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【参考】フランスIRSNによる「推定年間被曝量を示した地図」

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【参考】米エネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が福島原発周辺を計測した資料を4月22日に公開しましたので、そちらも参考にしてください

日本でも文部科学省などは事故以来、積極的に放射線量の計測をおこない、質や量を充実させながら計測値を日々公開していますが、フランスの機関IRSNもなかなかのものです。しかも日本語版資料までつくってウェブで公開されています。なんという親切さ。ただ、今回紹介する資料は、何故かまだ日本語版が公開されていません。日本語版がでたらすぐに紹介しようと思って数日待っていたのですが、いつになるかわからないので、もう紹介しちゃいます。もう見たよ! という方はすみません。この資料、現在フランス語版と英語版があります。まず、資料の紹介の前に、このような資料をみる際にまず確認すべきポイントについてざっくり説明します。詳しい人は読み飛ばしてください。

【放射線量に関する資料を見る際にまず確認すべきポイント】

●どこを計測したものか
(空):大気
(陸):土壌
(海):海水
(その他):飲料水や食べ物。野菜や牛乳など。

●どういう頻度で計測したものか
(不定期):不定期、もしくは決められた日だけ放射線量を計測する
(定期):一日数度、定期的に放射線量を計測する
(リアルタイム):10分おきなど、高頻度に継続して放射線量を計測する

●計測点の量
(限定的):自治体ごとに1~2箇所程度の限られた計測点
(粗):施設ごとなど
(密):メッシュ状に計測点配置、もしくは空中測定等をくまなく実施

ほんとうは、陸海空いずれも(リアルタイム)かつ(密)に計測がおこなわれるのが理想です。しかしながら、その手段は、今この日本には存在しません。現在は、都道府県という単位での定期的な計測、そして福島第一原発周辺での定期計測、福島県内主要施設での不定期計測などが主なものとなります。しかし吉報も。福島県内の小中学校などの公共機関で放射線量の計測器設置が徐々に充実してきており、常時監視を目指して整備が進んでいるそうです。

今回ご紹介するフランスIRSNによる資料にある「推定年間被曝量を示した地図」は、「大気と土壌」を、「ある決められた期間」、「密に」計測したデータをもとに、1年間の累積被曝量を予想したものです。この図を作成するにあたって、米国エネルギー省が日本で計測した値を参考にしたとのことです。
IRSNは日本の「保安院」に相当するフランスの機関。日本語でいえば「放射線防御・安全研究所」という名前になるそうです。英語版の資料はこちらです。

英語
situation at the Fukushima-Daiichi site, general recommandations for residents, general information on environmental radiological pollution and its consequences
http://www.irsn.fr/EN/news/Documents/IRSN_Information-note-for-french-citizens-in-japan_N2-08042011.pdf

今回の資料には、上記の「推定年間被曝量を示した地図」以外にも、これまでの経過まとめと「3月15日以降、東京のフランス大使館で測定した大気中の放射線量の図」「4月7日の余震の影響」「水や食べ物について」などについて触れています。「推定年間被曝量を示した地図」は最後に掲載されていますよ。この図に関するコメントをスウェーデン国立スペース物理研究所の山内正敏氏にいただきました。

「かなり現実的な数字ですね。入力条件はわかりませんが、恐らく観測データをフルに使っているのでしょう。風の計算で地形が入っていないはずです。これは重要です。」

この地図を見ても、原発から見て北西方向に向かって放射性物質が流れたということがわかります。また、飛び地のように、濃度が濃い地域が存在する、ということもわかります。そして30km圏外にもかかわらず「計画的避難区域」となった飯舘村や川俣村の一部は、まさにこの原子力発電所の北西部にあり、放射性物質が流れてきたエリアに相当します。今はこうして、地図上で確認できますが、この地域に住む人達は、放射性物質が実際に流れてきた、まさにその時には、それとは気づいてなかったに違いありません。そして、後日の計測によって、実は大変高い数値だったということを知らさた、ということなのです。政府が唯一正式な発表とした「SPEEDI」による放射性物質の拡散予測。これが当初の予定通り発表されていれば、「何も知らないうちに放射性物質が届いていた」という事態にはならなかったのでしょう。しかし、そういう事態が起きてしまった。原発事故そのものの再発防止は当然ですが、全国各地にある原子力発電所周辺環境の「計測」や「予測」に関しても今後のあり方を今一度再確認すべきではないでしょうか。


●参考リンク
【資料】米エネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が福島原発最新資料を公開(4/22付) – ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/112698

フランス語版
http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN_Residents-Japon_Bulletin2_08042011.pdf

大震災に関するフランスIRSN発表資料の英語・日本語版一覧
http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx

文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/

原発周辺の学校などで放射線量を常に監視するシステムを整備する方針(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110417/t10015361371000.html

山内正敏氏による計測プロジェクト
http://www.facebook.com/note.php?note_id=204172719606247

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ニュースサイト『ガジェット通信』発行人。未来検索ブラジル代表。東京産業新聞社代表。ハリウッドエンターテイメントビジネス誌『Variety Japan』Senior Editor。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラクターに興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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