これは“ジュネ版”『スタンド・バイ・ミー』? 誰もが一度は経験したかつての冒険がここにある『天才スピヴェット』

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フランス本国と日本で驚異の大ヒットを記録、観る者すべてを幸せにした『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督待望の最新作で、『天才スピヴェット』が11月15日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開となります。

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https://getnews.jp/archives/695801 [リンク]

10歳の天才科学者スピヴェットが、権威ある科学賞の授章式でスピーチをするため、アメリカ大陸を横断するという、“壮大な家出”を描く本作。ジュネ監督は自身初となる3Dに挑戦、独自の世界観を極めたプロダクション・デザイン、徹底的に作りこんだ映像で観る者をまさに夢の旅へ連れ出します。類稀な映像作家として讃えられてきたジュネ監督が、本作では“感動作”という新境地を切り開いていることでも話題を集めています。

本作の原作である「T・S・スピヴェット君傑作集」(早川書房刊)は、モダン・ホラーの巨匠スティーブン・キングも、「読者は皆、私と同じようにこの小説を愛するはずだ。こんな物語をこれまでに目にした読者はまずいないかもしれない。宝物のように大切にしたい一冊」と大絶賛している世界的ベストセラー小説。

スティーブン・キングと言えば、ホラーばかりでなく、『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』なども映画化され高い評価を得ていますが、その中でも、心に傷を持った4人の少年たちが好奇心から、線路伝いに“死体探し”の旅に出るという、ひと夏の冒険が描かれる『スタンド・バイ・ミー』は、30年近く経った現在でも愛される名作のひとつとなっています。

家族にも先生にも理解されず孤独な日々を過ごす10歳の天才科学者スピヴェットが、弟の死をきっかけにバラバラになってしまった家族に黙って、自分の居場所を求め独りアメリカ大陸横断の旅に出る姿を描く本作を一足先に鑑賞した観客から、“ジュネ版『スタンド・バイ・ミー』”と呼ぶ声が挙がっています。

「感情について真正面から取り組むのはこれが初めてだ。スピヴェットは僕そのものだよ!」と語るジュネ監督にとって、最もパーソナルな作品になったといえる本作。ジュネ監督は「電話会社で働く父親からは映画ではなく、ちゃんとした仕事に就けと言われていたよ。だけど、ある短編アニメでセザール賞を受賞してからやっと認めてくれたんだ」と父親との思い出を明かしおり、それは本作で描かれる、父が愛していた弟の代わりに自分がなれないことに胸を痛めるスピヴェットと、そんな息子の気持ちに気づかない父親の姿に自身の姿を投影させている部分も少しあるとのこと。

時に笑い、怒り、不安に襲われる、幼少時代特有の心情をつぶさに描き、閉鎖していた環境と戦うこと、友達の大切さを思い出させてくれる『スタンド・バイ・ミー』に、かつて少年・少女だった大人たちが懐かしさを覚え、感動したように、本作もまた、家族と学校が全ての世界に生きていて、親に認めてもらいたくて必死で、日々を想像と妄想を繰り返し、家出なんて人生初の一大事である10歳のスピヴェットの姿に子供の頃の自分を重ね、スピヴェットが最後に語る、思わぬ<真実>に胸を打たれること間違いなしです。

サブサブ_おじいさんとの出会い COPYRIGHTjan-thijs-c-epithete-films---tapioca-films---filmarto---gaumont---france-2-cinema-ressources_2013-10-02_14-49-18_TSS_Day 12_00192

映画『天才スピヴェット』公式サイト
http://spivet.gaga.ne.jp/

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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