原発事故検証問題 政府の指示は「危機管理センターで書類が作られ、しっかりと残っている」と長官
菅政権は近く「事故調査・検証委員会」を設置し、福島第1原子力発電所事故の検証に入るが、事故発生当初の官邸対応の記録が残されておらず、これが本格検証の妨げにつながるとして問題視されている。
枝野幸男官房長官は2011年5月24日午後の会見で、こうした批判に対し、福島第1原発事故が発生した3月11日からの数日間は官邸の対応等に関する記録は残されていないことを認めた上で、その後の一連の対応については、官邸内にある危機管理センター(※)において書類として残され、関係機関と情報共有してきたことを初めて公にした。
また、福島第1原発1号機への海水注入が一時中断されていた問題で、海水注入の協議を開始したとされる時間帯(3月12日18時)は、自ら会見の最中だったとして、打ち合わせには同席していない旨を明らかにした。
会見でニコニコ動画の記者(七尾功)が枝野長官に、「事故当初から現在に至るまで、議事録や発言録、記録テープなどが残されていないことによる(原発)事故調査への影響の有無について」質問。
これに対し枝野長官は、
「正確に言うと”無い部分がある”というのが正確だろうと思う」
と前置きした上で、
「これはどこまで言っていいかのわからないが、例えば危機管理センターにおいては本当に膨大な量の書類が作られて、それが回覧というか配布されている。そこには例えば東京電力や(原子力安全・)保安院から報告された事項等とか、あるいは何らかの指示が出されたことについて共有するために、その指示の事項等がそうしたものに書かれて、しっかりと書類として残っているというふうに考えている」
と、危機管理センターによる一連の事故対応に関する記録書類の存在を初めて明らかにした。
一方で長官は、
「ただ皆さんご承知のとおりの状況で(3月)11日から数日間においては、まさに大変な緊迫した状況のなかであったので、誰かがメモをとってしかも正確にきちんと記録しておくというような、ゆとりのない中での議論、判断という局面があったこと、これは否定しない」
と述べた。続いて
「ただ、前後の様々なしっかりと記録されている事項から記憶を喚起すれば、それなりのものはしっかりと検証できるのではないか。例えば私も今回いろいろ問題となっている12日の夕方6時の打ち合わせについて記録をチェックすると、その時間帯は私は記者会見をやっていたので、どうもその部分についての記憶がないな、と思っていたがそういったことが確認できたりとか、そういうことで出来るだけ正確な事実関係の整理をしていきたいと思っている」
と語り、事故当初からの数日間、発言録等が残されていないことによる事故検証への影響を否定した。
※危機管理センター(内閣官房ホームページ)
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/fukutyoukanho.html
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]七尾記者質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv50895179?ref=news#0:16:50
(七尾功)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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