薬事法改正で薬のネット販売解禁、その概要
法改正により、一般医薬品の約99%についてネット販売が可能に
平成25年12月13日交付の「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」が、平成26年6月12日に施行され、一般用医薬品について、インターネット等の対面販売以外の販売方法が認められるようになりました。報道においても、「一般医薬品の約99%について、ネット販売での取り扱いが可能になる」とされています。
従来、一般用医薬品は第1類から第3類にまで分類されており、リスクが相対的に低い2、3類については、薬剤師がいなくても登録販売者がいれば販売が可能でしたが、ネット販売については1、2類の一般用医薬品に対し厚生労働省が「薬局等で対面販売しなければならない」と省令で定め、ネット販売を原則禁止していました。
同改正は、ネット販売を禁止していた省令(施行規則)が、薬事法の授権の趣旨を逸脱し、店舗販売業者に対し、一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について、① 当該店舗において対面で販売させ又は授与させなければならない(159条の14第1項、2項本文)ものとし、② 当該店舗内の情報提供を行う場所において情報の提供を対面により行わせなければならない(159条の15第1項1号、159条の17第1号、2号)ものとし、③ 郵便等販売をしてはならない(142条、15条の4第1項1号)ものとした各規定は、郵便等販売を一律に禁止することとなる限度において、無効と判断された平成25年1月11日の最高裁判決を受けてのものです。
劇薬と処方箋薬から転換して原則3年以内の医薬品は要指導医薬品
今回の改正は、上記一般用医薬品に関する最高裁判例を受けたものですので、医療用医薬品(処方箋薬)については、人体に対する作用が著しく、重篤な副作用が生じるおそれがあるため、従前どおり「薬剤師が対面で情報提供・指導すること」としています。
ネット販売の対象となるのは一般用医薬品が対象とされていますが、従来の第一類医薬品のうち「劇薬(5品目)と処方箋薬から転換して原則3年以内の医薬品(スイッチ直後品目、23品目)」については、新たに「要指導医薬品」として指定され「薬剤師が対面で情報提供や指導を行うもの」とし、ネット販売の対象外とされています(劇薬については非常に毒性が強いため、スイッチ直後品目については、市場で販売した場合のリスクが明確でないためとされています。最高裁も一律に禁止することとなる限度での無効判断ですので、その他の一般医薬品を解禁し、要指導医薬品を対象外にしたとしても、同判決に違反するものではありません)。
ネット販売を行う場合には様々な販売ルールも
また、ネット販売を行う場合には「ネット販売を行う時間名称等を届け出ること」「薬局・店舗に陳列・貯蔵している一般用医薬品の販売とすること」「都道府県等が容易に閲覧することができるホームページ(パスワード等を届け出ることでも可)に、広告には医薬品の区分ごとに表示をすること」「実店舗の開店時間が週30時間以上(深夜以外の開店時間が週15時間以上)を目安とすること」「メール等で使用者の状態等の確認、情報提供を行うこと(義務化されている医薬品の場合)」「オークション形式による販売の禁止、医薬品の広告について購入者による医薬品の効能・効果に関するレビューや口コミ、レコメンドを禁止する」などの販売ルールを守って行うことが必要となります。
以上のように、今回の改正で要指導医薬品という除外対象はあるものの、一定のルールのもとで一般用医薬品がインターネットで購入できるようになりました。市場規模も巨大であるため、その意義も大きいものと思われます。
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