『ベイマックス』を世界最速で鑑賞したぞ! ディズニー最新作は“ヒーロー誕生”の物語だった[映画レビュー]
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12月20日(土)より日本公開となる、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ベイマックス』。本作は、天才科学者の少年ヒロと、事故で亡くなった兄タダシの残したケア・ロボット“ベイマックス”が繰り広げる感動アドベンチャーです。
現在開催中の第27回東京国際映画祭オープニング作品として『ベイマックス』が上映されるにあたり、ドン・ホール&クリス・ウィリアムズ両監督、プロデューサーを務めたロイ・コンリ、さらにウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるアンドリュー・ミルスタインに加え、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのジョン・ラセターまでもが来日。本作が「ディズニーから日本へのラブレター」「日本文化への恩返し」と称されるだけあって、ディズニーのVIPが都内に集結する異例の待遇となりました。
そんな中、筆者も一足お先に本作(2D字幕版)を鑑賞。映像が凄い! ストーリーが凄い! というのはディズニー映画の大前提として、ネタバレしない程度に見どころなどを紹介したいと思います。
『ベイマックス』は“ヒーロー誕生”の物語
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まず初めに告白しておきます。『アナと雪の女王』で歴史を塗り替える驚異的大ヒットを記録した後、ハードルが上がりきってしまったディズニーの次回作は大丈夫なの? と一瞬でも思ってしまった自分を今となっては恥じています。今作も疑いようのない傑作でした。ディズニーの王道である、いわゆる“ディズニープリンセス”とは異なるラインのため、一概に比べる必要もないのですが、個人的には『アナ雪』よりも大好きな作品となりました。
ストーリーは端的に言えば“ヒーロー誕生”の物語です。これは原題が『BIG HERO 6』であることからも決してネタバレではありません。さらに、謎の事故で最愛の兄タダシを失った天才少年ヒロが、人々の心と体を守るために兄が開発したケア・ロボットのベイマックスと共に、兄の死の真相を探ろうとする“ミステリー”ものでもあり、もちろんハラハラ・ドキドキの“アドベンチャー”ものでもあります。
ヒーローが主役ということは、当然ながらその敵役も登場します。面白いのは、ベイマックスが戦闘力ゼロの優しすぎるロボットだと言うこと。非力ながら科学的な才能に秀でたヒロと、人を傷つけることを禁じられたベイマックスは、さまざまな”K.U.F.U(工夫)”によって力に勝る強敵と対峙(たいじ)します。本作のテーマは「優しさで世界を救えるか?」。主人公たちが科学の知識とアイデアで力に勝ろうとする“サイエンス”ものの要素も含まれながら、言わずもがな、最後にはディズニーが誇る“ファンタジー”の世界観で我々をアッと驚かせてくれるのです。
才能を人のために活かせずにいたヒロがベイマックスと出会い、自分の役割と生きる道を見つけ、ヒーローとして生まれ変わる瞬間には思わず涙しました。彼らが科学の知恵と優しさで強敵に立ち向かうときのカタルシスは最高です! ちなみに、『BIG HERO 6』の“6”って何のことなの? って気になりますよね。それは劇場でのお楽しみです。
ディズニーの日本愛がハンパない!
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すでに場面写真も解禁となっている本作の舞台“サンフランソウキョウ”は、サンフランシスコと東京を融合した架空都市。その細部にまでこだわりがたっぷりと詰まった街並みは、ストーリーそっちのけで見ているだけで楽しくなる映像でした。ベイマックスがヒロを乗せてサンフランソウキョウのあちこちを飛行するシーンがあるのですが、おそらくあの場面は3D鑑賞用の演出と思われます。
新橋かな? 新宿かな? と思ってしまうどこか見覚えのある街並みには、日本語の文字で書かれた看板があったり、電信柱や自動販売機、日本製をモチーフとしたと思われる自動車やバスが走っています。アニメ映画を日本語の吹替え版で鑑賞すると、看板などの文字が日本語に書き換えられていることはよくありますが、筆者が鑑賞したのは字幕版。つまり、世界中の人たちが、これからディズニーの日本愛を目にするのです。嫉妬せよ!
もちろん日本を感じるのは“サンフランソウキョウ”の街並みだけではありません。若干ステレオタイプととらえられるかもしれませんが、目的達成のために努力する主人公の勤勉さ、才能のムダ使いとも言えるユニークなアイデア、『となりのトトロ』に影響を受けたと監督が語るベイマックスの優しさ(とフォルム?)。とにかく映画を鑑賞している最中は、その開封が間に合わないくらいディズニーから我々に送られるラブレターの数々であふれかえっていました。この作品を最も楽しめる感覚を持ち合わせているのは日本人の特権です!
そして最後に、何と言ってもベイマックスが超キュート! 思わずハグしたくなる“フワぷに”ボディにつぶらな瞳。プログラムされたセリフを機械的に発するロボットとしての側面がある一方で、感情を持ち合わせているのではないかと思ってしまう、ふとした瞬間に見せる表情や優しさあふれる行動。さまざまな大人気キャラクターたちを生み出してきたディズニーですが、その歴史に堂々と名を連ねる新キャラクター(ヒーロー)の誕生です。そういえば、何となく続編も期待できそうな終わり方だったなぁ。
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『ベイマックス』公式サイト:
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/baymax/
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