「大分vs熊本」温泉PR合戦が生む相乗効果

「おんせん県おおいた」VS「熊本ふろモーション課」勃発

「大分vs熊本」温泉PR合戦が生む相乗効果

もし、あなたが商品のPR担当者だったとしたら、どのような方法で商品をPRするでしょうか?商品の歴史を紹介しますか?それとも、商品の機能を紹介しますか?もしくは、商品の使い方を紹介しますか?PR方法は様々ですが、「面白いPR方法」として参考にしたいのは、九州の温泉PR合戦をしている、大分県と熊本県の温泉PR動画です。

昨年、「おんせん県おおいた」で商標登録を獲得した源泉数日本一の大分県が、「おんせん県っていっちゃいましたけん!」というキャッチコピーで、手作り感と自虐ネタを取り入れたユーモアたっぷりのCMを次々と制作し大きな話題を呼びました。

それに対抗するように、昨年下旬に、源泉数5位の熊本県も「熊本ふろモーション課(通称:ふろモ課)を設立し、県営業部長である、くまモンの「部下」として、お笑い芸人のレイザーラモンRGさんを起用し、ユーモアたっぷりの動画を次々と公開しています。

「ライバル関係」をつくることで生まれた相乗効果

この温泉のPR合戦は、ユニークな動画のみならず、先行する大分県を熊本県が明確にライバル視することによって、相乗効果を生み出している点も注目です。相乗効果とは、ある要素が他の要素と合わさることによって、単体で得られる以上の結果を上げることです。単純に源泉数5位の熊本県が、観光客の誘致を狙って温泉PR活動をするだけでは、大きな話題を呼ぶことは難しかったかもしれません。しかし、同じ九州地方の隣の県であり、温泉PRで先行する大分県をライバル視し、大分県と同様にユニークな動画を使って温泉PR活動を行うことによって、多くの人の興味を刺激し成功に至っています。

また、大分県の「別府地獄めぐり」を強く意識し、「あっちが地獄なら、こっちは天国だ」というキャッチコピーを掲げ「天国VS地獄」という形のPR合戦にすることによって、話題になりやすい状態にしている点も見逃せません。YouTube上では、大分県のユニークなPR動画は昨年の11月下旬を最後にそれ以降は公開されていませんが、熊本県のユニークなPR動画が今年の6月下旬から公開されると、ライバル視されている大分県のユニークなPR動画も再注目されるという効果も生み出しています。また、 「地獄」観光を体験した人が、「せっかくだから天国も体験したい」と思い、熊本県に観光に行くという可能性も生まれます。(もちろん逆のパターンもあります)。このように、明確なライバル関係をつくることによって、一方を体験した人の「もう一方も体験したい」という気持ちを刺激することができるので、ライバル視した方とされた方の双方にメリットが生まれるのです。

この温泉PR合戦は、温泉に限らず多くの業種の企業、さらに地方自治体にとっても、参考になるユニークなPRの事例ではないでしょうか。ただし、忘れてはいけないのは、集めた人を、いかにしてリピーターになってもらうかということです。集めるためのPR活動だけでなく、集めた人をしっかりとサポートする仕組みをつくることが、とても大切。温泉地に集めることに夢中になりすぎて、集めた人を放置し、湯冷めさせることのないよう注意しましょう。

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