「日本人はブームに流されやすい」 実は戦国時代、外国人に指摘されていた

「日本人はブームに流されやすい」 実は戦国時代、外国人に指摘されていた

 古代、中世、戦国、江戸、幕末そして近現代と、日本が辿ってきた歴史の歩み。その長い歩みのなかでは、多くの外国人たちも日本を訪れ、ときに新たな文物や知識をもたらし交流が図られてきました。同時に彼らのなかには、日本で見聞したこと、感じたこと等を書き留めていた者も多くいました。

 文教大学付属中学・高等学校で日本史を教えるかたわら、クイズ番組等にも出演し活躍中の、河合敦さんによる『外国人がみた日本史』。本書では、古代から現代にいたるまで、外国人はどのように日本を見てきたのか、残された文書を紐解きながら分析していきます。

 たとえば戦国時代。豊臣政権の末期に捕虜として日本に連行された朱子学者の姜沆(かんはん)は、その著書『看羊録』のなかで、日本人はブームに流されやすい国民性を持っているという旨のことを書き記していたのだといいます。

「大体その風俗は、小〔事〕にさとくて大〔事〕にうとく、衆〔人〕の尊び誉れとすることについては、そのあとさきをよく調べもしないでひたすらそれに従い、一度それに惑わされたが最後、死ぬまでさとりません」

「みんなが良いというから良いのだ」「みんながやっているから、自分もやる」という、なんとなく流されてしまいやすい国民性は、昨今にはじまったことではなく、少なからず当時の日本人にも見受けられた性質のようです。

 この日本人の流されやすい性質は、各人の信仰する宗教に関しても当てはまったようです。

 戦国時代における庶民の食生活は、極めて質素で貧弱なもの。そのため、食生活には甘味も不足。蔦の幹を煎じてつくった甘葛煎(あまずらせん)や干柿などで甘味を補給するしかなかったといいます。

 そこに目をつけたのが、宣教師たち。カステラやコンペイトウ、ビスケットといった砂糖や鶏卵を豊富に使用した「南蛮菓子」を日本人に配ることによって、入信を勧めたのだといいます。

 河合さんは次のように指摘します。

「南蛮菓子は、甘味に飢えた戦国の庶民にとっては、こたえられない美味であったに相違ない。仏僧がこの行為を激しく非難していることから、菓子に釣られてキリシタンになった者も少なくはなかったことがわかる」

 日本を訪れた外国人たちは、日本社会や日本人のどのようなところに目が留まったのでしょうか。正座や畳といったものから、男色や遊郭といった性風俗まで、外国人の目を通すことで改めて気付かされる日本の特異な点、意外と多いかもしれません。

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