やっぱり出た! 保育料2万円 税金50万円(うんざり)
今回はkirikoさんのブログ『博多連々(はかたつれづれ)』からご寄稿いただきました。
やっぱり出た! 保育料2万円 税金50万円(うんざり)
10月25日の報道ステーションで保育所待機児童のことを取り上げていた。いやな予感がしたけど、やっぱり出た。
“保育料は2万円なのに、税金投入が50万円(子ども一人あたり)!”
違う対象を比べてどうすんだよ。保育料2万円→全国の保育料平均。0歳児〜5歳児。当たり前なんだけど、0歳児は少ない *1 。税金投入50万円→東京都(区部・いくつかの市)の公立保育所の0歳児に限定した計算。※鈴木亘氏の計算によるもので、根拠不明。
鈴木氏提供の資料によれば、0歳〜5歳児にかかる運営費(税金投入)の平均は、東京都武蔵野市で17万2000円(『文藝春秋』2010年11月号・鈴木亘「待機児童80万人の元凶–公立保育所の給料が高すぎる」P324)。武蔵野市や東京区部はラスパイレス指数 *2 が最も高い自治体なので、全国平均はもっと低い。
*2:ラスパイレス指数
国家公務員の平均給与額を100としたときの、各自治体の地方公務員の平均給与額の指数。 『はてなキーワード』より
http://d.hatena.ne.jp/keyword/ラスパイレス指数
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保育所の在籍児童年齢別人数(平成20年)*1
総 数 213万7692人
0歳 4万7575人
1歳 23万1316人
2歳 31万6459人
3歳 39万7696人
4歳 45万6750人
5歳 45万4245人
6歳 23万3651人
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表番号11「児童福祉施設の在所者数,年齢各歳、施設の種類・経営主体の公営−私営別」※CSVファイルです 『政府統計の総合窓口』
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Csvdl.do?sinfid=000006692567
0歳児は1歳以上より一ケタ少ない人数。保育料は0歳〜3歳未満児が高く3歳以上児は安い。
なお、鈴木氏言うところの“50万円かかっている0歳児”は、東京区部と一部の市の公立保育所のことだが、東京都の保育所在籍0歳児は平成20年で3,594人(公立・私立合計)。*2
*2:表番号13「保育所の在所児数,都道府県–指定都市–中核市、年齢各歳別」※CSVファイルです 『政府統計の総合窓口』
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Csvdl.do?sinfid=000006692569
このうち、公立は私立より0歳児保育が少ない。公立保育所で0歳児を預からないのを伝統とする区もある(例:江戸川区)。代わりに保育ママと呼ばれる家庭福祉員への0歳児保育委託があるが、正規公務員ではない。したがって“50万円税金投入の0歳児”は1500〜2000人程度ではあるまいか。全国で約200万人いる保育所在籍児童の0.075%〜0.1%にすぎない。上図、“保育所在籍児童数のイメージ”参照(数値は平成20年)。
保育料は全国の平均値を使っておいて、税金投入はごく一部の最も高い数値を使う。統計を悪用した“だまし” “あおり”だね。
テレビ画面ではテロップで50万円の横に小さく(0歳児ベース)と入れていたけど。古館氏もコメンテーター氏もそんなとこは構わず「(50万円は)高いですね〜〜〜」だと。まるで全国の保育所の子ども全部に月額50万円かかってるかのような印象を振りまいていた。
当ブログで、
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ネット内外でどんどんデフォルメされて、ついには“日本中どこでも” “認可(公立も私立も)保育所は” “子ども一人に(ゼロ歳でも5歳でも)” “保育料2万円で税金が50万円かかっている”てな話になりかねないんで困ったもんである。
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「鈴木亘「保育所の規制緩和」–なんでわざわざややこしいことを」 2010.10.15 『博多連々(はかたつれづれ)』
http://ryuseisya.cocolog-nifty.com/hakata/
と書いたけれど、さっそく出てきたわ。鈴木教授の「世論が後押ししましょ」のあおりもわかりやすすぎ。
執筆: この記事はkirikoさんのブログ『博多連々(はかたつれづれ)』からご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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