近頃のスクールカーストはスマホに左右されている

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“スクールカースト”という言葉をご存知だろうか。
何らかの能力や特徴の優劣によって、子どもたちの間で“一軍”や“二軍”などとランクがつけられることである。
中高生に多くだいたいは学力・容姿・運動神経の良し悪し、家庭環境、非行経験や恋人の有無などによってつけられてきた。
小学生なら「バトルえんぴつを山ほど持っている」とか「家にSF1(スーファミ内蔵テレビ)がある」というようなこともステータスになっていたように思う。
それらのステータスがいじめにつながることもあり、しばしばいじめ問題と一緒に取り上げられる。

ところで、近頃ネット上でよく見かける質問がある。
「中高生にスマホは必要ですか?」
子を持つ親からの投稿がほとんどで、それに対しての答えはおおよそ以下の3パターンである。
「考えればわかるでしょう、不要です」
「皆持っているから持たせています」
「我が家も悩んでいます」
中高生の子を持つ親たちがその歳の頃にはなかったもので、判断に困るのだろう。
持たせてもLINEでいじめられるかもしれない。ネット犯罪に巻き込まれるかもしれない。
持たせないことでいじめられるかもしれない。非行に走って所在がわからなくなるかもしれない。
悩んでいる親たちは自分の思春期を思い出しながら、メリットデメリットを考える。
そうこうしている間に子どもからの「なんでもするから」という熱烈アピールが始まる。
親の見栄で与えるパターンもいくつか見てきたが、買い与えるかどうかは基本的には教育方針次第というところだろう。
他にも「スマホが欲しいのですがどうしたら親を説得できますか」という子ども側からの投稿もある。
それに対しての答えはだいたい「バイトできるようになってからにしなさい」が多い。
まあ当然の答えである。ただし子どもたちはそんな回答を望んではいない。
彼らの中には「スマホを持たない」という選択肢はほとんどない。だからこそ熱烈アピールもする。
それは、“スクールカースト”のランクが変わるほどの影響を与える可能性があるからだ。

余談だが、筆者(20代後半)は小6のときはポケベル、中1~2はPHS、中3からケータイを使っていた。
両親が共働きで、週に3回夜遅い時間まで習い事をしていたからという理由だった。
同じ歳でポケベルを使っていた人(というより“ベル打ち”ができる人)には未だ出会ったことがなく、
PHSもケータイもかなり早い段階で持っていた人間である。
ちなみに夫は“ベル打ち”という言葉を知らなかった。衝撃である。

筆者が高校生だった当時、「ドコモのNシリーズを使っている子」が羨望の的であったが、
元生徒たちに話を聞いてみると現在の最上位は「最新のiPhoneを使っている子」らしい。

iPhone>>>>Xperia>Galaxyなど>>>越えられない壁>>>ガラケー>>>未所持

という勢力図が出来上がっている。
理論だけでいえば、未所持の子どもが最新のiPhoneを手に入れるとそれだけで最上位になるのである。
以下、元生徒たちから聞いた上位下位のステータスである。

・最新のXperiaよりも一世代前のiPhoneのほうが上位
・ひと昔前はオタクと言われて下位にいたステータスの子も、スマホの設定に強いといった理由で上位に
・見た目がギャルっぽくてもガラケーというだけで少し下位になる
・最新iPhone所持者でも他のステータス(成績、容姿など)に合っていないといじめの対象になる

小さな機械ごときに振り回され、随分むちゃくちゃなランク付けになっている。
今の子どもたちは、親の想像を絶するカーストの中で生きているのだ。

カーストのない学校に通っている子どももいる。
スマホごときではカーストが上下しない環境ももちろんある。
ただしこの先、絶対に遭遇しないとは言い切れない。
会社内やママ友内など、カースト自体は年齢関係なくあらゆる場所に存在するからだ。

近年はインターネット環境の普及によって裏サイトやプロフ、LINEなどに舞台が変わり、下位層の人間が上位層の人間を攻撃することも珍しくなくなった。
被害者が加害者に、加害者が被害者になる可能性が以前より十分あることを忘れてはいけない。
もし子どもが突然スマホを欲しがったら、その裏には“スクールカースト”が関係しているかもしれない。

イメージ画像:筆者撮影(元・吾妻第三小学校)

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