【Interview】QRコードで講義を視聴!驚きの参考書「基礎から動画で」に迫る
所得格差の拡大によって、教育の機会が不平等化していると言われる日本。この問題を解決しようと、多くの企業が立ち上がり、さまざまなサービスを展開している。
今回は、オンラインスクールよりさらに格安かつ手軽な学習方法をご紹介したいと思う。それが、タイレル出版が発刊した「基礎から動画で」シリーズだ。
一見、普通の参考書。しかし、そこには仕掛けがあり、スマホをかざすだけで予備校1、2年分の授業が見放題という、驚きの仕組みが成されている。取締役の福田 清盛(ふくだ きよもり)氏から、詳しい話を聞いた。
・1冊で動画137本、61時間以上の授業が見放題
Q1:「基礎から動画で」シリーズ製作のきっかけと経緯について、お聞かせください。
20年間大手予備校の教壇に立っておりましたが、ここ4、5年で経済的事情により夏期講習を取れない、2学期からやめざるを得ない生徒さんが増えてきました。
また、東日本大震災で教育機会を奪われた受験生を支援したいとの思いもあり、無料web予備校の「チノポス」を立ち上げ、これにリンクするテキストの開発を進めてきました。
さらに昨夏、ヤフー主催の「ヤフー知恵袋で受験対策 有名予備校講師初めてのweb夏期講習」に出演したとき、テキストとして紙の本のご要望が多かったこともあります。
Q2:「基礎から動画で」について、詳しく教えてください。
本のQRコードを読み取れば、弊社の無料web予備校「チノポス」の当該講義が視聴できる仕組みです。
例えば、「鈴木の英語1000本ノック」の場合、文法編+センター編で動画137本、61時間以上の授業が視聴できます。予備校の単科に換算すると、約2年分です。
また、「竹内の書いて覚える戦略図解ボード」では元代ゼミアンケートナンバー1の竹内睦泰先生の授業が、弥生時代~近代まで見放題です。
Q3:動画視聴にDVDではなく、QRコードを選んだのはなぜでしょうか。
15~19歳のスマホの普及率が77%と高く、低価格スマホも登場したことで、デバイスがスマホのみで勉強できるシステムを構築したかったことと、弊社ではもともとすべての講義を無料で公開していますので、視聴を購入者に限定する必要がなかったことが挙げられます。
・プロの講師を探し、3年かけて収録
Q4:製作にあたって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
まずは、出演してくださる先生を探すことです。プロの予備校講師は当然、どこかの予備校に所属しており、他社の映像授業へは出演しにくい状況にあります。
そのため、20年間の業界での人脈を使い、予備校を辞められた人気講師、実力派講師を中心に、探し回ってお願いしました。例えば、「チノポス」で世界史をご担当の提箸敬先生は修士号をお持ちの元代ゼミ講師ですが、現在はタクシーの運転手をされています。収録にも、足かけ3年かかりました。
Q5:このシリーズはこれからも続くのでしょうか。
弊社顧問である土屋博映先生の、220万部以上売り上げた「古文公式222」や「古文単語222」「古文講義」などを動画付最新版として製作中で、これは夏前に出版する予定です。
また、化学、世界史、大手予備校の若手人気講師による英語等、続々発刊予定です。
Q6:教育格差が叫ばれる今の社会で、どのような形で貢献したいとお考えですか?
経済格差はもちろん、地方から予備校が撤退し続けている結果の地域格差等が、教育格差に直結しないよう、ITと紙メディアの特性をうまく生かしながら、取り組んでいきたいと考えています。
また、単に教科学習のコンテンツにとどまらず、地方の国公立進学にかかる費用や、寮の有無、奨学金の制度なども、発信していくつもりです。
ウェブサイト: https://techable.jp/
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