「田舎」と「都会」どちらも捨てがたい 両方手に入れるには?

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「田舎」と「都会」どちらも捨てがたい 両方手に入れるには?(写真提供:高槻市)

地方移住や田舎暮らしに興味がある若者が増えているとよく耳にするようになったが、一方で、自然環境は欲しいけど、やっぱり便利な都会が好きという声も多い。「都会生活」と「田舎暮らし」って両立できないものなのだろうか? 今回はそんなわがまま(?)なあなたのために、都会と田舎、両方手に入れられそうな地域を探してみた。若者の半数近くが田舎暮らしに共感。それってほんと?

豊かな自然、人のぬくもりなど。大都市では得難い田舎暮らしを体験したいという若者が増えているという話はよく聞く。果たしてどれくらいの人が田舎暮らしを望んでいるのだろう? 日本経済新聞の調査に興味深いデータがあった。バブル期の熱狂的な都会ライフを知らない20~30代の「低温世代」と呼ばれる若者575人に率直な思いを聞いてみたものだ。

アンケートをみると、想像以上に田舎暮らしに憧れる人が多い。「地方で暮らしたい」と回答した若者は半数近い47.3%もいた。

【図1】20~30代の575人の約半分が「地方で暮らしたい」と回答(出典:日本経済新聞電子版と婚礼施設情報サイト「みんなのウェディング」が共同で実施調査)

【図1】20~30代の575人の約半分が「地方で暮らしたい」と回答(出典:日本経済新聞電子版と婚礼施設情報サイト「みんなのウェディング」が共同で実施調査)

その理由はさまざまだ。
「サザエさんのようなご近所環境」(20代後半、北海道の女性)
「家庭菜園で自給自足。車も乗り回せる」(20代後半、兵庫県の男性)

「100坪の敷地に庭も駐車場もある一戸建て」といった都会では多くの人が手の届かない住環境には79.3%が「憧れる」「まあ憧れる」と回答した。

でも気になるのは仕事。「ネットがあればどこでも仕事ができる」と言われるようになって久しいが、インターネットを使ったからといって、毎月の生活費を一定額稼ぐのはそんなに簡単なことではない。仕事はやはり大都市のほうが数も種類も多く、給与水準も高い。

この「都市の給与を得ながら」の「田舎暮らし」。これが実現できるなら、地方で暮らしたい…と思いながらも都会にとどまっている人は、思い切りがつくかもしれない。でも実際には通勤が「痛勤」になるくらいの時間を覚悟しなくちゃいけないのだろう…。大都市の仕事をしながら、田舎暮らしができる?

さていろいろと調べてみると「都市も自然も」を両立できるまちというのは意外にあった。例えば大阪府高槻市。関西圏の人にとっては、え? 高槻? 京都と大阪の中間の新快速が止まるあの高槻? 関西圏以外の人には、え? どこ? と思われるエリアかもしれない。

市の人口は35.5万人、駅は前述の新快速が止まるJR京都線(東海道本線)高槻駅のほか、並行して走る阪急京都線の高槻市駅がある。JR高槻駅は、1日に約12万7000 人が乗降する、JR西日本管内で9番目に利用者の多い駅だそうだ。

【画像1】JR高槻駅前。ホテル、百貨店、ショッピングモール、商店街など多くの人でにぎわう活気ある繁華街(写真提供:高槻市)

【画像1】JR高槻駅前。ホテル、百貨店、ショッピングモール、商店街など多くの人でにぎわう活気ある繁華街(写真提供:高槻市)

そんなにぎわいを見せる高槻市だが、同市によると森林面積は大阪府内でも3位なのだとか。え? どこにそんな森があるの? 聞くと高槻の北部には古き良き里山の風景がたくさん残されているというのだ。

それじゃ、ちょっと見てみましょうか?

【画像2】高槻市最北部の「樫田地区」に広がる田園風景(写真提供:高槻市)

【画像2】高槻市最北部の「樫田地区」に広がる田園風景(写真提供:高槻市)

おー、田んぼ! 確かにそれらしい「田舎」な風景が広がっている。虫や鳥のさえずりが聞こえてきそう。とても大阪近郊とは思えない、「ザ・日本の里山」だ。
でも、こんな風景の中で暮らしたいと思っても、いざ引越せるような物件ってあるんだろうか? 賃貸は少なそうだし、かといって、いきなり家を買うというのもハードルが高い。空き家情報を活用して、都市に近い田舎を探そう

実は同市では、2014年10月から賃貸・売買物件を市が紹介する「高槻市樫田地区空き家情報バンク制度」が開始されたばかり。この制度は、樫田地区という高槻市北部の里山風景が残る地域と市が連携し、空き家提供者からの物件情報を収集・登録しホームページ上に公開するほか、地区住民が定住促進員として、希望者に対して現地案内や暮らしの相談に応じるというもの。

地元の市立樫田小学校と樫田幼稚園では、地域住民の協力を得ながら、同地区の文化や豊かな自然を活かした授業が行われている。校区外からの入学・転学が認められており、校区外から通う児童も少なくないとか。

「空き家情報バンク制度」を実施する自治体は全国でも多くあるが、市街地まで車で約30分、大都市まで1時間クラスというロケーションで手に入る「田舎」というのは貴重なのかもしれない。制度開始後に、担当する市コミュニティ推進室には20件を超える問い合わせがあったという。

高槻市以外では、例えば名古屋から約30分でいける愛知県津島市。NPO法人芸術家の村が、この津島市にある300坪を超える広大な敷地にある築80年の空き家(長屋)15戸を再生する試みを始めている。アトリエ、カフェ、美容院、シェアハウスなどを検討中で、空き家だった長屋に人が集いもう一度村をつくろうという試みだ。

関東圏では例えば、千葉県いすみ市。東京都心から75km、千葉市へは45km圏内に位置する房総半島東部の人口4万人強の市。東京駅まで特急で70分強。特急で毎日通勤するのはややハードルが高いかもしれないが、山あり川あり海ありのこの地を移住先に選ぶ人たちが少しずつ増えているのだそう。いすみ市にも空き家バンクがある

「都会の喧騒から離れて暮らしてみたいが、見知らぬ田舎に移り住むには抵抗がある」という生活者の新たなニーズに答えられる場所。田舎に住みたい、と言っても、いきなり都心から何時間も離れた場所に移るのはいろいろと難易度が高い。都心から1時間でいけるエリアで、自分の思い描く田舎暮らしを送れるエリアは意外にあるのかもしれない。空き家が全国に820万戸ある今、さまざまな空き家情報を探ってみるのもよさそうだ。●大阪府 高槻市 樫田地区空き家情報バンク制度
HP:http://www.city.takatsuki.osaka.jp/kurashi/shiminkatsudo/koekikatsudo/1412067500542.html
●愛知県 津島市 『空村』プロジェクト
HP:http://suumo.jp/journal/2015/02/17/78251/
●千葉県 いすみ市 空き家バンク
HP:http://www.uji-isumi.com/akiyabank/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/03/27/80835/

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