“アイドル映画”と侮るなかれ! 食わず嫌いしてたら損な傑作邦画が続々公開

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マエストロ!

あなたが映画を選ぶ時の基準はなんですか? 好きなジャンルだから、好きな監督だから、予告編が面白そうだから、友達がオススメしていたから……。理由は色々あると思いますが「好きな俳優・女優さんが出ているから」というのも大きいでしょう。でも逆に「この出演者ならこんな映画だろう」と決めつけてしまうこともありますよね。

特に、アイドルや元アイドルの方が出演していると「ああ、この人のファンが観る映画ね」なんて思って観に行かなかったり。でも、そんな食わず嫌いってもったいないと思うんです。“アイドル映画”だと思っていたけど、いざ観てみたら良かった! なんて掘り出し物感が味わえるのも映画の面白さ。今回は2月公開の邦画から、オススメ邦画3本をご紹介します。

マエストロ!

まずは、現在公開中の『マエストロ!』。松坂桃李と西田敏行が初共演、シンガーソングライターmiwaが映画出演と話題の作品で、公開初日2日間で興行収入1億1,800万円、ランキング6位とヒットを記録しています。

CMソングに多く起用され、特にティーンに多くのファンを持つシンガーソングライターのmiwaが出演という事で、アイドルではないものの「可愛いmiwaちゃんを観る映画」と思ってしまう人も多いはず。筆者も正直に申しますと、さほど期待はしていませんでした。ところがどっこい、これが実によく出来たドラマだったんです。

まず、原作がさそうあきら作の同名コミックという点。「神童」「トトの世界」といった丁寧な人間描写に定評のある作家さんだけに、「マエストロ」も登場人物たちの描き方が素晴らしい作品。第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門にて優秀賞も受賞しています。

そんな、傑作ストーリーがベースになっている映画『マエストロ!』はその人間描写の素晴らしさはそのままに、映像だからこそ表現できるオーケストラの演奏シーンが見事。そして、miwaも天真爛漫な性格だけど音楽の才能あふれる「橘あまね」という役柄を活き活きと演じています。

映画を観た観客にも「miwaちゃんは神戸弁もフルート姿も似合っていて、映画初出演とは思えなかった」「努力が見えた。女優としての活動にも期待」と好評。「最後の演奏シーンは立ち上がって拍手したかった」「松坂桃李目当てだったけど、ストラディバリウスを使用するなど本格的! 老若男女誰でも楽しめる」といった、本格的な演奏シーンを絶賛する声もあり、これからの口コミ効果にも期待です。

(C)2015「マエストロ!」製作委員会 (C)さそうあきら/双葉社

味園ユニバース

続いては、2月14日に公開となる『味園ユニバース』。『リンダ リンダ リンダ』『苦役列車』『もらとりあむタマ子』など、オリジナリティ溢れる青春を描くことに定評のある山下敦弘監督が、全編大阪ロケを行った最新作『味園ユニバース』が2月14日より公開。主演に関ジャニ∞の渋谷すばる、二階堂ふみを迎えた本作は「ジャニーズ映画」なんて甘く見てたらケガする大傑作人間ドラマ。

とにかく、渋谷すばるの歌の持つパワーがすごい! 渋谷さんのハリのある声はトランペットやトロンボーンを擁する14人編成のバンド赤犬の音と相性抜群。渋谷すばる×赤犬のライブシーンは絶対に大スクリーンで聴くべき。

また、彼が演じる歌しか記憶がない“ポチ男”というキャラクターも繊細さとワイルドさを兼ね備えた渋谷さんの雰囲気にピッタリ。音楽の良さはもちろん、ちょっとしたサスペンス要素もあるストーリーは男性でも楽しめること請け合いです。

(C)2015『味園ユニバース』製作委員会

幕が上がる

最後は2月28日に公開となる『幕が上がる』。ももいろクローバーZの5人が主演を務め、平田オリザ氏原作、本広克行が監督を務めた青春ドラマ。これが、なめてると(失敬)かなり良い! スクリーンで観るももクロの透明感、可愛さは抜群です。演技が不自然じゃないのは、それぞれの素のキャラに近い役柄だからなのか?

途中、ちょっと気恥ずかしくなっちゃうアイドル映画演出もあるものの(少女マンガみたいにキャーとかウワーとか悩んだりする)、基本的には映像が柔らかくてキレイで大人の鑑賞に耐えうる仕上がりです。これは脚本に『桐島、部活やめるってよ』の喜安浩平氏がが入っているからなのでしょう。

筆者は個人的に「Z」になる前のももいろクローバーが好きなので、制服とか部屋着とか私服とか、等身大の可愛い彼女達が観られて大満足。共演の黒木華さんの存在感も素晴らしく、女の子が女の子に嫉妬したり、憧れたり、という女の子同士の心情の揺れ動きは「あるある」と思う人も多いはず。20代、30代、40代の女性に昔を思い出しつつ観て欲しい一本です!

(C)2015 O.H・K/F・T・R・D・K・P

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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