3月10日発売 フルキーボードとAndroid 2.2を搭載するNECの“スマートブック”『LifeTouch NOTE』駆け足レビュー
NECは、7型タッチパネル液晶とフルキーボードを組み合わせたAndroid端末『LifeTouch NOTE』を3月10日に発売します。Androidスマートフォンの使い勝手とノートパソコン(PC)の入力のしやすさを両立し、両者の中間となる“スマートブック”と呼ばれるカテゴリーの製品です。キーボードを搭載するAndroid端末の中で比較しても、10インチディスプレーを搭載するネットブック寄りな東芝の『dynabook AZ』と、5インチディスプレーを搭載するスマートフォンのau『IS01』やドコモ『LYNX SH-10B』の、ちょうど中間に相当するユニークな製品。そこには、NECならではの“キーボードへのこだわり”が秘められているようです。2月15日に開催された製品発表で実機を触ってきたので、限られた時間での“駆け足レビュー”をお届けします。
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・外に持ち出し長時間の利用を想定
本体はカバンに入れてもジャマにならないサイズで、約699gと軽量。片手で長時間持っても疲れにくそうです。常時起動して持ち歩き、使いたいときにすぐ利用できるAndroidの利点を生かし、外出先でメールを作成したりブログを書くことが多いユーザーをメインターゲットにしています。外装には200万画素のカメラを搭載していますが、こちらはメモ代わりに写真を撮影する用途に向けて用意されているもの。インカメラは非搭載となっています。
バッテリー容量は2900mAh。ウェブサイトの閲覧では最長9時間、動画再生では最長8時間と長時間のバッテリー駆動が可能になっています。予備のバッテリーも別売りで販売する予定なので、ネットブックと比べても携帯性と長時間使用の面で魅力的と言えるでしょう。
・こだわりのキーボード
キーボードはQWERTY配列の81キーで、16.8mmピッチ、キーストロークが1.6mm。Android特有の操作キーとなる「MENU」「検索」「ホーム」「戻る」は、右上に固めて配置されています。「MENU」キーは「A」の左にも配置。カット、コピー、ペーストのショートカット操作がこの「MENU」キーと「X」「C」「V」の組み合わせで可能になり、PC同様に左手だけで操作できます。この「MENU」キーと「Fn」「Ctrl」キーは、配置を入れ替えることも可能。矢印キーによるポインタの操作だけでなく、手前中央のポインティングデバイスによりカーソルを操作することもできます。
日本語入力システムに『ATOK』を採用。長文の一括変換やユーザー辞書が利用できるだけでなく、キーボードの「F1」から「F10」までのファンクションキーで漢字、ひらがな、カタカナ、半角カナ、全角英字、半角英字の入力切り替えができます。PCでの『ATOK』入力に慣れたユーザーには使いやすい入力環境と言えそうです。
NECでフルキーボードを搭載したモバイル端末といえば『Mobile Gear』が思い出されますが、開発当初は「モバイルギアをクラウド時代に復活させよう、というコンセプトだった」(説明員)とのこと。使いやすいキーボードへの強いこだわりが感じられます。
・大画面と充実したアプリ
7型のディスプレーは800×480ドットで、文字が細かくなりすぎず見やすい印象。ブラウザ表示の拡大・縮小はキーボードショートカットの「MENU」+「I」、「MENU」+「O」で操作できます。残念ながら、マルチタッチには対応していないため、ピンチ操作によるズーム操作はできませんでした。
加速度センサを内蔵し、縦に持つと縦表示への切り替えが可能。スマートフォンと同様の使い勝手で縦長のページを読むことができます。
Android OSのバージョンは2.2。プロセッサには1GHz、デュアルコアのNVIDIA『Tegra 250』を搭載し、『Flash Player 10.1』にも対応します。キーボードを利用し、Android 2.2に最適化した設計のため、OSのバージョンアップはしない考えとのこと。
PC用のFlashゲームが動作することは確認できましたが、会場にあった端末では『ニコニコ動画』の再生が確認できませんでした。発売までにはメモリー消費などのチューニングがされるものとみられます。カタログによると『Flash Player 10.1』はメーカーのサポート対象アプリと記載されているので、最終製品では問題なく動作すると考えて間違いなさそうです。
