相続税対策、路線価でわかる土地の時価
相続税増税により路線価にも注目が集まる
7月1日に国税庁から平成26年度の路線価が公表されました。全国平均は6年連続の下落となりましたが、東京、大阪、愛知はそろって上昇しました。3都市の上昇は、リーマン・ショック前の2008年以来、実に6年ぶりのことです。2015年からの相続税増税も控えた今年は、路線価への注目が高まっています。
そもそも、路線価とは課税価格を計算する基準となるものであり、相続税や贈与税の基となる相続税路線価と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる固定資産税路線価に分類されます。一般的に「路線価」と呼ぶ場合、これは「相続税路線価」のことを意味し、その年1月1日現在における1平方メートル当たりの相続税評価額を指します。
所有しているものが標準的な区画・形状の宅地であれば、簡単に相続税評価額を算出することができます。ただし、実際にはそのような宅地ばかりではありません。例えば、間口が狭小、奥行が長大、不整形な形状をしているといった場合には、減額のための補正を行います。逆に増額の補正を行うこともあります。要するに、路線価は個々の土地の個別性を反映した価格ではない、ということです。
路線価図を利用すれば自分で簡易査定が行うことができる
では、路線価とはどのように決められているのでしょう。実は路線価は、ある土地価格を基礎としています。それが、地価公示価格です。地価公示とは、不動産取引の指標とされるよう、国土交通省が実施している土地価格調査です。代表的標準的な土地について、毎年1月1日時点の価格を、不動産鑑定士の鑑定評価に基づき価格判定します。市場の需給動向を反映した中立公正な価格である公示価格は、自由な取引が行われるとした場合に通常成立する価格、即ち時価を意味しています。また、地価公示価格が変動すれば、相続税路線価の課税評価額も変動する関係にあります。
「所有する土地が何円で売れるのか?」などで悩んでいる際には、この公示価格と路線価図を利用して自分で簡易査定を行うことができます。一般に路線価は、公示価格の8割の水準に設定されています。したがって、標準的な区画・形状の宅地であれば、路線価で計算した価格を0.8で割り戻せば、時価が求められることになります。
本当にそうなのか、実際に検証してみましょう。私の事務所の最寄りの標準地は、東京都目黒区中町1-11-14所在の、3F建て賃貸マンションの敷地114平方メートルです。国土交通省標準地検索システムから、当該別件の詳細を見ることができます。それによると、地価公示情報から調べることができる評価額は、それぞれ58,700,000円と58,500,000円となっています。次に、路線価図から相続税評価額を計算してみましょう。路線価は410,000円ですから、地積である114を乗じれば評価額は46,740,000円になります。これを0.8で割り戻すと、58,425,000円です。この価格が、簡易査定によって求められた時価となります。実際の値段を知りたい人は自己査定を行い、相続対策の材料としてみてはいかがでしょうか。
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