いまも歩いて調査中! ゼンリンの地図製作はすごかった
初めての場所に行く場合に、カーナビやGoogle MAP、スマートフォン用ナビアプリなどを使って行き方を調べるのは日常生活の上で、もはや当たり前の行為。そんな便利な地図は一体どうやってつくられているのか? そこで、地図製作会社株式会社ゼンリンの広報室山口さんにお話を伺ってみた。
まず地図はどうやってつくっているのだろうか? 「地図の調査は、創業当時から今に至るまで一貫して足で歩き、一軒一軒の建物や道路など現地を確認しています。地図の更新はかつて、原稿にホワイトを塗ってその上から専門の職人による手書きで書き込んでいましたが、作業効率の悪さと焼失・紛失等のリスクが課題になっていたので、1980年代中ごろに地図のデータ化に踏み切りました」
なんと、住宅地図の調査は今でも調査スタッフが歩いて情報を集めているとは! ちなみにカーナビ向けのデータ収集では専用の計測車両を導入し、全国を走行しながらカメラで道路を撮影しているという。いずれにせよ、その作業には大変な苦労があると想像されるが……。「真夏の猛暑日でも、真冬の氷点下の地でも悪天候でない限り外に出て一日中歩いて調査をする過酷な仕事です。しかしそんな苦労をしたからこそ、地図が出版物として出来上がったときは格別な思いです」
地図というものは1枚の平面上に描かれているように見えるが、分解すると幾重にも重なるレイヤ(階層)をもった構造になっている。そして必要なレイヤを選択して組み合わせることで、用途や目的に応じたオーダーメイドの地図を作成することが可能になるらしい。具体的にはどのようなオーダーメイドの地図があるのだろうか?「例えば駐車場MAPをつくりたいというときには、 基本の地図データに駐車場情報が管理されたレイヤを組み合わせるのですが、他のどのレイヤとも不整合があってはならないのです。道路と建物の枠が重なってしまうことなどは決して起こってはならないことなので、不整合を発生させない管理力はゼンリンの大きな強みです」
ところで気になるのは、情報の更新頻度。いったいどのくらいの間隔で更新しているのだろうか?「基本的に都市部は毎年、地方でも2~5年に一回は地図を更新しています。このほかには、カーナビやポータルサイト地図向けに新規道路の開通やショッピングセンターなどの開業など、大きな変化があった場合は、定期更新とは別にメンテナンスしています」
これだけテクノロジーが進んだ時代でも、足で稼いだ情報でつくられている地図。ゼンリン創業者である大迫正冨氏は「地図は添え物ではなく、最も重要な情報源だ」と、地図づくりに生涯に捧げた。その先見の明は、まさに現代を表している。●取材協力
株式会社ゼンリン
HP:http://www.zenrin.co.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/11/28/72503/
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