「失ったものは取り戻せない」 庵野と樋口が特撮文化の危機を訴える
日本特撮に関する調査報告 <平成26年度>/「メディア芸術カレントコンテンツ」より
「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの監督などで知られる庵野秀明さんや、数々の特撮作品を手がけてきた映画監督の樋口真嗣さんらが監修をつとめる「日本特撮に関する調査」の平成26年度版の調査報告書が、4月8日に情報サイト「メディア芸術カレントコンテンツ」で公開された。
「日本特撮に関する調査」は、昨今注目を集めるメディア芸術、とりわけアニメーションに大きな影響を与えたとされる特撮の歴史や技巧を、調査・記録していくことで、日本特撮文化を未来に継承していくためのプロジェクト。
本年度の調査報告書の公表にあたって、庵野秀明監督は「特撮の再認識が世間で見知され、かなり内容も充実して来ていると感じます(一部抜粋)」と、調査開始当初よりも、状況が変化していることをうかがせている。
特撮の技術を、これからも次代へ引き継いでいく
「日本特撮に関する調査」は、2012年に調査を開始。2013年5月に調査結果をはじめて公表し、庵野秀明さんが「どうか、助けて下さい。特撮、という技術体系が終わろうとしています」と、事態の深刻さを訴えたことでも注目を浴びた。
元々は、2012年夏に開催された「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」で、改めて特撮文化やミニチュアに関する議論が高まったことから、文化的系譜を調査することになったという。
今回の公表で庵野さんは、「資料の保存、修復等に関しても先が見えて来た感じがあります」と語る一方で、「特撮文化の調査研究、遺産の保存等の事業は変わらず途上の段階です。この先も更なる継続作業が必要です」とも述べている。
樋口さんは、ゴジラが海外で公開されたことや、平成「ゴジラ」シリーズの特技監督として知られる、川北紘一さんが2014年12月に亡くなったことに触れながら、「失ったものは、もう取り戻せないのです」「先輩たちが作り出した特撮の技術を、これからも次代へ引き継いでいくために」と、本プロジェクトへの決意を新たにしている。
引用元
「失ったものは取り戻せない」 庵野と樋口が特撮文化の危機を訴える
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