眠気の来ない”面白い”入学式を実現! 松丸亮吾が手掛けたバンタン2025年入学式は史上最大の謎解き仕掛け

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4月8日、両国国技館にて、これからの日本を盛り上げるコンテンツを学べる専門スクールバンタンの入学式が開催され、新入生・保護者あわせて約4000名が集まった。

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会場には怪しげな文字を手に書き込まれた力士や、文字がかけてしまった「バンタン入学式」の看板が配置。それもそのはず、今回の入学式は、バンタンゲームアカデミーの名誉アカデミー長に就任した謎解きクリエイター・松丸亮吾氏による”謎解き入学式”なのだ。

謎は会場にあるものだけでなく、事前に送付された入学式への招待状やWEBサイトにも仕込まれていた。まさに体験型コンテンツだ。

もちろん、入学式のすべてに謎が仕組まれているわけではない。ゲームアカデミー以外にもさまざまな学科がバンタンにはある。最初は、KADOKAWAグループ代表であり、角川ドワンゴ学園理事を務める夏野剛氏による祝辞があった。

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夏野剛氏は、日本が物作りの国からサービス業の国になったことを、製造業がGDPを占める割合が20%になったデータと、アメリカの本屋には漫画のコーナーが大きく占められている事実から強く主張した。

バンタンでは今後世界市場で競争力のある仕事のスキルが身につくとした上で、英語を身につければ年収は2倍から3倍になるとした。

日本はいまだ学歴社会としての一面があり、専門学校に入学した若者はこの道で良かったのかと不安になることも多い。そんな新入生の心に寄り添った祝辞だった。

その後、株式会社バンタン取締役の吉岡忠樹氏の祝辞で「バンタンはフランス語の20歳を意味するバントンから来ている。若者をサポートする組織」や「人のつながりを大事にすること」が伝えられた。

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ほかにも講師陣の菓子職人である鎧塚俊彦オーナーシェフから「職人は労働者であってはいけない。職人としてお客様を喜ばせたい、作品を作り上げたいという気持ちが大事、生きるための糧を得るために働くのではいけない」と、アーティストとしての働くとはなにかの言葉が贈られる。

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また、ヴィーナスアカデミーの名誉学院長であるMEGUMI氏からは「1つ、人生は好きなことをやったほうがいい。好きの対象は人生で変わっていくが、好きであることを自分は分かっておいたほうがいい。2つ、新しいことをするタイミングは否定するヒトが現れるが負けてはいけない。3つ、自分の夢やチャレンジが実を結ぶときは信じられないほど大きな問題が起きる。それを乗り越えたら成功がそこにある」といった3つの言葉が贈られる場面があった。

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4人のバンタン在校生による、「バンタンにいてなにを成し遂げたのか」をプレゼンする時間もあった。イラストでコンテストを受賞して展示会に展示してもらった話、学業とインターンを両立して一社員として経験を積んでいる話、キネコ国際映画祭で生アフレコをするメンバーに選ばれた話、そしてYouTubeで登録者1万人を超えた話。

バンタンの学生だからこそ使えるものは積極的にすべて使う。それが大事であることを伝えていた。

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そして、今回の謎解き入学式の仕掛け人である松丸亮吾氏が登壇した。近年、ゲーム業界でも謎解きなどが台頭しはじめているので、謎解きとゲームを組み合わせて新しい価値を創出する謎解きクリエイター専攻が誕生した経緯を説明した。そして気になる入学式に仕掛けられた謎に触れる。

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看板には「MIENAIMOJIYOME」と書かれており、消えた文字を組み合わせると「マクノウラ」という言葉が浮かび上がる仕組みだった。

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力士の手の平と手の甲に書かれた数字と問題文を掛け合わせていくと、「旗はハタ」なので数字は漢数字の八にすることがわかる。なので「?」は「モニター」になることがわかった。そして、事前に用意されていた謎についても解説される。

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だが、これは序章だった。最後の謎解きは会場全員が挑戦することになる。それは爆弾の赤を切るか、青を切るか。会場全体がスマホで色を示して答えを示す。そして、無事ゲームはクリアーされた。

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だが実はどちらの答えにも辿り着く解き方がある仕様なのが明かされると会場から拍手が生まれた。なぜどちらの答えも正解なのか。それは、クリエイターになれば、どちらか正解かわからない葛藤と数え切れないほど向き合うことになる。だがどちらが正解というわけでもない。なので、自分の進みたい道を選ぶことが大事だというメッセージが込められた謎解きだった。
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最後に松丸亮吾氏に今回の謎解き入学式に対してインタビューがされた。

―――謎解き入学式を実施された感想を教えてください。
「入学式は、入学する方はアクションをすることはなく受け身にならざるを得ないなと思っていました。今回、謎解きを使って”能動的で参加性の高い式典にしたい”とお話をうかがって、”なんてクリエイティブなんだ”と感動しました。そのお話を受けて、自分にできることはなんでもしたいですと話を受けて、今回の形になりました。

まずは、会場がすごく盛り上がって、SNSを確認したら”入学式史上一番楽しかった”という感想も見ました。まあ、入学式史上とは何だとは思いましたが、すごく嬉しかったです。ひとつやりきったような気持ちです」

―――謎解き入学式を企画された経緯を教えていただけますか。
「もともとバンタンゲームアカデミーで謎解きクリエイター専攻という新しい専攻が新設されます。昨今、謎解きというジャンルが非常に台頭してきている状態にありまして、謎解きとゲームのノウハウを掛け合わせられる場所は今後すごく需要が伸びてくると思います。

