女性アートディレクターが語る、結婚後に変わった仕事観とは
4月10日、東京都港区の青山ブックセンター本店にて、Mr.ChildrenやゆずのCDジャケットを手掛ける他、数々の広告でアートディレクションを務めているアートディレクター・森本千絵さんの新刊『アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話』の出版を記念して、森本さんと本書の装丁を担当したデザイナー・葛西薫さんとのトークイベントが開催されました。
当日はあいにくの雨でしたが、広告業界を代表するふたりのアートディレクターのトークイベントとあって、会場はデザイン・広告関係者ほか、美大生など100人以上もの人が集まるなど満員御礼。
マイクを握った森本さんは本書についてこう語ります。
「アートディレクターの仕事の仕方が、他の色んな仕事と共通点があり、そうした部分を中心にした本になると思っていました。でも、結果的に、公私ともに線を引かずに仕事をしているので、生き方みたいな本になりました」
また、葛西さんは表紙の森本さんによる絵を「森本ワールドそのもの」と評しながら、「森本さんのたくさんの絵から、単なる女性らしいものではなく、森本さんらしいファンタジーな絵を選びました」とコンセプトを説明。
実は、葛西さんが選んだこの絵は、森本さんにとって特別なもの。
「憧れの松任谷由実さんに依頼されたもので、ユーミンがステージを立つことをイメージして書いた、すごく夢中になった絵」(森本さん)というほど、思い入れの強いものだったそうです。ちなみに、葛西さんが絵を決める前、出版社の担当者は帯のコメントを松任谷由実さんに頼んでいたそう。葛西さんと出版社側で事前に打ち合わせもしておらず、その”偶然の一致”に森本さんは「鳥肌が立った」といいます。
プライベートでは2014年に結婚、現在、その身に新たな命を宿し、仕事の価値観が変わったという森本さん。最後に自身のこれからについて、こう力強く語りました。
「広告の仕事はまだまだ女性が少ないのが現状です。きっとそれは、犠牲にすることが多いからかもしれません。でも、私は何も犠牲にせずに全部がんばってみたい。そうすれば、これからデザイナーを目指す人や後輩が楽しめるかもと思うんです。だから、全部フルでやっていきたい」
仕事の方法論はもちろん、仕事に対する哲学や人生観など仕事のエッセンスが詰まっている本書。デザイン関係者のみならず、結婚もしたい、子供も欲しい、そして仕事もずっと続けたいすべての女性の道しるべとして、本書は必読といえそうです。
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