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“パナーキー(Panarchy)”複数の政府が共存し 自分が属する政府をかんたんに変更できる

モジログ

今回はmojixさんのブログ『モジログ』からご寄稿いただきました。

“パナーキー(Panarchy)”複数の政府が共存し 自分が属する政府をかんたんに変更できる

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パナーキズム(Panarchism)とは、個人が移民や転居を伴わずにその所属する政府を自由に選択・変更することができる権利を主張する政治哲学である。
(中略)
パナーキーという用語はベルギーの経済学者en:Paul Emile de Puydtの論文『Panarchy』(1860)で初めてこの意味で使用された。de Puydtは経済学におけるレッセ・フェールの思想を政治の分野に適用すれば、あらゆる種類の異なる複数の政府が平和的に共存できることを説いた。
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『フリー百科事典 ウィキペディア』
http://ja.wikipedia.org/wiki/パナーキズム

“パナーキー”とは、複数の政府が共存し、自分が属する政府をかんたんに変更できるような統治形態のことらしい。“パナーキズム”とは、それを是とする思想のようだ。

この考え方は、リバタリアニズム*1 に共感している人にとっては、ごく自然なものだろう。

*1:リバタリアニズム(英: libertarianism)は、政治や経済などの分野で、自由主義思想の中でも特に個人主義的な自由を重視する政治思想である。
『フリー百科事典 ウィキペディア』
http://ja.wikipedia.org/wiki/リバタリアニズム

リバタリアニズムがもっとも重視しているものは“自由”であり、より具体的には“強制しない”ことである*2。よって、リバタリアンは普通、社会主義を支持しない*3。

*2:「リバタリアニズムのキモは“強制しない”こと」2010年01月23日『モジログ』
http://mojix.org/2010/01/23/libertarianism_kimo

*3:「世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼」2010年10月15日『モジログ』
http://mojix.org/2010/10/15/matsuo-uyosayo

しかし仮に、複数の政府が共存する“パナーキー”が実現していて、社会主義を支持する者だけが社会主義の政府を選択しているならば、リバタリアンはそれに対して何の文句もない。リバタリアンはリバタリアンで、自分の好きな政府を選べるならば、そこには“強制”がないからだ。

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もし国民の全員がそれに心の底から合意しているのなら、「社会主義」であってもいいと私は考える。どこにも「強制」が発生しないからだ。
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「どんなに素晴らしい価値観であっても、価値観の“強制”には反対する」2009年08月01日『モジログ』
http://mojix.org/2009/08/01/kachikan_kyousei

このような意味で、リバタリアリニズムとは特定の統治形態を支持する政治思想というよりも、“強制”に反対するという“設計原則”に近い。

政府による“強制”が起きないようにするには、どうしても複数の政府が必要になる。そのひとつの方法が、連邦制や道州制による地方分権である。

連邦制や道州制では、それぞれの地域が“国”に準じた権限を持っており、法規制や税制を好きなように定められる。住民や企業は、もし自分の住んでいる“国”がダメだと思ったら、そこから逃げ出して、他の地域に移ることができる(いわゆる“足による投票”)。このことが、それぞれの“国”である州政府に対してプレッシャーとなり、まともな政治をやろうというインセンティブになる(逆にいえば、中央集権体制であるいまの日本の問題は、政府がこのインセンティブを持ちにくいことである)。

しかし連邦制や道州制では、この“足による投票”をするために、いま住んでいるところを引き払って、別の“国”に引越しする必要がある。このコストは小さくない。

これに対して“パナーキー”は、同じ地域にも複数の政府が同時に共存し、手続きひとつで、自分の属する政府を変更できるようにする、というものだ。

“パナーキー”の政府は、いわば会社のようなものだろう。近所に住んでいる人でも、それぞれ別の会社に勤めている。これと同様に、みんながそれぞれ別の政府に属している、というのが“パナーキー”だ。

“パナーキー”の元祖、Paul Emile de Puydtの『パナーキー(Panarchie)』(1860) に、こういう一節がある。

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