消費税増税見送りで日本の未来に影響はある?
安倍晋三首相は、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げを、1年半先送りし、その先送りについて国民に信を問うため、衆議院を解散する意向を固めました。
来秋の引き上げは時期尚早という声も聞かれますが、朝日新聞が税率引き上げの最適な時期について主要企業100社へアンケートしたところ、60社が「法律に書かれている通り、来年10月に上げるべき」とも回答しています。
一方、「15年度までに消費税率を10%に引き上げても、2050年の政府債務残高は対GDP比で約600%に達する」と分析しているのは日本経済団体連合会(経団連)。経団連が2012年4月に公表した2050年のシミュレーションによると、2050年の日本経済について四つのシナリオが想定できるとのこと。生産性が先進国の平均並みで推移する「基本シナリオ」では、GDPが世界4位に転落。財政が悪化し、成長率が下振れる「悲観シナリオ」では世界第9位まで落ち込み、存在感は大きく低下すると見込んでいます。
現在、GDPは約500兆円で世界第3位。1人あたりの名目GDPは390万円で、これは世界第24位になります。この状況が続けば、日本は裕福な国とは言えなくなるかもしれません。
経団連のシミュレーションでは、かなり厳しい私たち日本人の未来の生活。書籍『日本のカタチ』でも、2050年の日本社会について、こう紹介しています
まずは人口推移。2050年、日本の人口は9500万人にまで減少。これは東京オリンピックの2年前、1962年頃と同じくらいの水準です。ちなみに、2014年11月現在は1億2709万人ですから、3000万人以上少なくなる試算となります。
続いて、高齢化はどうでしょう。高齢化は私たちが避けては通れない問題です。同書では、「65歳以上の高齢者の割合が22.7%(2010年)から35.6%(2050年)へと増え、街を歩く3人に1人以上が65歳以上。生産年齢人口(15~64歳)が8000万人から5500万人へ減少し、労働者1.4人で、1人の高齢者の経済を支えることになる。年金制度はまだ続いているのだろうか」と2050年の生活を伝えます。
2050年の日本はどうなってしまうのでしょうか。これからの人口動態を考えると「なにか手を打つ」必要があることに疑う余地はありません。
今回、消費税率の引き上げを先送りにすることで、より状況を悪化させることにつながる可能性もありますし、もはや焼け石の水で、なにをやっても手遅れ……と見ることもできます。いずれにせよ、消費税増税含めた国の政策については、未来の生活を想像しながら議論していく必要があるのではないでしょうか。
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