【東京ゲームショウ2010】iPhoneアプリに感じる期待と悩み
今年も東京ゲームショウの季節がやってきました。期待の新作がいくつも展示され遊ぶことができますが、去年から展示数を増やしているのがiPhoneやAndroidのゲームアプリ。今年からは専門のブースまで用意され、一度に多くのiPhoneアプリを触ることができます。 ではどのような作品が展示されていたのか? ・・・・・・結論から言えば全体的に低調な雰囲気。カジュアルと言えば聞こえは良いですが、手を伸ばそうという気にもならない安易な作りのゲームや、質は高いものの他機種で既にリリースされているため「iPhoneならでは!」という点で劣ってしまう移植作品群などなど・・・・・・。
ゲームだけに特化してみると、確かにiPhoneのアプリは在庫リスクもなくiTunesから手軽に買える反面価格帯は低く、メーカーにとって美味しいのか美味しくないのか良く分からない市場です。 市場規模の大きさが異なるため一概には比較しにくいのですが、例えばMCF(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム)曰く日本のモバイルゲーム市場の規模は2009年度884億円と算出されています。(※1) 反対に今年に入ってからは「iPhoneアプリももうからない」(※2)という声が出てくるなど、日本におけるiPhoneゲーム市場規模および需要はまだ相当に低いものと予想されます。 最近リリースされているゲームなどからも「個人で開発が行える(低コストさの)メリット」よりも「企業が予算を出しにくいデメリット」が勝り、若干及び腰で臨んでいる様子が伺えます。 たとえば以前にガジェット通信でも紹介した『スペースインベーダー インフィニティジーン』のようなiPhone向けに独自進化を遂げたゲームが現状は出てきていないのが正直なところです。 ・・・・・・と、展示ブースでゲームを遊びつつ去年のゲームショウからの伸び悩み具合に哀しい気持ちを抱いてしまったわけですが……しかし! 少ないながらも記者のツボをビシバシ刺激してくれる作品だって勿論ありました。以下にそんな2作品を(期待を込めて)ご紹介します。
・あの名作が帰ってきた!? 『僕とちくわと鉄アレイ』
これは画面手前にあるちくわを、奥に鎮座まします鉄アレイへと投げつけるゲーム。システム自体はiPhoneアプリで大ヒットした『ペーパートス』をほうふつとさせますが、気になるのはその世界観。 『ペーパートス』には「紙くずをゴミ箱に投げつける」という必然性がありましたが、このゲームでは何故ちくわを投げるのか? 何故鉄アレイで受け止めるのか? と気になることばかりで大変にシュール。 そんな不思議な世界観を持つゲームですが、その謎を解く鍵はメーカー名に隠されています。
というのもこの作品はハドソンさんとRucKyGAMESさんの第一弾コラボ作品。 ハドソンさんでちくわで鉄アレイと言えば・・・・・・、そう『ファミリーコンピュータ』で150万本の大ヒットを記録した『忍者ハットリくん』のボーナスステージ! このステージではハットリくんの父であるジンゾウ氏が我が子へ、ちくわと鉄アレイを投げつけているのです。 『僕とちくわと鉄アレイ』のゲーム中では忍者も登場しますし、その関連性は明確。 24年前の作品がフューチャーされたかと思うとちょっとノスタルジックな嬉しさが湧いてきます。 シンプルなゲームですので操作は簡単。 適当に指をスライドさせ、ちくわを鉄アレイへと投げつけるだけです。ゲームオーバーはありますがクリアはありません。延々とちくわを鉄アレイへと投げ続けましょう。
・画期的、未来のおもちゃが現実に! 『AR.Drone』
この『AR.Drone』はクアッドリコプターのラジコン。簡単に説明するとローターが4つあり安定感抜群なヘリコプターです。 で、このラジコンが何なのか? 実はこれiPhone/iPod touchがリモコンとなり、かつクアッドリコプターに内蔵された2基のカメラ映像をiPhone/iPod touchに送り、空中からの視点を楽しめるのです。 実際に体験してみましたが慣れてくると操作は簡単。 いくつかの操作方法が提供されていますが、記者がプレイしたのはiPod touchを傾ければクアッドリコプターも傾けた方向に進む、というもの。 傾きの感度が分からないうちは戸惑うかもしれませんが1分程度でコツがつかめます。
特に優秀な点は、液晶画面から指を離すと自動的にその場でホバリングをするところ。 空中を飛ばしていると、どうしても思いがけない動きが発生してしまいますが、そこは慌てず騒がず指を離して一息つきましょう。これを心がけていれば気持ち良いフライトを堪能できます。 また後日無料でダウンロードで提供される『AR.IFlyingAce』は複数の『AR.Drone』同士で空中戦を行えるゲームアプリ。 ARによりレーザーや体力ゲージが表示されドッグファイトが楽しめます。 今回は飛ばしただけですが感想はただただ「これは欲しい!」の一言。 気になるお値段は4万3800円とのことですが、既に16日から販売を開始。 残念ながらamazonでは既に在庫切れなのですが、他の販売ルートとしてはソフトバンクショップ(大通、池袋西口、表参道、田町、名古屋駅前、心斎橋、高松中央、リバーウォーク北九州)およびソフトバンクオンラインショップでのみ取り扱っています。また上記のソフトバンクショップでは今週末に体験会も行う予定があるそうですので、気になる方は是非触ってみて下さい。 とても面白いですよ!
この2作品。 前者はアイデア勝負、後者は現実とバーチャルの融合といった感がありますが、どちらにも「それをプレイしてみたい!」と感じさせる力があります。 前述の繰り返しになりますが、まだまだ市場規模が小さいiPhoneのゲーム市場が、どこまで伸びていけるのかは関係者にとって大事なテーマの1つでしょう。 市場を拡大する起爆剤足り得るのは、安価ですが安易なゲームを大量生産することではなく、今回紹介したようなどこかに突き抜けた魅力のある、ピリリとスパイスの効いた作品なのではないでしょうか。
参考:
※1 モバイルコンテンツ関連の市場規模 ※PDFファイル
http://www.mcf.to/press/images/mobilecontent_market_scale2009.pdf
※2 「パッケージ市場崩壊、iPhoneアプリももうからない」 ゲームメーカーが生き残るにはhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/17/news087.html
■ガジェット通信にはこんな記事も!
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インターネットの賑わっているところに大概参加をしながら約20年。 ここ最近はニコニコなどの動画サイトを根城にしつつ、何だかよく分からない生活を送る。 生放送においては過去に、日本全国を生放送をしつつ巡ったり、ヨハネスブルグ、ジンバブエ、カザフスタンなど「そもそも回線は大丈夫なの?」といった場所から生放送を行ったことも。 しかし、一番好きな場所は『自分の部屋』とのたまう、自称「世界で一番忙しいニート」・「世界で一番仕事をしない自宅警備員」。
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