出身作家インタビュー掲載誌や河川擬人化本も!? 『第一回文学フリマ金沢』で見つけた本 [オタ女]
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2002年から開催されているオールジャンルの文学同人誌即売即売会『文学フリマ』。最近では東京だけでなく大阪でも開かれるなど地方への動きを探っていましたが、各地のイベント開催希望者を支援するという『百都市構想』が発表されてから最初の街として、石川県・金沢で『第一回文学フリマ金沢』が2015年4月19日に行われました。ここではそのレポートをお届けします。
加賀藩100万石の城下町で開催されるということもあり、雅な和服で参加する女子も。日本大学芸術学部文芸学科と卒業生のサークル『星屑と人魚』。当然ながら関東からの遠征組で、『星屑と人魚』は女子だけの小説・イラスト付きの詩の選集です。
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百貨店『めいてつ・エムザ』と隣接する会議室ITビジネスプラザ武蔵で開かれた『第一回文学フリマ金沢』。100以上のサークルが出店し、11時から16時30分までの間に400人以上が参加したとのこと。
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金沢を中心に、北陸のサークルも出店。金沢の名所・兼六園について、虚実を交えてガイドした本『六つも兼ねている』は、筆者が訪れた時点では既に完売……。
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不定期刊行誌『二級河川』では、『百錬の覇王と聖約の戦乙女』(HJ文庫)などで知られるラノベ作家・鷹山誠一さんのインタビューを掲載。フランクな感じのやり取りが同人誌ならでは。
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『ファイティング☆ウィッチ』(電撃文庫)の著者・逢巳花堂さんは、能登半島の西の付根、羽咋の神子原地区がモデルの「巫女沢村」を舞台にした長編『山田の田んぼに米はねえ』を頒布。ちなみに”いしかわ観光特使”の肩書きもお持ちだとか……。
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富山県の河川の擬人化小説を出していた『oricol』。掌編『富岩と岩瀬』では松川と神通川、そして富山市に流れる富岩運河が登場します。そのぶっきらぼうで暖かい方言と、歴史を感じさせるストーリーがステキ。
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遠征組からは、東京・池袋を追い続けているサークル『Brand New Gear』。北陸を舞台にしたアニメや地方イベントについて考察した『北陸創造』をひっさげて出店。商業誌では出せないような辛口の考察が魅力です。
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『文学フリマ』常連サークルも金沢に出店。古典・民俗・伝承を題材にした古文女を提唱している『史文庫〜ふひとふみくら〜』の唐橋史さんと、毎回さまざまな趣向のアンソロジー本を出している『雲上回廊』の秋山真琴さんは、文フリ金沢事務局が企画した同人誌の作りた方についてのセミナーで講師を務めました。
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「北陸地方のサークルが約3割」(文学フリマ金沢事務局代表・山崎良祐氏)ということもあり、ご当地ならではの同人誌にも出会うことができた『文フリ金沢』。今後も継続開催を期待したいところ。
また、2015年5月4日には『第二十回文学フリマ東京』が東京流通センター(TRC)第二展示場で開催されます。ゴールデンウィークの合間に、商業誌とは違った魅力の”文学”を探しに行くという人が集まることになりそうです。
文学フリマ公式サイト
http://bunfree.net/ [リンク]
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乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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