【Interview】ファンディングシステムでレコードを販売!新時代の音楽プラットフォームとは?
世界各地で広がる、アナログレコードのリバイバルブームを受けて、誕生した「QRATES」。
独自のファンディングシステムによって、レコードのプレス製造・販売までを、ノンストップで実現。アナログとデジタルを融合させた、これまでにない音楽プラットフォームとして、早くも注目を集めている。
サービスを立ち上げたのは、トウキョウ・デジタルミュージック・シンジケイツ。代表取締役のBae Yong-Bo(ぺ ヨンボ)氏に、詳しい話を聞いた。
・独自の技術とシステムによって多彩なレコード販売に対応
Q1:まずは、「QRATES」提供のきっかけと経緯から、お聞かせください。
私たちの会社では、「WASABEAT」という、クラブミュージックのダウンロードストアを、2007年より運営しており、1万を超える世界中のインディ音楽レーベルと、現在も配信契約や楽曲プロモーションをめぐって、常に取引をしています。
デジタル配信を行う事業者として、今回のようなレコードに関する事業に取り組むことは、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、音楽がどんどんデジタル化=無形化していく中で、彼らのクリエイターとしての作品を、レコードという形あるものにしたい、という思いがどんどん高まっているのを、いつもそばで感じていました。(中略)
きっかけは色々ありますが、アメリカのクラウドファンディングサービスに、たくさんのレコード製造プロジェクトが、アーティストから寄せられていると知り、自分たちの配信技術やアーティスト、レーベルが必要とするであろう、細かいニーズを組み込んだ「QRATES」のサービスの形をひらめいて、これを作れば、先の色々な課題を全部解決できると思い、どんどん形にしていった感じです。
Q2:「QRATES」とは、どんなサービスなのでしょうか。
「QRATES」には色々な要素があるのですが、まず特徴的な部分として、レコードのプレス製造資金を、アーティストがファンやユーザーから、予約オーダーを通じて集めることができる、「ファンディングシステム」が挙げられます。(中略)
もう一つは、WEB GLという技術で開発チームが作り上げた、「3Dビジュアライザー」です。
(中略)レコード盤のカラーや、インチサイズなどの「基本スペック」に、ラベルやスリーブといった、アーティストが用意する「アートワーク」を、はめ込む形で3Dモデルを使い、レコードを視覚的に発想していくことができます。
そして、これらのスペックを変化させることで、製造コストも変化していき、送料まで含めた実際のコストをリアルタイムで確認できます。(中略)あとは最終的に枚数や販売価格、送料などの情報を決定すれば、プロジェクトを公開できます。
・アーティストとファンの架け橋となるべくサービスの進化に尽力
Q3:今後の展開について、教えてください。
一つは、アーティストやレーベルにとって、負担の大きい購入者への発送作業を、こちらで代行するオプションサービスの開始です。(中略)
もう一つは、アーティストやレーベルと、共同でレコード作品を企画していく、フィーチャードコンテンツです。
音楽ファンが、ワクワクするようなレコード作品と、それに付随してマーチャン商品や、グッズなどの商品を販売していきます。
私たちは、レコードのファンディングだけにとどまらず、アーティストやレーベルに新しい音楽作品の作り方やそのビジネスの可能性を提案し、彼らをファンとダイレクトかつ、シームレスにつなげていくプラットフォームとして、「QRATES」を進化させていくつもりです。
世界のメディアから、大きな反響を得ているという本サービス。低迷するミュージックシーンの中で、どのような役割を果たしていくのか、今後も目が離せない存在になりそうだ。
ウェブサイト: https://techable.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。