そんな中で、謎解きクリエイター専攻ができるのであれば、専攻を担当する僕がなにか仕掛けられたらなってところから話がはじまりました。入学式でやるなら、ただの謎解きではなく、ゲーム要素を入れてドキドキハラハラする、ワクワクするものにしたいなと考えました。

ただ問題を出すだけじゃなくて、力士に謎を仕掛けたり、よく見ると看板に誤植があったり、そういう『8番出口』のような違和感を探すゲームがバズってますが、そういう要素を絡めつつ、違和感からはじまる物語を企画したのが、今回の入学式です」

―――バンタンゲームアカデミーの名誉アカデミー長に就任されますが、その背景とお気持ちをお聞かせください。
「もともと謎解きという業界は非常に閉じている業界です。謎解きクリエイターという活動名も、僕がメディアに出てる唯一の人間かなと思っています。実はすこしずつクリエイターは増えているんですけど、みなさん我流でやられている方も多くて、良い面も悪い面もあります。

例えば、こういうことを学んでいればもっと面白くできるけど、それが出来ていなかったみたいな。逆に、僕もまだ学べていない領域があります。そういう風に、いろんな謎解きクリエイターさんを巻き込んで、ひとつカリキュラムのようなものを作れたら、みんなで基礎をしっかり固めた上で、自分の個性を出していけるようになる。そうすると、日本の謎解きはクオリティが上がっていくだろうなって考えています。

今のところ学校がない分野ではあるので挑戦ではあるんですが、謎解きクリエイターの学校ができたら、もっともっと面白い謎解きが世の中に出来ていく。日本から世界に発信できるだろう、と。それがクリエイター専攻が新設された背景です」

―――チャレンジングな謎解きクリエイター専攻のカリキュラム監修もされていますが今後どのような事業や取り組みをしていきたいと考えますか。
「一番は謎解きを作ることにあると思っています。僕は教えてインプットして繰り返すみたいな授業は謎解きの授業に適していないと思っています。

バンタンで行われているゲームの授業を見させていただきましたが、だいたいが実践でした。教えてもらったことを自分にインプットした上で、ちゃんとアウトプットできるかを重視しています。非常に理念が近いなと思っています。

謎解きクリエイターの授業をするのであれば、とにかく謎解きをたくさん作って、たくさんフィードバックを返せる双方向コミュニケーションのある場にしたいなと思っています。僕自身も生徒のみなさんが作った謎解きで遊びたいですし、そこに意見を出してディスカッションできるようにしたいです。

謎解きクリエイターが身近になるようにね。うちの会社にも遊びにきてほしいと思ってますし、そういった職場を即身近に体験できる学科にしたいなと思っています」

―――松丸さんが考える「学ぶことの楽しさ」とはなんでしょうか。
「僕は勉強と学びは近いものだと感じています。一度覚えたことや一度身についたものは失われないんですよね。大企業に一回勤める意味は、いいところに入るのがゴールではなく、そこからどんなことを身につけて一生残る自分のスキルを身につけるかだと思っています。

学びは自分のレベルを上げること。RPGでいうなら、強い武器を手に入れて、レベルアップしていくことです」

―――松丸さん自身の入学式の思い出はありますか。
「寝てた。いや、これ本当言わないほうがいいんですけどね。そもそも、入学式にエンタメを注ぐ学校って本当に少ないんですよ。

今回、謎解き入学式で一番気をつけたかったのはそこで、誰一人眠らせないっていうのがありました。ただ話してるだけとか、やっぱ眠くなっちゃいます。なので、実際に謎を解いてもらったり、壇上に上げて会話をしたり、最後は入学者全員に参加してもらう為にスマホを掲げてもらったり、アクションのある謎解きにしました」

―――入学する生徒へのメッセージをお聞かせください。
「一番大切にしてほしいのは、学ぶことは教えてもらうことじゃないってことです。教えてもらえるのは大前提レベル1で、その上で自分で課外学習も自らやれるのが大事。

エンタメの世界では、そのエンタメが好きじゃないヒトはひとりもいないです。だから、どんどん自分でエンタメを作っていきます。自分で興味あるものにどんどん手を付けるのが苦じゃないヒトばかりの世界です。

この学校は本当に楽しめる環境がものすごく整ってる学校だと思うので、興味を高めて、スキルを無限大に身につけていってほしいと思います。僕を超える謎解きクリエイターがこの学校から現れるのが、楽しみです」
―――松丸さんが考える「謎解きクリエイターとしてやっていく原動力」とはなんでしょうか。

「僕は謎を解いてるヒトのリアクションを見ること、ですね。コンシューマーゲームを作った後、そのゲームで遊ぶヒトは自宅で遊びますよね。作ったヒトが『おじゃましまーっす、このゲームどうですか』と言いに行くことはできません。

だからフィードバックはSNSの反応やレビューの評価が多いと思います。でも謎解きは、実際にイベントで仕掛けたることもありますし、リアルな場で行われることが多いです。即フィードバックがもらえるんですよ。

今日の入学式でも、祝辞を聞いていて楽しいけど気疲れしたなって顔をしていた入学生たちが謎解きになったらめちゃくちゃ笑顔でスマホを掲げてくれました。そういう”生の反応”が、この仕事の面白さであり、ヒトの心を動かす力を持ってるなと感じられます。

そういうお客さんとの距離の近さが魅力であり、原動力になります」

―――客との距離の近さで元気をもらう。アイドルのようですね。

「アイドルですか、畏れ多いです。でも今はイマーシブシアターが流行ってるじゃないですか。演劇の舞台とお客さんの距離が近づいてるんですよね。役者がお客さんの周りを歩いたりする。

エンタメはそういう時代に突入してるのかなと、思います。」
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