄せください。

余談)
下の写真は、東京都内某所のビルでみかけた貼り紙。「徹底的な節電」が必要であり、それを怠れば「突発的な大規模停電が発生」するとビルの管理人さんが訴えています。大変な危機感を感じます。しかしながら冷静に考えれば電力会社がうっかりしていない限り「突発的な大規模停電」が起きそうになる前には輪番停電が実施され、その「突発的」な事態は避けることができるはずです。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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記者:

ニュースサイト『ガジェット通信』発行人。未来検索ブラジル代表。東京産業新聞社代表。ハリウッドエンターテイメントビジネス誌『Variety Japan』Senior Editor。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラクターに興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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