家系ラーメンの守護神『中島家』でキャベツラーメンを食す
基本的には洋食大好き、時には和風の定食も好き、そしてラーメンも嫌いではない、いや、むしろ好きだし大好きだし、ラーメンなしの生活なんか考えられないと言う筆者が、最近ハマりつつあるラーメンを紹介してみましょう。
横浜の平沼橋にある家系ラーメン中島家
あまり訪れる機会がなかった横浜の平沼橋周辺ですが、最近は横浜最強の洋食屋さん『レストラン テル』がキテるのでちょいちょい訪れる筆者。
それとなく周辺を歩いていると……何もない。
いや、なくもないのですが、まだまだ暖簾をくぐるには至らない、ちょっと気になるけど「次の機会でいいや」みたいな微妙な地域。
そんな平沼橋周辺において、見過ごせない店がありました。それが家系ラーメンの『中島家』です。
言うまでもありませんが、「家系ラーメン」とは横浜を中心に広まった豚骨醤油ラーメンで総本山は『吉村家』です。『中島家』の創業は1995年で家系の中でも古株と言えるでしょう。
オーソドックスな家系ラーメンを提供する名店
そんな『中島家』のラーメンは正統派の家系ラーメンです。特にスープに関しては『寿々喜家』同様、クセの少ない丁寧な仕上がりで高評価を得ています。
麺は当然、家系の鉄板とも言える『酒井製麺』を使用。太いストレート麺と豚骨醤油スープの相性は抜群です。
ちなみに『中島家』の麺は家系の中でも「柔らかい」と言われる事が多いので、デフォルトで「堅め」と注文するのも悪くない選択です。
盛り付けは言うまでもなく「家系スタイル」になっています。ここで「海苔の配置の是非」に気が付いた人はラーメンマニアと言えるでしょう。
家系のラーメンは基本的に「海苔3枚を並べる」のが一般的とされています。実際に多くの家系ラーメンを提供する店が同じビジュアルにまとまっているはずです。
しかし『中島家』のラーメンは、ぱっと見た感じだと「海苔1枚」に見えます。
実は昔の家系、もとい初期の家系ラーメンは「海苔を重ねたままで3枚」が一般的だったらしいです。その後、ラーメンブームなどでメディアへの露出が増えるにつれ、ラーメンの盛り方にも気を配るようになったのでしょう。
その結果、最近の「海苔3枚を並べる」と言うスタイルに落ち着いたようです。
つまり、逆に『中島家』の盛り方こそ「家系オールドスタイル」となり、1995年創業は伊達じゃない、「うちは今も変わらずに昔の家系の味を守っているぞ」と言う店主のアピールなのでしょう。
家系ラーメンと豚骨醤油ラーメンの違いって何?
これはラーメン好きなら常識ですが、改めておさらいしておきましょう。最低限、このくらいは知っておいても損はない知識です。
ぱっと見た感じ、どちらも「豚骨醤油」で違いはないように思えます。しかし、両者が決定的に違うのは
「家系ラーメンには鶏油(チーユ)が使われている」
と言う点です。逆に言えば鶏油を使っていなければ、どれだけ盛り付けを真似たところで、ただの豚骨醤油ラーメンにしか成り得ないと言う事ですね。
多かれ少なかれのアレンジや亜流はあるとしても、「家系」を名乗るならば鶏油だけは絶対に使うべきなのです。
中島家と言えば「キャベツラーメン」である!
