実は損だった……甘い言葉で勧められる「保険の転換」のワナ
「新商品ができました」「更新後、保険料がアップしますよ」などと保険会社の担当者から連絡が入ったことはないでしょうか?
こうした誘い文句は、大手生保の主力商品であり、日本人にとってメジャーな定期保険特約付終身保険の更新月が迫った際に使われるお決まりの営業トークです。その背景には、別名「下取り」や「乗り換え」と呼ばれる「保険の転換」が深く関わっているといいます。
「転換のポイントは、同じ保険会社間で行われること。すでに契約している生命保険の解約返戻金を利用して、新しい保険契約の保険料の一部として払い込む方法だと考えたらいいでしょう」と解説するのは、ファイナンシャルプランナーで本書『保険 こう選ぶのが正解!』の著者・横川由理さん。
一見、保険料を一部前払いすることから、「他の保険に加入するより転換した方が毎月の保険料が安くてお得なのでは? 」と思ってしまいますが、横川氏は「転換は損になる」と警鐘を鳴らします。
横川氏によれば、保険の転換のからくりを見破るには「予定利率」が鍵になるといいます。予定利率とは、保険会社が約束する運用利回りのことを指し、予定利率が高いほど保険料が安くなる仕組み。現在の予定利率は1.5%ですが、昭和時代や平成初期には最高6.5%だった時代もあったのです。
予定利率が高い時代に加入した保険は、「お宝保険」と呼ばれていますが、保険会社にとっては、最悪の場合破たんをもたらすほど厄介なものだといいます。本書では、その弱みから「あの手この手を使ってやめてもらおうと勧誘してきますが、その手に乗ってはいけません」と指摘します。
とはいえ、ライフサイクルの変化を無視したまま、同じ保険に入り続けるのもまた問題。横川さんは、「たとえ、予定利率の高い時期に定期保険特約付終身保険に加入したのであっても、貯蓄性のある終身保険部分だけ残して、ほかは解約するなどさまざまな方法が考えられます」(本書より)と、フレキシブルに対応することを勧めます。
さらに、横川氏によれば、保険を見直すタイミングは、「1回目は子どもが生まれたとき」「2回目は住宅を購入したとき」「3回目は子どもが独立したとき」で、この3回は必要最低限、見直しを行った方が良いと推奨。
近年、過剰な広告や勧誘でアピールする保険会社が目立ちますが、それは一企業として生き残りをかけた当然のこと。だからこそ、私たちもなんとなく保険を選ぶのではなく、保険に加入するための正しい知識を蓄え、保険会社を上手く利用するという視点が重要になってくるといえそうです。
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