「新卒ブランド」死守のための就職留年は正解か

採用のための選考活動が8月スタートに。しかし、現実は…

「新卒ブランド」死守のための就職留年は正解か

就職活動に大きな影響力を与える経団連の倫理憲章の改正により、「就活」が大きく変わります。現在の大学3年生(2016年卒)から就職活動の時期が今まではとは異なり、広報活動は2015年3月から、選考活動時期が2015年8月からと遅くなります。

しかし、大手就職情報サイトでは、すでにインターンシップの情報を提供。表向きはインターンシップであっても、裏ではリクルーティングの一部として捉えているところも多くあるでしょう。すでに混乱が生じる土壌が生まれているものと思われます。何としても希望する企業に入社したい学生は、早い段階から就職活動に動き出すでしょう。

何も得ることのない「時間とお金の浪費」は最大のデメリット

誰もが希望する企業に入社できるわけではありません。それは今も昔も変わりありませんが、最近では「新卒で希望する会社に入社すること」を目指し、あえて「留年」を選ぶという選択肢(就職留年)が広まっています。いわゆる「新卒ブランド」が、そのような行動を起こさせるのでしょう。

結論から言えば、留年は逃げ道です。留年する半年または1年間を何に使うのか。時間の使い道を決めている学生であれば、留年も良いかもしれません。しかし、「1年間の学費約100万円をどのように工面するのか」「次年度は今年度より良い採用状況なのか」「留年期間中に社会性を身につけられるのか」など課題は山積しています。「ブランド」にしがみついているだけでは、内定には至りません。

積極的社会参加や、これからの人生に役立つ価値観を育むような経験が積めるのであれば留年にチャレンジするのも良いでしょう。ただし、この条件には、極めて限られた人にしか当てはまりません。なぜなら、そのように行動ができるのであれば、すでに在学中に行動しているからです。

また、留年後、学費を稼ぐためにアルバイトに時間を取られ、就職活動がしたくてもできないのであれば本末転倒になります。企業側も、なぜ留年したのかを、見抜こうとするでしょう。中途半端な言い訳で通用するはずがありません。何も得ることのない「時間とお金の浪費」は最大のデメリットです。

在学中から自分自身で判断して決めることが大切

ある年齢を迎えれば、働く時がやってきます。そのとき、学生自身が自立することはもちろん、今まで育ててもらった家族や周りの人々、そして社会に還元しなければなりません。今、その気持ちがどこかで失われています。社会で人と触れ合い、社会性を身につけ、どのように行動すれば良いのかを自問自答する時間が不足し、感じ取る機会を失っているのです。

しかし、学生時代に完成している人は存在しません。就職留年を考えない大学時代を過ごしたいのであれば、日頃から人に言われた通りするのではなく、自分自身で判断して決めることが大切です。「社会と触れ、今を判断し、将来を見据え、決断し、行動する」。その連続が、就職留年と無縁の状態を作り出すことにつながるのです。

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