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資産価値を高めるリフォームとは? 米国リフォーム誌編集長が伝授!

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アメリカがリフォーム(英語ではリモデルだが、記事内リフォームで統一)の本場、と言われる理由。一つはその市場規模が約25兆円(日本は約6兆円)と大きいことから分かるように、国民に浸透している点。アメリカ人は何故、DIYやリフォームに熱心なのだろう?
米国から来日したリフォーム業界誌『remodeling』の編集長に、そのワケを聞いてみた。
米国リモデルのマーケットって、日本と何が違う?

今回、取材したのは米国リフォーム業界誌『remodeling』のCraig Webb(クレイグ・ウェブ)編集長。

【画像1】『remodeling』表紙:リフォームのプロ(業者)向けに、最新のリフォーム市場動向をレポートするなど業界をリードする雑誌。全米ライティング・アワードを幾度も受賞(資料提供:Craig Webb)

ウェブ編集長は2006年現職に就くまで、ウォールストリートジャーナルなど米国とヨーロッパのさまざまな雑誌や新聞などに執筆してきた一流のジャーナリスト。

【画像2】クレイグ・ウェブ氏(左)が若かりし1972年、あのケンタッキーフライドチキン創業者カーネル・サンダース氏に取材している写真(資料提供:Craig Webb)

【画像3】『remodeling』ウェブ編集長。49州を訪問し、工務店やリフォーム業者などに直接取材を重ねた信頼性の高い記事が定評。自宅はワシントンD.C.にある築115年の家(写真撮影:藤井繁子)

———米国は日本と比較すると、人口は約2.5倍ですがリフォーム投資額は4倍以上と大きく違うのは何故でしょう?

基本的に、米国人は独立してから引越しを人生で11回すると言われています。日本人は5回程度らしいですね。その違いは大きいです。
米国人が住宅を購入する場合、中古住宅が一般的(新築住宅の約5倍)。結果的に、引越し=リフォームする機会が増えます。賃貸住宅でも引越しすると壁の塗り替えや、床の張り替えなど自分好みにリフォームします。

———日本人にとって転居は、新築住宅に住みたい……というニーズが高く、転居=リフォームにつながり難い。コミュニティが変わることへの不安もあって、転居には消極的な国民性ですね。

米国では新築住宅より、中古住宅のほうが交通利便性も高く、学区も良いコミュニティにある物件が多く、その立地から中古住宅を選ぶことになります。結果、大規模リフォームで新築並に改装するケースも多い。

しかし実は近年、米国でも転居回数は減っています。共働きが増えたことで、夫婦が新天地で仕事を見つけるのは簡単ではないですからね。あとシニア層は、子どもや孫の近くを離れたくないのでリタイアしても転居しなくなってきました。

逆に、同じ住まいに長く暮らすことで、違うニーズのリフォームが増えています。
シニアは在宅介護も視野に入れたバリアフリー設計にしたり、ファミリー層でも節水を含めた省エネ設備への変更などが増えてきています。ライフステージが変われば、住まいをリフォームして日常を楽しむ

———どんな部屋や部位のリフォームが多いですか?

下のグラフのように、キッチン・バス、内装や外まわりとさまざまな部位に分散しています。
その中で分かれるのが、目的が修繕か快適性を高めるためのリフォームなのかという点。
米国の住宅は半数弱が築45年以上の家なので、空調や給湯などの設備システム系は定期的な修繕が必要です。
一方、部屋の内装などは家族のライフステージが変わるタイミングで、リフレッシュし快適性を求めるためにリフォームするものです。

【図1】リフォームの部位別シェア(資料提供:Craig Webb)

結婚・子どもの誕生/就学・子どもの独立などライフステージが変化するタイミングで、住まいをリフォーム。離婚やパートナーの死、というのもライフステージの変化です。

———確かに、日本も同じです。シニア層がリフォーム市場の中心なのも同様ですね。
ただ日本人は、少々の問題は我慢して過ごし、積極的にリフォーム投資する動機が弱い気がします。

日本の妻たちは「キッチンを新しくしたい!」とか、夫に言わないの?!
欧米人は友人を家に招いて食事をするのが日常的だから、キッチン・ダイニングや居間はリフォームしたい欲求が強いです。子どもが独立すると、より頻繁に友人宅を行き来するようになりますしね。

【画像4】ユニバーサルデザインにリフォームしたキッチン実例。
タオル掛けでもあるハンドルバーは、握力が無くても握りやすい太めに。視力も落ちるので、窓や照明で明るくなど、シニアだけでなく皆に優しいユニバーサルデザイン(資料提供:Craig Webb)「コストVS. 価値」リフォームで効率よく資産価値を上げる?!

———米国では自宅を高く売却するためにリフォームするという話も聞きますが?

そうです、それもリフォームの大きな動機です。住宅価格が高騰している時代ではないので、高く売るためと言うより、リフォームしていないと価格が下がってしまうということになります。

私の雑誌『remodeling』では「改修コストVS. 資産価値」調査レポートを毎年実施しています。
さまざまな住宅改修の費用(コスト)と、売却した場合の査定による価格(資産価値)を比較。どのような住宅改修が中古住宅販売価格にプラス評価されて、売主の投資コスト回収につながっているのかを解説しています。

【画像6】今年の『remodeling』誌の「Cost vs. Value」特集号表紙。
全米平均では、キッチン部位においてリフォーム投資額$113,000 vs. 査定評価$66,700=59%の費用回収率
(ホームページ詳細データ http://www.remodeling.hw.net/cost-vs-value/2015/)

サンフランシスコやホノルルなど人気都市では、リフォーム投資額以上で資産評価される案件が全体の9割以上もあります。
リフォーム部位では、スチール製の掃き出しドアやガレージドアの取り替えなどは、コストが低く評価価値が高い部位。逆に、主寝室やウッドデッキ系は、コストの割に評価価値が低く投資効果がマイナスになっています。

———なるほど、都市によっても大きく違うし、リフォームした部位や素材によっても売却時の査定価格が違ってくるのですね。

一般的に、修繕系は手間もかからないため材料コストがそのまま資産価値に評価されますが、設計料など人手がかかるものはコスト高になり、デザインは好き嫌いもあって評価が反映されないので投資効果は低いのです。
5年以内に売却を考えている人は、リフォーム後の価値評価を前提に部位や素材を検討し、売却を考えていない人は、リフォーム自体のコスト重視で判断するでしょう。でも、住生活が充実したのであれば、投資効果は回収されていると言えますよね。

日本の中古住宅市場では、築20年以上の住宅建物に価値がつかない時代が長く続いたが
近年、ようやく国の政策に「不動産鑑定評価基準等の見直し」や「ホーム・インスペクション」によって、中古住宅を部位ごとで適正に評価する方向性が盛り込まれた。
これからは、日本の住宅もリフォームなど手を入れることで資産価値が維持される時代が来ることになる。
ウェブ編集長のリフォームによる「コストVS. 価値」、日本版もできるかな!?●取材協力
・米国『remodeling』誌
・米国ワシントン州政府商務局日本事務所 住宅・建材プログラム
エバグリーン建築資材貿易振興会(EBPA)
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/08/17/95085/

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