それって真実?「美談のシェア」に警告
美談や感動的な話、醜聞などのSNS拡散。背景に「私欲」
「どうして解散するんですか?」というサイト(現在は内容が変更されています)がインターネット上で拡散され、一時、話題になりました。しかし、小学4年生の主張とされていた内容が、実は20歳の大学生のもので物議を醸しています。
「嘘はダメ」。それは誰もが知っていることです。そして「ネットに完全な匿名はない」ことも、多くの人が何となく理解できているのではないでしょうか。しかし、「私欲」のようなものが芽生えた時、それらを忘れてしまうのかもしれません。その私欲のために、美談や感動的な話、醜聞などがSNS上に度々拡散されてしまうことがあります。
ネットメディアでは爆発的な拡散力を発揮することがある
今回のケースでいえば「なぜ解散するのか?」を本当にそれが知りたかっただけならば、小学4年生になりすます必要は無かったのではないでしょうか。そこに「拡散してほしい」という私欲が生まれてしまったために間違った策を講じてしまったのだと思います。また、ほとんどの人が「拡散してほしい」「いいね!してほしい」などと思って投稿しているでしょう。その結果として、今回のような「嘘」も、あっという間に拡散されてしまうのです。
「テレビで言ってたけど●●だそうよ」「週刊誌に書いてたけど●●だってさ」。ネットメディアが無かった頃、そんな会話は学校やオフィス、スーパーマーケットで日常的に交わされていました。事実は「テレビで言ってた」「週刊誌に書いてた」ということであり、その内容が真実かどうかを簡単に判断する術はありません。
ネット以前のメディアであれば、拡散力はその人の周辺の数人程度のものだったでしょう。しかし、ネットメディアでは爆発的な拡散力を発揮することがあります。「あの話、嘘だった」では済まされないことにもなりかねません。
思わぬネット拡散の当事者にならないための注意点
あえてネット拡散の当事者になろうとする人はともかく、そうでない人が巻き込まれないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
まず、爆発的な拡散力を持つメディアの中にいるという自覚を持つこと。そして、画面の向こうには人がいるという認識を持つこと。ネットの書き込みに匿名性はなく、消すこともできないと知ること。ネガティブな発言には不用意に近づかないこと。どうしてもそのことに触れなければならないなら、それなりの覚悟を持つこと。そういったことが必要なのではないでしょうか。
ネット拡散は恐い一面があります。しかし、自分の意見を主張することが許されない社会になってほしくはないとも思います。小学4年生になりすました理由が、自分の意見を自分の意見として主張することへの恐怖心だったとしたら、とても残念です。
(畑本 伸一/自分メディア育成コンサルタント)
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