“食人ママ”から親離れせよ! 漫画家・福満しげゆき衝撃のデビュー作を実写化『フリーキッチン』[ホラー通信]
『うちの妻ってどうでしょう?』や『僕の小規模な生活』などで知られる漫画家・福満しげゆきさん。そんな彼のデビュー作はなんと“食人”を題材にした短編ブラックコメディ『娘味』だったそうです。それだけでも驚きなのですが、なんとこの作品が実写映画化。タイトル『フリーキッチン』として、奇しくも食人ホラーの話題作『グリーン・インフェルノ』と同日の11月28日に公開となります。
主人公は高校生のミツオ。少し気弱なごく普通の高校生ですが、母と二人暮らしの彼の家の食卓は決定的に普通と違うところがあります。それは、“食卓に上る肉はすべて人肉”というところ。傲慢で浮気症の夫への鬱憤が溜まった母親・キョウコは、ある日夫とその愛人をキッチンで惨殺、その肉を食卓に出したところから、彼らの異様な食習慣が始まります。なにかが壊れてしまった母親は、それ以来“人肉を調達”しては食卓に出し続け、ミツオはそれに気付かぬふりをして食べ続けますが、いつの間にかミツオは食べた肉の味から“その人間の性別や年齢”まで分かるようになってしまいます。母とその習慣を拒めないミツオは苦悩しますが、あるときペットショップ店員のカナに恋をしたことから、すべての事態が一転するのです――。
かなり衝撃的なあらすじですが、映画の出来も非常にクレイジーで面白いです。淡々と“人肉を調達”してくる母の静かな狂気は、直接的なゴア描写はなくとも観る者の背筋を確実にゾワリとさせます。そして、息子を猫可愛がりする母親と、そんな母から離れようとするミツオの姿は、単純に思春期の高校生の“親離れ”を等身大に描いているようでもありますが、そこに“食人習慣”と母親の“狂気”が加わり、事態はとんでもない方向へと一変していきます。ミツオの、“食べた肉の味からその人間がどんな人かわかる”という能力も絶妙なスパイスとなり、物語をグイグイ進展させていきます。穏やかな前半からは想像もつかない衝撃のクライマックスを是非お楽しみあれ!
ミツオを演じるのは映画『ビリギャル』などに出演した森田桐矢。息子に依存した狂気の母を演じるのは松尾スズキ作の舞台『ふくすけ』に出演した延増静美。監督は、自作の短編『フリーキッチン』をこのたび長編映画化した中村研太郎。
今作の仕上がりについて、原作者の福満しげゆき先生も「原作の矛盾や荒いところをカチッと完璧に埋めてくれています!そして“なんであんな変な原作を完璧に映画化してくれんだ!?この監督さんは何を考えているんだ!?”と不安にもなりました!!」と熱くコメント。
作者も太鼓判の映画『フリーキッチン』は11月28日よりユーロスペースにてレイトショーです。どうぞ、お楽しみに! 『グリーン・インフェルノ』とハシゴするのもいいかもね?
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<映画『フリーキッチン』>
原作/福満しげゆき 『娘味』(青林工藝舎)
監督/脚本/編集 中村 研太郎
出演/延増 静美(元劇団毛皮族) 森田 桐矢(新人) 大貫 真代(新人)
2013年製作 HDV 80min
製作・配給・(C)FUZZ FILM WORKS
・ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014オフシアター コンペティション部門グランプリノミネート
・ハンブルグ・ジャパン映画祭2014正式出品
公式サイト:http://fuzzfilmworks.com/
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