スマートフォンじゃない! フルキーボードを搭載して進化した“ガラケー”『N-08B』製品レビュー
『iPhone』やAndroidスマートフォンは気になるけど、従来の携帯電話から電話番号もメールアドレスも変えたくないし、2台持ちもしたくないという方は多いのではないでしょうか。NTTドコモ向けのNEC製携帯電話『N-08B』は、いわゆる“ガラケー”と呼ばれる日本独自に進化を遂げた携帯電話にカテゴライズされる製品ですが、そんなユーザーにも気になる製品。4.6インチの大画面とフルキーボードを搭載するこのユニークな携帯電話をお借りして、実際に触ってみました。
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・印象的なフルキーボード
なんといってもこの端末で特徴的なのが、キーピッチ約12.7mmのフルキーボード。キーストロークは約1.2mm、パンタグラフ構造のキーで、本体を両手持ちしても、机に置いた状態でも快適にタイピングできます。
キーボード手前側には、ポインタを操作できるスティックポインタ、マウスの左右ボタンに相当する2コのボタンが手前側の側面に配置しています。フルキーボードと合わせて、パソコンのような操作感で操作が可能。
タッチパネルのモニタとキーボードをコンパクトなクラムシェル型本体に収めた『IS01』や『LYNX SH-10B』と比べると、『N-08B』はキーピッチを十分に確保し、“快適に使えるキーボード”ありきでデザインされていることが分かります。とはいえコンパクトさが犠牲にされているわけではなく、本体をたたむとスリムな横長の形状になります。携帯電話としては大きいですが、スーツのポケットに入れても違和感ない、手帳やサイフのような印象です。
・長時間バッテリーで最強のテキスト入力ツールに
このキーボードが活躍するのが、プリインストールされたテキストエディタ。全角5000文字まで入力でき、テキスト形式で保存が可能。作成したテキストファイルを携帯メールで送ったり、USBケーブル経由で転送してパソコン(PC)上で利用することができます。
ちなみに『N-08B』は、『iモード』メールのほかに、PCメールのアカウントを設定して利用することも可能。テキスト入力ツールとしてデジタルメモ『ポメラ』を利用し、携帯電話やPCなどを連携させていたユーザーには魅力的な端末といえそうです。
長文のテキスト入力でうれしい機能として、連続待ちうけ時間1000時間が可能な“長持ちバッテリー”が挙げられます。外出先で長い文章を入力する場合も、バッテリー切れを気にせず、長時間のテキスト入力ができるのは、スマートフォンにない強みといえます。
・大画面でウェブやアプリを表示
4.6インチのディスプレーは、“ガラケー”向けのサービスを大画面で楽しめます。携帯電話用のサイトを表示する際は、縦長にデザインされた携帯サイトをそのまま表示することも、フルスクリーンで表示することも可能。ガジェット通信などテキストの分量が多いニュースサイトを見るときには、フルスクリーンで表示すると読みやすくなります。
最近の携帯電話にはPCサイトビューワー(フルブラウザ)が標準で搭載されていますが、『N-08B』の大画面で見るとそのありがたみが実感できます。スティックポインタと2ボタンでPCと同様に操作でき、検索やURL入力ではフルキーボードが活躍。スマートフォンを主にウェブ閲覧の用途で検討している方は、『N-08B』も有力な候補になりそうです。
携帯電話用のアプリも大画面で表示可能。プリインストールされている『Googleマップ』を使ってみましたが、PCと同様の使い勝手で、しかも端末を外で持ち歩けるのは便利。大画面でゲームをやるのも楽しそうです。ただし、携帯電話のソフトキーをアプリで利用する場合、キーボードのファンクションキーを代用することになり、通常の携帯電話とは使い勝手が異なる場合もあるので注意してください。
スマートフォンのアプリが大量にリリースされているとはいえ、これまで『iモード』で提供されてきたアプリの資産も無視できないもの。お気に入りで手放せないアプリがある方は、大画面で利用することにより、さらに新しい価値を付加できるかもしれません。
・Wi-Fiやアクセスポイント機能も
携帯電話の3G回線による通信だけでなく、Wi-Fiにも対応。自宅のブロードバンド回線や外出先のアクセスポイントを利用して、PCサイト閲覧やメールの送受信ができます。送受信の速度は最大54Mbps。
『N-08B』をアクセスポイントの親機にも利用可能。携帯ゲーム機やノートPCを一緒に持ち歩いて、3G回線を経由してネットに接続できます。この場合にも、“長時間バッテリー”により長時間のネット接続ができるのは魅力的です。アクセスポイント使用でバッテリー持続時間を検証する時間はありませんでしたが、『ポータブル Wi-Fi ルーター』のバッテリー連続動作時間が6時間という仕様であることを考えると、ひょっとしたら『N-08B』の方が長時間使えるのかもしれません。
・電話としては……
テキスト入力ツール、ウェブやアプリの端末、ネット接続端末としての機能を見てきましたが、もちろん通話もできます。ただし本体だけで利用する場合、開いた状態でハンズフリー通話することが前提になります。マイクはディスプレー中央の上部に、スピーカーはキーボードの手前側に配置しており、開いた状態で机に置けば快適にハンズフリー通話が可能。ディスプレー右側にはインカメラもあり、テレビ電話にも対応します。
本体だけで通話するなら室内で、外で通話するならイヤホンマイクやBluetoothヘッドセットが必要です。仕様上、『IS01』のように閉じた状態で無理やり通話できないのは、ちょっとだけ残念……。
とはいえ、携帯電話としての完成度が高くなり、後はカメラ機能やデザインで競い合う“ガラケー”の中で、思い切った方向に進化させた点が評価できる『N-08B』。おそらく5年後、10年後にも記憶に残る“名機”として語り継がれていくことでしょう。そのユニークな機能に興味を持った方は、まず店頭で一度手にとってみるべきではないでしょうか。
『N-08B』主な仕様
サイズ:W180×D80×H18.1mm
重量:約300g
3G連続待ち受け時間(静止時):約1000時間
連続通話時間:約350分
連続テレビ電話時間:約180分
ディスプレー:約4.6インチ、854×480ピクセル フルワイドVGA TFT液晶、167万7216色
外部メモリー:microSD(2GB)、microSDHC(16GB)
カメラ機能:CMOSカメラ(約33万画素/約31万画素)
本体カラー:ultimate black
海外通話:3G
ミュージックプレーヤー機能:WMA、SDオーディオに対応
Bluetooth:バージョン2.0+EDR
FOMAハイスピード:下り最大7.2Mbps(HSDPA)、上り最大5.7Mbps(HSUPA)
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
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