農業は成長産業?起業支援が本格化
官民そろっての農業支援ファンドの生成花盛り
平成27年度の予算概算要求が出揃いました。その総額は、かつてなかった101兆円台後半という大盤振る舞いです。各省庁の要求が軒並み増額されていますが、農業分野への予算要求も例外なく増額されています。
それに加え、農業分野が成長産業であるという認識から、官民そろっての農業支援ファンドの生成花盛りで、安倍政権が農業競争力強化を成長戦略の柱と位置づけていることから、3メガバンクグループ(三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行)も農業分野に資金を注入しています。
金融機関が農業分野を支援する理由
ここ数年、見聞きすることが多くなった「6次産業」という言葉。農林水産省では、雇用と所得を確保し、若者や子どもも集落に定住できる社会を構築するため、農林漁業生産と加工・販売の一体化や、地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するなど、農山漁村の活性化のため、地域の第1次産業と、これに関連する第2次、 第3次産業(加工・販売等)に係る事業の融合等により地域ビジネスの展開と新たな業態の創出を行う取組(6次産業化)を推進しています。
そして、実は金融機関が農業分野を支援する理由がもう一つあります。それは、日本銀行が金融機関が保有する日本国債を買上げることにより、金融機関の民間への貸出を増やし、国内景気を活性化させようという施策が進行していて、農業分野への融資を増やさなければならない金融機関側の事情もあるのです。
農業支援ファンドを活用し、農業の世界で成功するには
では、農業分野へ新規参入し起業する気持ちがあれば、誰でもこれら農業支援ファンドを使うことができるのでしょうか。もちろん、そうではありません。自分が生産しようとする農産物の市況や成長性、新規性、他企業との競争力、地域産業への貢献度などをしっかりとまとめあげ、金融機関や官公庁へプレゼンテーションしなければなりません。これらプレゼン資料の作成などの支援も公的な機関が設けられているため、窓口を訪ねてみてください。
近年の新規起業者の5年以内廃業率が70%とも80%とも言われています。昨今の起業支援の厚遇が安易な創業を作り出し、安易な撤退につながっているものと想像に難くありません。企業経営の成否は、経営者の経営能力と執着心に大きく左右されます。特に農業分野の相手とするものは、野菜や果物といった「生き物」です。人の命を育む農業分野は、安易な撤退はできないものと覚悟して参入すべきといえるでしょう。
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