社会に何も期待しておらず また社会から何も期待されていない人間
今回はsi-noさんのブログ『マボロシプロダクト』からご寄稿いただきました。
社会に何も期待しておらず また社会から何も期待されていない人間
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何がフィンランド社会の安全を脅かすのかについての分析を行った結果、表面に現われた者はインターネット犯罪者でも、鳥インフルエンザでもHIVでも、ロシアのマフィアでも、温暖化現象でもなく、社会に何も期待しておらず、また社会からも何も期待されていない20歳から40歳の財産も住居もない貧困状況にある男性でした。
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『フィンランドを世界一に導いた100の社会改革』イルッカ・タイパレ編著 公人の友社 より引用
http://www.e-asu.com/koujin/newfile/finland/finland.html
「犯罪の3分の2は、社会から排除された3%の男性が起こす」という研究結果を『3%論』という。
フィンランドでは犯罪に手を染めやすい“3%”の人間を重点的にケアすることで、犯罪率を抑止しようとする社会政策を行っている。似たような事例はアメリカでもあって、犯罪の8割は街の2割の区域で発生するため、その2割の区域を重点的にパトロールすることで犯罪を劇的に低下させることが出来たという。
上記の引用文は、どのような人間が犯罪を犯しやすいか? という分析結果なのだけれども「社会に何も期待しておらず、また社会からも何も期待されていない20歳から40歳の財産も住居もない貧困状況にある男性」というフレーズを読んだ瞬間に、マツダ無差別殺傷事件の容疑者や秋葉原通り魔事件の加藤容疑者の顔が脳裏をよぎってしまった。
「社会に何も期待しておらず、また社会からも何も期待されていない」というのは一種の牢獄(ろうごく)で、その中で生活することは苦役以外の何ものでもない。社会は自分とは決して相容れるものが無い異物であり、自分以外の人間は全員が幸福で、「何故自分だけが?」という答えのない問いの中で自らを苛(さいな)み続ける。
そしていつの日にかその憎悪は沸点に達して爆発する。
社会から排除されて、何も与えられる事が無く、未来さえも不確かな状況に追い込まれている人たちを放置しておくのは「いつ起こるかわからない怨嗟(えんさ)の爆発」というリスクを抱えているだけではない。だれしもが「社会に何も期待しておらず、また社会からも何も期待されていない」状態へと陥りかねないということでもある。
「社会に何も期待しておらず、また社会からも何も期待されていない人間」はフィンランドだけの問題ではなく、むしろ現在の日本において重点的にケアしなければならないリスクなのだと思う。
一見、犯罪者の思考回路は理解できない異様なものに見えるけれど、「金も、住む場所も、寄る辺もなく、社会から何も期待されないで、自分にも、また社会に対して何も期待していない」という環境に何年も放り込まれた後で、突然暴発しないと言い切れる人間は何人いるのだろうか?
執筆: この記事はsi-noさんのブログ『マボロシプロダクト』からご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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