ソニー不動産が仕掛ける新常識 仲介手数料も「かかった分だけ」
あのソニーが不動産業に進出!8月の営業開始から4カ月で約1700件(*1)の相談があったそう。注目されているのは手数料の設定。どんなサービスなのか、取材してきた。お客様に安心して満足してもらえる仲介業を
仲介手数料が法定上限額より100万円安かった! 今年9月にソニー不動産が仲介し成約した世田谷区の中古タワーマンションの売却事例だ。
「高額な不動産の売買仲介において、お客様に安心して任せていただけるようなサービスを提供するのが当社の目標です」と語るのは、ソニー不動産株式会社の執行役員・風戸裕樹さんだ。
不動産売買において、仲介業者が受け取る仲介手数料は「売買価格×3%+6万円(税別)」が法定上限と定められている。上限とはいうものの、通常の取引ではこの価格を仲介手数料として支払うのが一般的だという。
最初に示した中古タワーマンションの事例では、約7600万円で成約したので価格の3%の228万円に6万円を足した約234万円が、売主が支払う上限の手数料だ。しかし、ソニー不動産に依頼したことで実際には約139万円で済んだという。加えて売却査定価格も他社より500万円近く高く、実際に高い価格で成約したという。高く売却できて、おまけに仲介手数料が安い。売主にとっては、うれしい条件ともいえる。「かかった分だけ」の仲介手数料という考え方
ソニー不動産の仲介手数料が安い理由は何だろうか?「それは、仲介に関してかかった分だけの費用を頂くという考え方にしているためです」と、風戸さんは説明する。早期に成約 (売却の場合)した場合は割引がある。
「仲介に長い期間がかかる場合と、すぐに決まった場合とではかかった業務量が違うわけで、一律で同じ仲介手数料なのは合理的とは言えません。グループ会社のソニー損保の自動車保険“走る分だけ”と同じような考え方と捉えていただけると分かりやすいと思います(*2)」(風戸さん)
例えば、購入の場合に、物件をソニー不動産からの紹介を受けずに自分で決め、内覧件数が5物件以下だった場合は「コンサルティング不実施割引+内覧物件数割引」が適用され20万円割引(*3)される。■売却の場合の主な割引メニュー
・専任割引
・早期成約割引 など
■購入の場合の主な割引メニュー
・コンサルティング不実施割引(購入物件を自分で決めた場合)
・内覧物件数割引(案内の累計件数が少ないと割り引かれる)
・平日ご案内パック割引
・キャッシュ割引(ローン関係のコンサルティングが不要) など厳格な公平性を追求し、必要な情報はすべてオープンに。両手取引を行わない
「不動産取引が分かりづらい理由として“情報の非対称性”があると言われています。お客さんは、不動産を売ったり買ったりするのは一生に1回…あっても数回です。おのずと業者の持っている知識や情報と、顧客の情報量にギャップが存在します。そのため、どうしても、業者側の業績や利益に寄った取引が行われがちです」と風戸さんは指摘する。
ソニー不動産では顧客の利益を優先するために、(1)過去の取引事例など顧客の判断に役立つ情報をすべてオープンにすること、(2)「両手取引」を行わないことをポリシーとしている。
(1)は、通常は不動産業者しか知ることができない過去の成約事例などのデータベースを開示するもの。例えば、ある地域のマンションの取引事例が過去30件あったとしたら、業者に都合のよい事例10件だけを見せるのではなく、すべて開示するなどだ。
(2)の「両手取引」というのは、売主・買主両方に対して、同一の不動産会社がお手伝いすることをいう。一方「片手取引」とは、売主あるいは買主の片方に不動産会社が専属的に付く取引をいう。不動産先進国といわれる米国などでは、片手取引が標準となっている。片手取引では、売主あるいは、買主の利益を最大に考えて担当者(ソニー不動産ではエージェントと呼ぶ)が交渉を進めることができるため公平性が担保されるのだという。(*4)
風戸さんは「こうした公平性を重視したポリシーを貫くことで、お客様の利益を最も重視したコンサルティング、売買のお手伝いができると考えています」という。選べるエージェントと顧客満足度を指標とした評価を導入
また、ソニー不動産がユニークなところは、担当するエージェントを3つのランクの中から選ぶことができることだ。エージェントの経験に基づいて、エージェント、シニアエージェント、トップエージェントというランク付けをしている。ランクに応じて単価が設定されており、上位ランクのエージェントほど単価も高い。
風戸さんは「戸建て住宅などはマンションよりも取引の難易度が高いため、経験豊富な上位のエージェントをお薦めしています」という。
このほか、相談・打ち合わせごとに顧客満足度を測るアンケートを実施している。顧客満足度を重要な経営指標と位置付け、エージェントの人事評価にも反映させるという。
「ソニーが不動産業に参入したということで、業界のルールを打ち破るのでは?という見方をされますが、必ずしもそうではありません。顧客目線で、合理的な仲介の報酬を受けるような不動産業を目指したいと考えています。ウィリングネス・トゥ・ペイという言葉があります。お客様に喜んで手数料を払ってもらえるようなサービスを展開していきます」と風戸さんは締めくくる。
注
*1:2014年8月〜11月20日で1657件の相談があった。
*2:ソニー不動産を利用した場合、必ず法定上限より安くなるわけではない。同社が用意した仲介手数料の計算式で法定上限を超えた場合は、法定上限での手数料となる。
*3:各種割引は、物件その他条件によって適用されないことがある。
*4:ソニー不動産ではエージェント個人として両手取引を禁じているが、顧客から希望があった場合にソニー不動産社内で売り側・買い側の双方のエージェントが入った形での契約を行うことまでは禁じていない。
【画像1】風戸裕樹さんは、2010年、(株)不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を起業。不動産売却専門の「売却のミカタ」を展開。4年で4000件以上の売却相談を受ける。2014年7月、ソニー不動産によるFCTの100%子会社化に伴い、売却コンサルティング部門の執行役員に就任。著書に「マンションを相場より高く売る方法」(ファーストプレス刊)がある(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)●ソニー不動産
HP:http://sony-fudosan.com/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/12/01/74143/
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