ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの音楽事情――『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド 』
中欧4カ国——ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの音楽シーンに迫ったディスク・ガイド本『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの新しいグルーヴを探して』がこのたび刊行された。
ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの音楽シーンと言っても、マニアに高い人気を誇るポーランドのいわゆるポーリッシュ・ジャズなどは有名ですが、ここ日本に住んでいると、やはりその音楽の正体に対して「?」な感覚の方が大きいのが普通ではないでしょうか。南米やアフリカなどは、なんとなくのイメージがあっても中央ヨーロッパというと、キョトンって感じですよね……。
しかし、本著をまず開いて驚くのは、ジャズ、ロック、クラシック、プログレ、ハードコア、エレクトロニカ、ヒップホップ、ダンスミュージックといった多岐に渡るジャンルに渡る、その量。こうしたガイド本ができるということは、「取捨選択」の”捨”の部分があるということですから、そこの妄想も加味して、これまた音楽文化のその広がりに驚くばかりなのです。
本著の特徴はこれら膨大な量のディスクに対して、おそらく代表的なアーティストの名前もわからないシーンに対して足を踏み入れるのに非常に機能的な編集的構成がなされております。まずは巻頭にキーパソン的アーティストを4人紹介、そこから枝葉のように後半に行くほど、その参加アーティストや周辺人脈、バックグラウンドへとディスク・ガイドは伸びていきます。最後にはこれら4カ国の音楽のディープ・リスナーになっていくという構成。じわりじわりと「コレ、あ、この前買ったアレはコレのひとが」というやつでディスク・ガイドとしてアーティストの輪が広がっていく感じが見えるんですね。で、この「輪」が本著で紹介したいシーンという、こういうわけです。
謎だらけな、シーンを読み解くための各国の食やさざまな文化に関するコラムも充実、そして、これまた中央ヨーロッパの音楽に近づきにくくしている、現地語での読み方などのちょっとしたサジェスチョンもあり、また現地のサイトでの音源の購入法もあったりでいたれりつくせり、読み物としてもおもしろいですよ。
そりゃ知らなくても、生きていけます。しかし、そこを「聴いてみたい」というのが音楽の道。さらっと触って、気に要らなかったらそこまで。でも聞いみたら、ずっぱまりなんてことがあったらもったないでしょう。もしかしたら人生の1枚に出会えるかも……。あ、この本に限らずですね。
(河村)
・DU BOOKSの商品ページ
http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK084?dss_mode=pc
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