柱も天井もむき出し!? 画期的なリノベーション戸建ての暮らし
通常、家というのは柱や梁などの”骨組み”の上に、壁や天井を肉付けしてつくられるものですが、そんなセオリーを覆す一風変わった住まいが話題になっています。柱や天井を覆う装飾の一切を排し、”むき出し”になった空間はインパクト十分。しかしながら、なんだか不思議な味わい深さも漂っています。
果たして、その住み心地は如何に? 実際に現地を訪れ、その魅力を探ってみました。住まい手自身が「手を加えて暮らす」楽しみを残す
そのお宅は世田谷区にある一軒家。二子玉川駅からバスで10分の閑静な住宅街に建っています。じつはここ、以前にコチラの記事(http://suumo.jp/journal/2013/05/13/43724/)で紹介した、「中古戸建+リノベーション物件」です。あのときはまだリノベーション工事前の状態でしたが、その後、無事に工事も終了し、すでに入居もされたとのことなので訪問してみることにしました。
というわけで、さっそく家の中をご覧ください。
【画像1】中古戸建をリノベーションしたDさん邸。一般的な住まいの内装とは一線を画す、個性的なたたずまいです(画像提供:リビタ)
ご覧のように、住宅に本来あるべき壁紙や天井、ドアなどが見受けられず……。壁はほとんどが下地材などに使われる構造用合板で囲われたのみで、クロスなどは張られていません。梁や柱もむき出しです。
一見、未完成なようにも思えるのですが、不思議と味わい深く、なんとも心地よい空間でした。
じつはこれこそ、この家の最大の特徴。内装を最小限の施工にとどめているのは、住まい手が暮らしながらアレコレ手を加えられる余地を残すためなんだそうです。つまり、暮らしながら自分たちらしくアレンジできるよう、あえて「余白」を残しているわけですね。
ただ、余白を残すといっても、例えば壁の合板には木目が透ける程度に白い塗料を塗るなど、必要な仕上げはなされており、断じて手抜きというわけではありません。むしろ、間取りなどはスペースを効率よく使うための工夫が随所になされていて、6層のスキップフロアでひと続きになった空間は開放感抜群。断熱改修も行っていて、下の階層から上の階層まで暖かい空気がめぐるため、暖房器具ひとつで家中が暖かい! 間取りひとつ工夫するだけで、こんなにもエネルギー効率の良い住まいになるんですね。Dさん夫妻の「余白の楽しみ方」
では、入居者の方はどのように「余白」を楽しんでいるのかというと……
【画像2】玄関の壁にボルダリングのホールドを取り付け、いつでもトレーニングができるようにしたり(画像提供:リビタ)
【画像3】梁にハンモックを吊るしたり(写真撮影:榎並紀行)
【画像4】趣味のアウトドア用品を収納する金具やパイプを設置したり……(画像提供:リビタ)
まだ入居間もないということもあって、あまり大きく手を加えている様子は見られませんが、むき出しの梁や柱を活かしてインテリアを楽しんだり、どこにでもビスが打てる構造用合板に棚を設置したりと、少しずつ余白を自分色に染め始めているようです。
「でも、基本的には現在のナチュラルな雰囲気が好きなので、壁にペンキを塗ったり大幅に改造したりということは今のところ考えていません。しばらくはこの状態のまま暮らして、例えば新しく趣味が増えたり、親と同居したりといったきっかけがあったときに手を加えられるよう、余白を残しておきたいと思っています」(入居者のDさん:仮名)
【画像5】木で構成された空間なので、緑がよく映えます。ところ狭しと並ぶ観葉植物は遊びに来た友人たちが持ってきて、いつの間にか増えてしまったのだとか(写真撮影:榎並紀行)
ちなみに、妻のNさん(仮名)の趣味はホームパーティーとのことで、たびたび友人が遊びに来るそうなのですが、そのお友達から「リビングをシアタールームに改造しよう」などと”余白の活用法”を提案されることもあるそうです。入居者当人だけでなく、友人たちにとっても思わず口を出したくなる、なんだかほっとけない住まいなんでしょうね。
【画像6】なお、太陽光発電と電気自動車への蓄電による「家庭内のエネルギーマネジメント計画」も現在進行中なのだとか(写真撮影:榎並紀行)
昨今は家族の成長や変化に合わせて間取りを変更できるなど、将来を見据え可変性をもたせた家が人気を呼んでいますが、ここまで自由度の高い住まいとなるとそうはお目にかかれません。そのユニークなコンセプトは業界的にも評価が高く、じつはこのお宅、昨年のリノベーション・オブ・ザ・イヤー2014においてグランプリを獲得した注目の事例でもあるのです。
どんな家だって住み始めてしばらく経てば、当初の新鮮な気持ちは薄れるもの。また、家族が増えたり、ライフスタイルが変わったり、新たな趣味が増えたりすれば、家に求める機能も変わってくるでしょう。そんなときには、リフォームで内装や間取りを刷新してみるのもひとつの手ですが、そんな大がかりなことじゃなく、こんなふうにカジュアルに家の雰囲気を変えられたら暮らしはもっと楽しく豊かになるんじゃないでしょうか?
「手を入れる」という、持ち家ならではの楽しさを存分に味わえる「余白」のある暮らし。今後のマイホームシーンにおいて、注目すべきキーワードかもしれません。●マイホーム選びの新潮流?「中古戸建リノベーション」はアリかナシか
http://suumo.jp/journal/2013/05/13/43724/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/02/26/78487/
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