Googleの“CTS(Compatibility Test Suite)”認証を受けているため、Wi-Fi接続のみのモデルでも『Androidマーケット』が利用できます。スマートフォンと同様にアプリが利用できることは重視しているようです。NECビッグローブが運営するアプリマーケット『andronavi』もプリインストールされており、品質を維持した日本ユーザー向けアプリを選べるように配慮されています。
ブログやテキストの長文入力に向く、独自の文書作成アプリ『ライフノート』をプリインストールしています。広いエディタ画面が、タブレットのようにソフトウェアキーボードで隠れることなく利用できるので、文章を書くユーザーには便利。さらに、エディタの画面からカメラを起動したり画像を添付して、『mixi』などSNSやブログに直接投稿する機能を用意しています。作成した文書はメールに送信することも可能。
・細かい点にノートPCらしさも
本体を閉じた状態でもLANやBluetoothの使用を確認できるインジケーターがキーボード手前に配置されており、アプリの更新などAndroidからの通知を表示するインジケーターもドロイド君マークで表示されています。このあたりは国産ノートPC的な細かい配慮を感じさせます。
外部インタフェースにはmicroUSB、3.5mmステレオヘッドホンミニジャックのほか、SDカードスロットを装備。スマートフォンやタブレットに搭載されるmicroSDとは異なり、デジカメやPCとの連携に重宝しそうです。
・3機種7モデルをラインアップ
本体カラーはピアノブラック、バーミリオンレッド、チョコレートブラウンの3色。機種によってカラーラインアップが異なります。
Wi-Fiモデルで、内蔵メモリー2GB+SDメモリーカード2GB容量の『NA70W/1A』は、ピアノブラックのみ。予想価格は4万円前後とのこと。
同じくWi-Fiモデルで、内蔵メモリー8GB+SDHCメモリーカード8GB容量の『NA75W/1A』は3色をラインアップ。予想価格は4万5000円前後とのこと。
4月下旬には、上位機種として『FOMAハイスピード』による3G接続にも対応した『NA75F/1A』の発売を予定しています。メモリー容量と本体カラーは『NA75W/1A』と同様。こちらの予想価格は5万5000円前後となっています。
・“スマートブック”らしさを感じる製品
今回は発表会の限られた時間、しかも最終製品ではない状態で端末を触っているので、この時点で性能について評価はできませんが、“スマートブック”というコンセプトを模範的に実現できている印象。Android端末として期待される常時起動、タッチパネルインタフェース、アプリによるカスタマイズという要件と、使い慣れたノートPCのキー入力のしやすさを程よいバランスで実現していると言ってよいでしょう。日常で持ち歩くと重くないか、電池の持ちはどうか、動作速度はなど、さらに触って確かめてみたいのですが、そちらは最終製品のレビューで記事にできればと思います。
『LifeTouch NOTE』主な仕様
OS:Android 2.2
プロセッサ:NVIDIA Tegra 250モバイルプロセッサ 1GHz デュアルコア
ディスプレー:7型ワイド液晶 タッチパネル搭載 800×480ドット
データストレージ:内蔵メモリー8GB+SDHCメモリーカード8GB(NA75W/1A、NA75F/1A)、内蔵メモリー2GB+SDメモリーカード2GB(NA70W/1A)
スピーカー:内蔵モノラル(0.5W)
Wi-Fi:IEEE802.11 b/g/n準拠
Bluetooth:Ver 2.1+EDR準拠
3G(NA75W/1Aのみ):FOMA HIGH-SPEED 受信最大7.2Mbps、送信最大5.7Mbps
キーボード:キーピッチ16.8mm、キーストローク1.6mm、QWERTY配列81キー
ポインティングデバイス:確定スイッチ機能付きポインティングデバイス
センサ:GPS、電子コンパス、加速度センサ
カメラ:200万画素
外部インタフェース:miniUSB、3.5mmステレオヘッドホンミニジャック、SD(SDHC)メモリーカードスロット
サイズ:W234×D138×H25mm(突起部除く)
重量:約699g
バッテリー駆動時間:ウェブ閲覧最長約9時間、動画再生最長約8時間
充電時間:約4時間
電源:リチウムイオンバッテリまたはACアダプタ
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
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