指導力に疑問、英語教員に求められる姿勢
中学校英語教員の中で、英検準1級程度の力を持つのは3割未満
中学校英語教員の中で英検準1級程度の力を持つのは3割未満であるとする調査結果が、文部科学省より発表されました。世界の外国語教育は1970年代以降からコミュニケーションを目標とし、「使える英語」を重要視して大きく変化を遂げました。一方、日本は英語が必須教育であるにも関わらず、他国から比べて遅れを取り、大きな課題を抱えています。英語教育に関する具体的な施策が求められている中、中学英語教員の英語力に何が求められているのでしょうか。
文科省は約10年前に「英語が使える日本人の育成の為の行動計画」なるものを打ち出し、英語教員が持つべき英語力の目標値を「英検準1級」「TOEFL550」「TOEIC730」と掲げました。これらは、誰もが簡単に手にできるものではなく、そこへたどり着くまでの努力は並大抵ではないでしょうし、結果として素晴らしいものです。しかし、本当に重要なのは目標値に達しているかではなく、テストなどの結果から自分の不得意分野に気付くことです。
同じ「英語」でも、自身の目標により取り組み方には多少の違いがあります。また、「英語」は一つの科目としてではなく、コミュニケーションの一つであると意識すべきです。そんな幅広い英語だからこそ、自身の不得意分野に気付き、丁寧に鍛える必要があります。なぜなら、自分のためではなく、教育者として日本の将来を担う子どものためにという意識と、子どもたちに良質な教育を与えるという責任があるためです。
不得意分野を知って努力することが指導者として質の向上に
つまり、受けた資格試験の結果から、英語教員の努力は始まると考えてほしいのです。小学校英語から中学校英語へと、その大規模な取り組みをいかにうまくつなげていくか。それには、「何がどう必要なのか、今までの中学英語教育から変えるべきところは何なのか」を、国レベルでしっかり考えることが肝要です。また、教員それぞれが実際に必要な英語力を実感し、不足部分をどう補っていくかも併せて考えていくべきでしょう。そうした意味では、外国人指導助手の役割にも重要な意味を見いだせるはずです。彼らの存在が子どもたちの国際理解につながり、教員に対しても幅広い知見を与えることになります。そして、英語教員の力を計る必要が出てくれば、英検やTOEICなどの既存資格ではなく、日本の英語教員向けの試験が開発されることが望ましいといえます。
手にした資格試験の結果に、もしくは毎日繰り広げられる授業の中で、一人でも多くの英語教員が自分の不得意分野を知ってそれを意識し、自身の英語力を鍛えようと本気で努力することが、日本の中学英語教員の教育者として質の向上につながり、成長を促すことになるはずです。そして、そんな魅力ある中学英語教員にこそ、子どもたちはついていくのではないでしょうか。
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