いじめ20万件時代を生き抜く子どもの心理

いじめ20万件時代を生き抜く子どもの心理

インターネットによるいじめの割合は過去最多を記録

2013年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」が、10月16日に文科省から発表されました。これによると、全国の国公私立の小中高校、特別支援学校で認知されたいじめ件数は18万5860件となっています。

いじめの態様は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が小学校、中学校、高校の合計で64.4%、次に大きな割合を占めるのが「仲間はずれ、集団により無視される」で20.2%です。最近注目を集めているインターネットによるいじめは、小学校1.4%、中学校8.8%、高校が19.7%となっています。

ネットによるいじめの割合は過去最多となっており、今後も増えていくことが予測されます。また、大きな割合を占める二つの態様を合計すると84.6%ですが、このようないじめは学校に限らず、集団であればどこにでも見られます。

「いじめ」は精神を病んでいる一つの形

文部科学省のサイトに「いじめ対策Q&A」という資料があります。この中で、「いじめはなぜ起こるのか」との問いに対し「不満やストレスのはけ口として起こりがちです」との回答が見つけられます。しかし、私は「いじめをする側」が幸せではない環境にあり、自己肯定感が低いからだと考えています。いじめも、精神を病んでいる一つの形ということです。

また、私もトラウマ治療を行う中、「いじめられた体験」を「過去のものにしたい記憶」として挙げる人は少なからず存在します。大人が「幼稚園のころ、〇〇君にほっぺをつねられた」と相手の名前をフルネームで話すこともありました。このように、「いじめられた側」は悔しく、不快な思い出としてそれを何十年も記憶にとどめているのです。

いじめに関わる子どもはどこにも居場所がないと感じている

いじめ対策には、現在いじめを受けて苦しんでいる子どもたちを救うと同時に、防止するための教育が大切です。いじめている子もいじめられている子も、家庭や学校が「安心安全な場所」でない、「助けを求める」ことができない、求めても対応してもらえないなど、どこにも居場所がないと感じています。

「叱ること、厳しく指導すること、罰を与えること」でいじめが一時的に収まるかもしれませんが、根本の不満、ストレスは解消していないので、またどこかで別の形でいじめが起きる可能性があります。いじめを受けた側は精神的に病んだり、あるいは復讐したりという形を取ることもあります。

大人の態度が子どもにとって人と接する際のモデルになる

いじめの予防は可能です。民主主義の理念「ひとりひとりが人としては対等の価値がある」を意識し、それを態度、行動に移すのです。具体的には、子どもに「大切な友人」に対応するように接します。この大人の態度は、子どもにとって「人に接する時のモデル」という役割を果たします。

日々の生活の中で自分も他者も大切にする態度を育むのです。このことが家庭、学校、会社などで実践されれば 不満やストレスが減り、日本からいじめを減らすことにつながると思います。

(福田 育子/心理カウンセラー)

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. いじめ20万件時代を生き抜く子どもの心理
JIJICO

JIJICO

最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。

ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

記事ランキング