そんな家系ラーメンの中でもオールドスタイルを貫く『中島家』を語るには、やはり「キャベツラーメン」は外せません。この
「ラーメンにキャベツ」
と言うのは、当たり前過ぎる組み合わせで、何も目新しさは無さそうです。取り立てて騒ぐほどの事ではないでしょう。
しかし、タンメンなどは「炒めたキャベツ」(野菜炒め)だったりするので、茹でたキャベツをラーメンの具として使うパターンは意外と少ないのです。
二郎などはキャベツも入っていますが、メインは大量のモヤシですし、純粋にキャベツを茹でたトッピングは珍しいトッピングになると思います。
まあ、確かに最近は「つけ麺」ブームも来たりしたので、茹でキャベツは珍しくなくなって来ましたが、家系ラーメンの全盛期には珍しいトッピングだったのです。
そんな家系ラーメンにおける「キャベツラーメンの元祖」とされるのが『こうや』です。実は『中島家』の店主は『こうや』で修行されたらしいのです。
つまり、普通の家系の店よりも「キャベツラーメン」に対する想いは並々ならぬモノがあると言う事ですね。
実際にキャベツラーメンを食べてみると分かりますが、家系の豚骨醤油には茹でたキャベツが良く合います。
最初はキャベツ独自の歯触りを楽しみつつ、後半はスープに浸されて味が染みたキャベツを食べる事で二度楽しめるのです。
また、トッピングとしてはボリュームがある方なので、あえて中盛りに行かず「キャベツ」のトッピングで腹を満たすと健康にも良さそうです。
『中島家』 総評
個人的に『中島家』のラーメンは好きです。味の系統としては『寿々喜家』に近いと思います。家系のラーメンが食べたかったら『中島家』で食べれば間違いないと断言出来ます。
頑固そうな店主ですが、逆に「味を守る」と言う視点で見た場合、あの厳しい表情は頼もしく思えます。常にラーメンに対して真摯に向き合い、絶対に妥協しない人に違いありません。
また特筆すべきは2015年2月現在、なんとラーメンを600円で提供している点でしょう。多くの家系の店が消費税の増税に伴い、650円~700円とする中、600円で抑えているのは素晴らしいです(ちなみにキャベツラーメンは750円)。
これは「たかが50円100円の違いだろ」と言う話ではなく、良いラーメン屋さんの指標のひとつとして捉えるべきです。
店側として考えれば、普通に値上げすれば儲かるし経営的にも楽になるでしょう。しかし、いつも通ってくれている常連さん、お客さんの事を考えて値上げをせずに踏み止まる……。ラーメンの値段を見る事で、その店の店主の考え方を伺う事が出来るのです。
オペレーションの方も実に手際良く、混雑時は店の外に数人が並ぶ人気店ですが、店員さんが確実に仕切り、早い段階で注文だけ聞いてくるので、待たされる時間は少な目です。接客は柔らか目なので、一人ではラーメン屋さんに入りにくいと言う人にもオススメです。
あとは好みの問題ですが、若干「麺が柔らかい」との意見が多いので、麺堅めでオーダーするのが良いかもしれません。他にも意外なのは
「堅め、少なめ」(麺堅め、鶏油少なめ)
でキャベツラーメンを注文する人が多い事です。家系だと、むしろ「多め」で頼むコッテリ派が多いのですが『中島家』の場合は、常連ほど「少な目」で頼む人が多いように思われます。
さらに「堅め、薄め、少なめ」とするプロも居ます。醤油ダレを抑えた「薄め」とする事で、よりスープの味が明確になるそうです。
つまり、それだけ『中島家』のスープは完成度が高いと言う事でしょう。
他にも「ライス」(小)をオーダーする人が多いのも『中島家』の特徴でしょうか? 逆にライスを頼まない方が不自然みたいな感じで、多くの人がライスをオーダーしています。「キャベツラーメン堅め少な目 ライス」が中島家のスタンダードかもしれません。
そんな訳で、是非みなさんも筆者のイチオシ『中島家』でキャベツラーメンを食べてみて下さい。
「当たり前過ぎる組み合わせが当たり前以上に美味い、むしろなんで家系なのにキャベツ入れないの?」
みたいな感じになると思いますよ。
中島家(なかじまや)
神奈川県横浜市西区浅間町3-173-3
水~月 11:00~22:00
定休日 火曜日
※この記事はガジェ通ウェブライターの「YELLOW」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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