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米エネルギー省NNSAの空中測定システムの動画公開「なぜか海外から来る放射線汚染情報の不思議」 

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(図1:空中計測システム紹介動画より)

●いまだ正式な汚染予測を公開できない日本政府

原発事故から一ヶ月経過したが、日本政府からは放射能汚染のシミュレーションや将来予測などはいまだ正式に発表されていない。記者の知る限り3月23日にSPEEDIの試算が一度発表されたきり(他にあればコメント欄で補足お願いします)。(4月18日追記: 4月10日におこなわれた「第22回 原子力安全委員会臨時会議」の添付資料にSPEEDIによる資料が添付されていました) そして現在、文科省等の各機関や有志から発表される測定値のとりまとめ、グラフなどの可視化に関してはボランティアベースで動いている方々に頼っている状況だ。私たちはそれらの情報をインターネット経由で見てそれぞれ判断するしかない。さまざまなデータを用いて予測に役立てればよいのでは、と思うのだが、それらは「正式な情報」としては認められないものもあるのか、それらの情報を用いた予測・分析は公式に発表されていない。また、大手メディアも板挟みで、ボランティアベースでとりまとめられた情報があることは知りつつも、大きく採り上げることは難しいようだ。しかし、1ヶ月経過しても出てこない日本政府からの公式なシミュレーションをこれ以上待つわけにはいかない。国内有志が発表し、専門家の方々からボランティアの方々までがとりまとめた情報や、これら海外からの情報を総合して、政府だけに頼らない分析や情報共有が必要な段階と言ってもよいのではないだろうか。


(図2:空中計測システム紹介動画より)

●米国調査機関の空中測定システムの紹介動画公開

そんな中、原発周辺の汚染状況について詳細な測定をおこない、情報を公開している米国家核安全保障局(NNSA)。米国では国が率先して情報を収集し、その時点でわかった事実を順次ネット等を通じて発表してくれるようだ。それがたとえ米国外の他の国の事故であっても。このNNSAが福島原発周辺の空中測定をおこなった際に用いた空中測定システムと同様のものを動画で公開している。そのまま日本で使われた機材ではなないとのことだが、同様のものが使われているらしい。

(図3:空中計測システム紹介動画より)

米エネルギー省を通して、計測された情報が一部公開されたり、フランスの機関IRSNがそれらのデータを用いて年間の推定被曝量を示した地図を公開したりしているが、このシステムを使って収集した情報を利用しているとのこと。空中測定は、原発周辺地域をくまなく飛行しながらおこなわれるようだ。動画ではヘリコプターと固定翼機が登場している。また空中測定とあわせて、地上からの測定もおこなわれているらしい。システム紹介とは別に、33名からなるNNSAのチームが機材を積込み日本へ出発する様子も動画で公開されている。


(図4:NNSA4月7日発表資料より。地上及び空中測定結果)


(図5:フランスIRSN4月12日発表資料より。年間積算被曝予想)

●政府からの発表は、十分待った。期待される有志とボランティアによる動き
本来であれば、これらの情報が国内の機関によってリアルタイムに提供されるのが理想であるが、測定機材やそれらの情報を収集するシステムが災害により故障し、本来20分程度で出されるはずのSPEEDIによる緊急時の予測情報が、1ヶ月経過しても出てこないとのこと。故障は仕方ないことにせよ、それが今後いつ出てくるかの説明もないまま、SPEEDIの情報が正式だと官房長官は説明している。しかしなぜ出せないのかといった明確な説明がない。先日発表された「計画避難」に関しても、汚染状況を示す資料をベースに決定されたそうだが、そのような情報を持っているのであれば、もっと広く開示してもよいのではないだろうか。私たちは十分待った。しかし、十分な情報提供がなされない以上、独自の情報を得て、政府発表とはまた別の、有志やボランティアによる分析を本格的に始めるべきなのではないだろうか。そういった動きは、すでにあるし、今後活発化しそうだとの話もきいている。あらゆる可能性を探る、という意味で民間や有志から直接話をして、これらの海外機関から情報を提供してもらうという方法もあるかもしれない。今、まさに目の前で起こっていることに対して、もう遅すぎるなんてないはずだ。

※動画や記事関連リンクまとめは、ガジェ通サーバー上の記事下にありますので、配信先で読んでいる方はこのリンクよりガジェ通サーバーを訪問してください。


●参考資料

空中測定システムの紹介ビデオ
YouTube – NNSA Aerial Measuring Systems
http://www.youtube.com/watch?v=mnEQcXQLoFc

NNSAチーム、日本支援のために出発するときの映像
YouTube – DOE and NNSA Response Teams Leave for Japan to Provide Assistance
http://www.youtube.com/watch?v=bKRcsVsNf2Q

NNSA、空中測定システムの説明
Aerial Measuring System | National Nuclear Security Administration

NNSA発表資料
The Situation in Japan (米国エネルギー省)

フランスの機関、IRSNによるリポート目次(英語、日本語版)
NNSAからの情報等をうけながら、フランスのIRSNが解析して発表しているリポート。日本にも順次翻訳される。

福島第1原子力発電所周辺の航空機モニタリング結果:文部科学省
文科省は米国エネルギー省NNSAと連携しながら30km以遠を航空機モニタリングするなど積極的な情報開示をおこなっている。

放射線量モニターデータまとめページ(radmonitor311)
有志による放射線量データのまとめページ。

(4月18日追記)
4月10日におこなわれた「第22回 原子力安全委員会臨時会議」の添付資料にSPEEDIによる資料が添付されていました。
外部被ばくの積算線量(3月12日から4月5日までのSPEEDIによる試算値)
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan022/index.html

(4月18日追記)
拡散の試算図2千枚、公表は2枚 放射性物質で安全委 – 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041801000775.html

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記者:

ニュースサイト『ガジェット通信』発行人。未来検索ブラジル代表。東京産業新聞社代表。ハリウッドエンターテイメントビジネス誌『Variety Japan』Senior Editor。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラクターに興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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