沖縄・西表島への移住者に、島暮らしの魅力を聞いてみた
都会での日々に疲れ、別の場所で全然違う生活をしてみたい……。そんなことを思うのは、日本の会社員だけではないようだ。10月から11月の2カ月間、日本全国の島々30島で試写会が行われた『ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で―』という、映画の主人公の若者もそう。ギリシャの街で希望を失った若者が「死ぬことを忘れた島」として有名なギリシャのイカリア島で、人生を楽しむコツを学んでいくのがこの映画だ。
今回は、その試写会会場の一つとなった沖縄の西表島で暮らす今村弘明さんに、島への移住について、そして離島暮らしについてお話を伺うことができたのでご紹介したい。「移住してくる方の男女比は半々くらいで出身地もさまざま。世代は20代~30代が多いです。前職については、美容師や飲食業、その他自営業など、こちらも多種多様です。手に職を持って移住してくると重宝されていますね」
東京では庭師だったという今村さん。移住後のお仕事について伺った。「夫婦で、沖縄の野草を使った『島茶』というハーブティーをつくっていて、沖縄だけでなく、本州のお店やレストランでも好評です。それ以外にも、地域のリサイクル事業や、冬はサトウキビの収穫、夏は農園でパイナップルの収穫や発送、空き家の庭の手入れなどなんでもしています」
土地の恵みを生かした仕事、そして前職を生かしたお仕事と、多くの仕事に取り組まれているようだ。では、西表島に来て驚いたことはあるだろうか。「一番は、島には中学校までしかないことです。島で生まれ育つ子どもたちは、中学を卒業すると、隣の石垣島か沖縄本島、その他国内の学校に寮生として修学します。そのまま進学や就職をするので15才から20代前半の世代がぽっかり抜けているんですが、その分、戻ってきた若者は意志を持って自立した印象です。他には……、『送料無料(離島は除く)』にも悩まされます(笑)」
最後に、島での暮らしの魅力を教えていただいた。「一番は子育てがしやすいことです。私にも2才の子どもがいますが、仲間やおじいおばあ、多くの人に育てられている事を日々実感しています。そして、ありがたいことに友人やそのまた友人など来客が多く、畑や家の改装を手伝ってくれる彼らに島の恵みを振るまい、楽しく時間を過ごしています。海からは魚や貝や海藻、山からは猪や山菜と、自然の恵みを家族や友人と味わえることは幸せです。もう一つは、集落の一員として活動できること。今は集落の青年会や消防団に入っていて、伝統芸能や獅子舞をやらせてもらえることは、島での暮らしで大きな楽しみになっています」
大きな魅力とともに、生きることにとことん向き合う大変さもある離島暮らし。印象的だったのは、今村さんの「不便だからこそ助け合い、分け合い、知恵を共有する。それが世代を超えて日常に息づいているところも魅力です」という言葉。「分け合えば足りる」というキーワードは、都会暮らしをしている私たちにとっても、人生を楽しみながら、元気に生きていくヒントになるのではないだろうか。
『ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で―』
HP:http://unitedpeople.jp/littleland/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/12/12/74618/
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